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素直にならびたくない若者の胸中

「ならぶ」というのは人類が作り上げた思想かもしれない。

野生動物にはその我慢がない。人も我慢が聞かない状況、例えば戦時中や災害などで生命の危機に瀕したときなどは動物返りもする。

闇物資を担いで電車を窓から身を乗り出して人をかき分け、時には暴力沙汰になったこともあるようだ。


現在に目を向けると、世界に目を向けるとたとえばシリアの越境地帯では難民の殺気だった行列ができていたりする。


とりわけ現代の日本人はおとなしく並んで待つということになじんでいるように思える。東日本大震災での冷静な対応は世界からも絶賛されたのは記憶に新しい。


しかしながら僕は並ぶのが苦手である。


誰も好き好んで並んでいるわけではないという反論もあるだろうが、これを厭わない人が一方で多いのも事実で、それはスマートフォンが普及してから若者の間で顕著になったような気がする。


たとえば昨今のタピオカブームで、某所にある二時間待ち三時間まちは当たり前で、ときには五時間待ちという店がある。

10席足らずの小さな店だが、雨の日も風の日も大行列ができる。


はるばる遠方から来られる方で通り向かいの歩道まで行列ができる。僕は病院の待合室でも我慢できないタイプなので到底理解できないことだが・・・


昨今はSNSで多様性や個の確立を主張することが当たり前になった。

その一方でSNSの繋がりゆえ、友人同士のリアルな繋がりでは「仲間はずれになりたくない症候群」という「多様な生き方」と相反する二律背反を抱えることになってしまった。


昨今のタピオカブームの行列は、「多様な生き方」と「仲間はずれになりたくない自分」に矛盾しないよう「自分が好んで並んでるんだ」と自らに言い聞かせ、意地悪く言えばウェブ上のトレンドを通じて、社会に取り込まれていく風刺にもみえた。


しかし、行列嫌いの僕が一方でますます並びたくないと思ってしまったのも、タピオカブームの世評をチェックしたのも、情報が一瞬にして手に入るウェブメディアに影響をうけた結果かもしれない。


これも「体験が欲しい女性」と「情報が欲しい男性」で反応が分かれているのが流行現象として面白いところだ。


こういったブームはこれからも続くだろう。

「ならぶ」お行儀ほめてよし。



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