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人材開発・組織開発 PickUp

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人材開発、組織開発に関する理論や実践について、気づきが得られたnoteをピックアップしたものです
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記事一覧

「聞く」は「聴く」より難しい!? 〜『聞く技術 聞いてもらう技術』

すこし前から話題になっていた『聞く技術 聞いてもらう技術』(東畑開人 著、ちくま新書)を読みました。 読了直後、東畑さんと会話していたような、心の声を聞いてもらったような、あたたかい気持ちに包まれたのを覚えています。 これまでの人生で、話を聞いてくれた人、大切な話を聞かせてくれた人、うまく聞けなかった人……、色んな人たちの顔が浮かんでくる 不思議な読書体験でした。 『聞く技術 聞いてもらう技術』この1年、職場での1on1やストレングスコーチングのセッションなど、1対1で

オープンでフラットな組織が突然「閉鎖的」と言われるとき

柴田(@4bata)です。「それぐらいわかるだろ・・・」が通じなくなるタイミングがあるんだなという発見です! 考えたきっかけ:「オープンでフラットだと思ってたけど、結構閉鎖的なところもある」というセリフを聞いたその人に情報が伝わってなかったのかな。私の最初の感想は「前からそうだった気がするけどな・・・」。以前から整った形で情報はちゃんと流れてない。私にとっては、今働いている会社が閉鎖的には見えてない。実際には閉鎖的な部分があるのだろう。その差を理解してみたくなった。 情報

「専門誌の社内読書会」のススメ。雑誌『宣伝会議』読書会のやり方とその利点

広告宣伝に関する月刊誌「宣伝会議」を用いた読書会を、社内で毎月主催しています。 詳しくは後述しますが、 中長期目線のインプットの機会を確保できる 自分ひとりでは気づけなかった記事に対する視点を得ることができる シンプルに気分転換になる といったメリットを感じており、手応えを感じています。 気づくともう1年半以上続いており、開催手順もメリットも明確に整理できてきたので、今日はそれについて書いてみようと思います。 どんな流れで開催しているのか?読書会の予定を入れて、

【完全版】DeNAで20代を過ごして学んだ5つのこと

退職エントリを書こうと思ったのですが、個人の回想録よりも、学んだことをシェアした方が有益かなと思ったので、20代の学びBEST5を書きます。 その時々の危機を乗り越えるために、心に刻んでいた学びを書いている感じなので、『スラムドッグ・ミリオネア』だと思って楽しんでもらえると嬉しいです。 注意点としては、インド映画にならい、1万文字を超えてますが、読み応え抜群ということでお許しください。 ただ、記載する学びについては、社会人が直面するリアルな悩みを書いているので、どなたで

対話の価値を高める5つの原則

有志でAppreciateive Inquiryに関する洋書の読み合わせをしています。 Appreciative Inquiryは組織開発の手法の一つとして、組織開発の専門家の間で認識されているものですが、この本はその本質である「組織の中で行われるべき価値の高い対話」について論じされているもので、タイトルも「Conversation Worth Having(ベタには訳すと「行うに値する会話」)」となっています。 まだ読破したわけではなく8割がた読み終えたという所なのですけ

「強みに基づく組織文化を築く」〜『ザ・マネジャー』

ジム・クリフトン氏とジム・ハーター氏の共著『ザ・マネジャー』を読みました。 著者2人の肩書きは、ギャラップ(Gallup)社の会長兼CEO とワークプレイス部門 チーフサイエンティスト。ギャラップ社といえば、グローバルな世論調査会社として有名ですが、自己診断ツール「ストレングス・ファインダー」(現在の正式呼称は「クリフトンストレングス」)の提供元としても、知る人ぞ知る会社です。 本書は、サブタイトルに「人の力を最大化する組織をつくる」と付いており、人の「潜在能力」や「強み

「プロジェクトがあるから対話は起きる」〜『未来を共創する 経営チームをつくる』

「今、自分たちはチームとしてどうなのか?」 こんな風に職場で問われたら、あなたは何と答えますか。 『未来を共創する 経営チームをつくる』は、この問いを出発点として、「本当の意味で “チームになる” のはどういうことか」が綴られた一冊です。 本書は、タイトルに「経営チーム」とあるように、企業・スポーツ・病院・学校などさまざまな組織の“幹部チーム”を対象に書かれています。とはいえ、家族や職場など小規模なチームにも当てはまる記述が満載でした。 「今の時代、指示命令型ではないぞ

