「岩田さん」を読んで”好きこそものの上手なれ”に向き合う
今日は僕の周りでリスペクトの声が多いこの本の感想です。
「岩田さん」とは2015年に惜しまれつつ、若くして亡くなった元任天堂の社長 岩田聡さんです。
この本は糸井重里さんのプロジェクト「ほぼ日刊イトイ新聞(以下、ほぼ日)」での対談記事を集めて言葉を紡いだ書籍です。
私はこの本に出合ったのは前述のとおり、のーどみさんや川口さんをはじめとする多くの方の絶賛の声と感想記事でした。
そしてXP祭り2019で登壇者に向けた書籍プレゼントの際についにゲットしました。
その日の夜に聞いた話だとのーどみさんが自ら自腹で購入して提供してくれたんだとか…!
そこまでして人に勧めたくなる書籍。どんなものなのか。私の中で期待が膨らんでいったのを覚えています。
そんなのーどみさんのnoteがこちら
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私はこの本を手にして約1週間で読みました。
それも一日1時間くらいで。そのくらい読みやすく、引き込まれて、なにより岩田さんの言葉にもっと触れたい。人柄に触れたい。と思い、ページをどんどん進めていきました。
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岩田さんはどんなひとだったのか。
正直、はじめはそんなに興味を持っていませんでした。
どっちかというと岩田さんはどのように社長になったのかどんな成功をしてきたのか。いわゆる伝記の中で触れられるような内容を期待して最初のページを開きました。
しかし。”はじめに”から岩田さんがどんなことをしてきたかではなく、岩田さんはどんな人間だったのか。という内面を掘り下げる話が続いていき、その一節一節がとにかく岩田さんへの愛情とぬくもりにあふれていました。
書籍の中で他人の言葉ですらぬくもりを感じさせるような岩田さんがどういう人なのか。それに触れるたびに心が温かくなり、岩田さんの言葉として取り上げられているものすべてがグサッと心に刺さるというよりはじんわりと自分に浸透していくような心地よい読書体験ができました。
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この書籍の中には岩田さんがやってきたいくつかのとりくみも取り上げられています。「会議のファシリテーターを重要視すること」「社員1人1人と対話をすること」そのこと自体にとても意味があり。行動として学ぶべきことは当然あります。
ただ、大事なのは岩田さん自身がやりたくてやっていたということ。
これだけではなく、この書籍の中では岩田さんが一貫して貫いていた考え方がちりばめられています。これは信念や決心というような肩ひじを張った重厚感のような覚悟ではなく、好きだからやっていたら確立されていった習慣のようなものでした。
わたしはここからあらためて"好きこそものの上手なれ"を体現したような方だったんだろうなと感じました。
そして岩田さんは"短所を克服するよりも長所をのばすこと"、"最も合理的な方法を実践すること"に重きを置いていたとのことです。
この価値基準は非常にシンプルでわかりやすいですよね。
得意なことを実践し、相手をハッピーにすること。
そして、合理的と判断すれば自分自らが動くこと。
私の中での"やるかやらないか"という基準の余計な複雑さに気づかされ、「ハッ!」とした内容でした。
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私は岩田さんに会ったことがありませんし、今後会うこともかないません。
ですがこの書籍を読んだ今、岩田さんという人に魅了され、すでに少なからず影響を受けている自分がいます。
そして、何かあたたかな気持ちで力強さというよりもやさしさを感じられた書籍でした。
ぜひ、何かピリピリしていたり、ギラギラしている自分に気づいた方には一度手に取ってもらいたい本でした。
主にPjM、PO、セールスエンジニア、AWS ソリューションアーキテクトなどを務める。「映像業界の働き方を変える」をモットーにエンジニア組織を超えたスクラムの導入、実践に奔走。DevLOVEなど各種コミュニティーにおいてチームビルディングやワークショップのファシリテーションを行う