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「オレの練習、オレ達のラグビー」。今年も、星野明宏さん特別MTG(Jr)で

インプットと自主性、主体性…。

まさに原点を思い出させられるお話でした。先週、星野明宏さん(静岡県協会代表理事、静岡聖光学院校長/元 U18)日本代表監督)にお話をいただく機会がありました。

中学生たちに入りと締めの進行を任せ、Q&Aも入れた特別MTGは盛り上がって60分予定が90分に。固有名詞が飛び交うお話はクラブ外にフルオープンできないのが残念。中学生にも、保護者にも、コーチにも、ビジネスでもヒントになることがいっぱいでした。


週なかのスイミー(@Zoom)で、ちょっと振り返りをしてみました。セルフ司会時間は20分ほど話してもらいましたが、中学生はやっぱり面白いなと思います。一応、初めに渡したテーマは「星野さんMTGを生かすために今週末からできること」でした。

「うー 思いつかないな」

「練習前に1分間、good/bad/next の話し合いを自分たちだけでやってみたい」

「僕は、ミスが起きた時に30秒だけでも集まってgbnを話す方がいい」

「トライを取られた後は?」

「トライは練習中にないからさ、練習からできることにしたい」

「俺は特にない」

「何か感じたことだけでも話してよ」

「なあ、主体性って…何だっけ」 ww

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私は発言内容よりも、MTGの展開を見ていました。まったくのオフ場面(おしゃべり)ではなく、オンの状態で、自分たちだけで話せるようにならないと、バンブージュニアの練習は本当の意味では機能しないからです。ただの短時間練習、未成熟な練習にならないために、どれだけ練習を、ラグビーを「自分ごと」にできるか。

練習の高度さよりも「自分ごと」の度合いを大事にしたい。毎週の練習を「この120分は俺のものだ」と思って取り組んでほしい。当事者意識のないラグビーは、どんなレベルにいっても、非常にもろいからです。



そう思うようになったきっかけは、2009年開催のワールドユース大会でした。

初めて日本開催されたU20のW杯。日本は最終戦でウルグアイと戦って54-17で勝ち、16チーム中、15位になりました。メンバーには、少し前に高校ラグビーを席巻した東福岡、東海大仰星出身の国内スターたちが揃っていました。BKみたいなFW、FWみたいなBK。ラグビーIQも非常に高い。それが、それほど上手でも大きくもないチームに次々と敗れ、最後だけ勝ちました。大差で勝ったけれど、かえって違いを感じさせられました。雨雲に覆われた名古屋での出来事です。

象徴的なシーンがありました。

自陣でボールを手にしたウルグアイのNO8、フアン=ディエゴ・オルマエチェアの、フィールドへの長いキックでした。接戦の中、微妙な時間にピンチでボールを持てば、ふつうは無難なプレーを選ぶもの(当時は特にそうでした)。オルマエチェアは無骨ながらピンチだからこそ、人任せにせずダイレクトに「今チームに必要なプレー」を選んだのでした。このキックは日本のトライを一つ摘み取りました。

堂々と戦ったウルグアイが持っていたのは、競技人口でも強化システムでも戦術でも選手のテクニックでもスピードでもなくて、当事者意識と、プレッシャーから逃げずに前を見ようとする目でした。この大会で日本を破った他の国も、ベースにそれがあったのだと、気付かされました。

日本は、自国開催の大会を懸命に戦っていました。一方で失敗したくないプレッシャーからか、「人任せ」な空気があるように見えました。

少しばかりうまくても速くても強くても、厳しい勝負に放り込まれたら当事者意識の強いチームには敵わない。「この試合は自分のもの、このチームのラグビーは自分たちのもの」という意識、日本はどこの国にもまさってはいませんでした。

ピンチにキックを放ったNO8オルマエチェアは、180㌢の小さなFWです。その後、欧州などでの活躍はありませんでしたが、プロとして息長くプレーし、のちに代表に選ばれて2019年W杯にも参加しました。釜石でウルグアイが強国フィジーを初めて破った記念すべきゲームでも、途中交代でピッチに立っています。あの2009年のワールドユース、大会最下位から10年後の金星でした。


名古屋、釜石を経てしながわに話が戻ります。

今週のバンブーのスイミー(水曜MTG)で一番おもしろいなあと思った中学生の意見は、テーマだった「練習でできること」から離れたものでした。

「思いつかないなあ」と言っていたゆうが、ちょっと間をおいて提案してくれました。

「これは練習の主体性と違うかもしれないけれど、練習道具を持って帰るのを人に押し付けたり、先に帰って置きっぱなしにするのはよくないと思う。自分からオレ持って帰るねって声をかけていくチームになりたい。こんなのレベル低いかもしれないけれど、練習の話じゃないけど」

これぞ当事者意識。バンブーにもいました、オルマエチェアが。

まだまだミュート状態の多いバンブーたちですが、少しずつ、明らかに、感じる力、伝える力を蓄えています。

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