【シリーズ:ザ・マネジャー①】マネジャー新必読書が登場

今回から数回に分けて、マネジャーもしくはマネジャーに今後なるだろう皆さんに絶対読んでもらいたい本の紹介と、その本を通じて考えたことをシェアしていきたいと考えています。 その名も【シリーズ:ザ・マネジャー】。スタートです。 ご紹介する本今回ご紹介する本は、「ザ・マネジャー 人の力を最大化する組織をつくる ボスからコーチへ」です。 クリフトン・ストレングス(旧:ストレングス・ファインダー)、書籍「さあ、才能に目覚めよう」でおなじみのGallup社から出た日本語版の新刊です。

体系的でわかりやすい「100のツボ」はどうやって書かれたのか? ー 『図解 人材マネジメント入門』 『図解 組織開発入門』執筆の裏側ー

はじめに お疲れ様です。坪谷です。 私は研究者ではなく、実践者です。20年以上「人事」を専門領域としてきました。このnoteでは、『図解 人材マネジメント入門』と『図解 組織開発入門』という入門書を、なぜ書こうと思ったか、そしてどうやって書いてきたのかを、お話ししようと思います。 ❶人事の「全体像」がわからない苦しみ 私はもともと100名規模のIT企業のエンジニアでした。25歳のとき、疲弊していた現場の状況を改善したいと管理部門へ異動し、人事担当者、人事マネジャーとして

仕事の中に「自分」をひと匙入れる 〜『「ジョブ・クラフティング」で始めよう』

人事・人材開発 分野に携わっていると、日々いろんな言葉に出逢います。 心理的安全性 はもはや耳に馴染みましたが、他にも、数多くありますね。DEI、リスキリング、人的資本開示、アンラーニング …… etc. そんななか最近のお気に入りワードが「ジョブ・クラフティング」です。 出逢いは #CULTIBASELab僕がジョブ・クラフティングという言葉を最初に意識したのは、2021年9月開催の CULTIBASE オンラインイベントでした。 メンバーの主体性発揮や働きがい向上を

【読書メモ】ジョブ・クラフティングって何?と思った時に読みたい入門書の決定版!

東京都立大学大学院の高尾義明教授から新著をご恵贈賜り、拝読させていただきました。高尾先生、どうもありがとうございます!ジョブ・クラフティングという概念の意味、個人や企業組織にとってどのような価値があるのか、について前提知識ゼロから学べます。ジョブ・クラフティングの入門書の決定版と言えるものなので、ご関心のある方はぜひお読みになってみてください。 ジョブ・クラフティング=仕事に自分をひと匙入れる高尾先生は、WrzesniewskiとDuttonの2001年の論文を引きながら、

個人と組織を活性化させるジョブ・クラフティング(1)

※2018年7月~2019年4月に『地方公務員 安全と健康フォーラム』に掲載したジョブ・クラフティングに関する連載を転載します(全4回)。なお,同誌発行元の地方公務員安全衛生推進協会より転載許可を得ています。同協会のご厚意に感謝いたします。 第1回 メンタルヘルス0次予防推進の重要な視点となるジョブ・クラフティング  「ジョブ・クラフティング」という言葉をこれまでに聞かれた読者は多くないかもしれません。経営学においても、職務満足や内発的モチベーションといった、以前からよく知

組織開発とは何か?

こんにちは。こがねんです。メガベンチャー人事で「組織開発」をしています。 先日twitterでフォロワーみなさんにこんな投稿をしたら、 たちやさんからこんなコメントをいただきました。 今後「組織開発note」を書いていくうえで「富士山の登山口」的なテーマになるので、今日はこのあたりの話をしたいと思います。 「組織開発」とは何か?組織開発の定義は様々で、専門的にはいろいろな言葉で語られていたりしますが、僕はシンプルに「組織がワークするためにいろいろ働きかけること」くらい

刻石流水 〜受けた恩は石に刻み、かけた情は水に流す〜

先日、「せっかく○○してあげたのに…」と気にやんでいる知人の発言を、ネットコミュニティ上で目にしました。 そんなこといちいち気にしてたら大変だよ、ということをやんわり伝えたくて、「そういえば、そんな言葉があったよな」と検索したところ、小説家・喜多川泰さんのブログに辿りつきました。 「受けた恩は石に刻み、かけた情は水に流す」 それができれば 長い間一緒にいればいるほど 相手のことを大事にできる。 僕の場合、後半の「水に流す」は自然とできている気がします。だから「してあげ