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法律家 文学を読む

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広い意味での文学を,一法律家の視点で読んでいきます。 「このトータルな省察は文学に他ならない。少し後に歴史学や哲学等々が文学ジャンルとして分化していくが,文学は定義上教義ではな… もっと読む
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記事一覧

手塚治虫,ブラック・ジャック「地下水道」より/個の確立と他者

〔このnote記事では、手塚治虫「地下水道」(『ブラック・ジャック④』秋田文庫,1993.所収)の…

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落語「三方一両損」より/独自の観念・意識、過去の来歴を切る

〔このnote記事では古典落語「三方一両損」の内容に触れます。記事作成にあたっての時代考証や…

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手塚治虫,ブラック・ジャック「ブラック・ジャック病」より/シニフィアン誘拐と接続…

〔このnote記事では、手塚治虫「ブラック・ジャック病」(『ブラック・ジャック⑭』(秋田文庫…

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落語「松山鏡」より/違うものと同じもの

〔このnote記事では古典落語「松山鏡」の内容やサゲに触れます。記事作成にあたっての時代考証…

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夏目漱石「硝子戸の中」(六)~(八)より/切り結びの諸相

〔夏目漱石「硝子戸の中」『夏目漱石全集10』所収(ちくま文庫,1988)の(六)~(八)につ…

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落語「時そば」より/諸観念の接続秩序

〔このnote記事では古典落語「時そば」の内容やサゲに触れます。この点ご留意願います〕 1 …

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夏目漱石「坊っちゃん」より/赤シャツの罠、漱石の罠

〔夏目漱石「坊っちゃん」『夏目漱石全集2』所収(ちくま文庫,1987)について、限られた視点からではありますが、切り込んで読んでみたいと思います〕 夏目漱石『夏目漱石全集2』(ちくま文庫,1987) 1 はじめに夏目漱石の凄みを感じるおそろしい作品が、私にとっての「坊っちゃん」です。 もちろん抜群に面白い小説です。坊っちゃんの眼を通して語られていくこの四国の町と綽名でしか呼んでもらえない戯画化された人物達の動きは、彼にとって何と滑稽と欺瞞に満ちており、私たち読者にとって

夏目漱石「行人」より/一郎の実証主義

〔夏目漱石「行人」『夏目漱石全集7』所収(ちくま文庫,1988)に対し、一郎の実証主義という…

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奇跡について/手塚治虫,ブラック・ジャック「過ぎさりし一瞬」より

〔このnote記事では、手塚治虫「過ぎさりし一瞬」(『ブラック・ジャック⑯』(秋田文庫,2000…

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相手は私が思うところの相手です/落語「三人無筆」より

〔このnote記事では、古典落語「三人無筆」の内容やサゲに触れながら、自分に問いかける趣旨で…

大切なものとの距離/手塚治虫,ブラック・ジャック「ストラディバリウス」より

〔このnote記事では、手塚治虫「ストラディバリウス」(『ブラック・ジャック②』(秋田文庫,1…

道具と貨幣/落語「大工調べ」より

1 はじめに 今回は落語「大工調べ」を素材に,道具と貨幣の観点をからめて「占有原理」につ…

個人を犠牲にするシステム学/落語「鹿政談」より

1 はじめに 今回は,落語「鹿政談」を,個人の自由の視点から考えてみたいと思います。 こ…

権利さん,そのままお進みください。忘れ物が見つかります/大岡政談「天日裁き」より

1 はじめに 今回は,大岡政談「天日裁き」を,「権利」というものの一側面を見つめる素材として読んでみたいと思います。 この記事は,下記PDFで述べた法に関し,「占有」と「権利」の関係性をイメージ的に例解するものです(念のため:この記事は大岡政談を対象として現行法を解説するというような種類のものではありません)。 一般に知られている大岡政談「天日裁き」について,下記テクスト(テクストを名乗るのもおこがましい拙文ですが)を作成したので,これをベースに考えていきます。 2 テ