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そのファッションは誰のため?

夏日と言われる日がやってきたかと思うと、寒い日がきたり。
コロナに感染しないように気を付ける、と言っても、それ以上に体調を崩しそうです。

みなさまはどうお過ごしですか?

梅雨が過ぎるとやってくる夏。
夏になると、おばさんは、自問することがあるのです。

今年はまだ、ノースリーブが着られるかしら?

年を重ねるごとに、たるーんとしてくる二の腕。
テーブルソルトを振っているのに湿気で固まってしまったのか塩は全然出てきませんが、二の腕はブルンブルンと振れるばかり。私は塩ではなく二の腕を振っているんじゃないかと悲しくなります。そのたびに、この二の腕はどうすればいいのだろう、と途方にくれるのです。
リュウマチで手が痛いので、腕の筋トレなんかできません。
マッサージだって、無理です。

二の腕だけではありません、年を取ってくるとリンパの流れが悪く、腕のつけ根もブヨブヨしているので、なんだか醜い。
ノースリーブの端からはみ出た肉は、見れたものではありません。

エステに行けばすべては解決するのかもしれませんが、あまり稼いでいない私にそんなお金があるわけもなく、今日も鏡の前で自問するのです。

ノースリーブ着ても大丈夫かなぁ~。

2016年、当時イギリスの首相だったテリーズ・メイ氏が、ノースリーブの膝上スカートのドレスを着ていたことで、SNSでは「首相の格好としてふさわしくない」という批判だけでなく、「ひざを隠すべきだ」とか、「60歳を超えた女性が・・・」などと酷評されました。

確かに。

首相の格好としてふさわしいかどうかは別として、黒の膝上ドレスはちょっと若作りしすぎていたようにも見えます。
うがった見方をすると、昔のドレスを引っ張り出してきたの?!って感じです。

二の腕もそうですが、膝の裏にもリンパが集中しているので、膝は年齢が出やすい部分ではあります。
アメリカ版『ヴォーグ』の編集長のアナ・ウィンター氏はいつも、微妙に膝が隠れる丈の洋服をいつも着ています。彼女も実は、イギリス人です。
それを考えると、首相の格好としてふさわしいか、というよりも、ちょっと年相応の洋服を着ましょうよ、というメッセージなのかもしれないと、その時は思いました。

そう言えば、メーガン妃がブーイングにあったおかげで、イギリスのロイヤルファミリーには、暗黙のルールがあるなんて知ったこともあります。

公式式典にはロングスリーブを選ぶこと。

エリザベス女王の誕生日を祝うトゥルーピング・ザ・カラー(軍旗敬礼分列式)は公式式典の一つですが、メーガン妃は肩出しなうえに、袖なしドレスを着用して出席したのです。

エリザベス女王に怒られたならいざ知らず、なんで一般市民からブーイングを受けなければならなかったのでしょうね?!
メーガン妃はメイさんと違って、まだまだ若いですし、スタイルも抜群なので、ノースリーブのドレスを着てもいいんじゃないかと思ったのです。

話は変わり、シンガポールに住んでいた時のことです。

日本からやってきた友達が、高島屋にあるTWGのティーラウンジでお茶をしたいというので二人で行ってみました。
たくさんの日本人観光客に交じり、現地の奥様たちも優雅にお茶を楽しんでいました。
その中の一人に、私の眼はくぎ付けに。
紺色のノースリーブのワンピースを着たアラサーと思われる彼女の腕を見て私は思わず思ってしまったのです。

それ、前脚?!

彼女の肌はつやつや、髪の毛もサラサラで、まつ毛は素敵なミンクエクステ、ネイルもネイルサロンできれいに整えられているようで、自分には惜しまなくお金をかけている感じです。
オシャレをしてノースリーブのワンピースを着ているようなのですが、袖から出ているものは、腕というより、前脚と呼ぶにふさわしいく、日本人なら絶対に出さず、ふんわりスリーブで隠します。
最低でも、フレンチスリーブを着ます。

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ちなみに隣に座って仕事をしている夫に、フレンチスリーブはなぜフレンチスリーブと言うのか、と聞いたら、「知らん!」と怒られてしまいました。。。しゅん。
英語ではあのスリーブを『着物スリーブ』と言うらしいのですが、日本ではなぜフレンチスリーブと呼ばれるのか調べますね。
今度のお楽しみ、ということで・・・。
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その時に思ったのです。
イギリスのロイヤルファミリーが、公式式典にロングスリーブを着るというのを暗黙のルールにしているのは、私のようにいつまでノースリーブを着て二の腕を出しても良いのかと悩んだり、それはちょっとダメだろうと、他人に批判されて傷つくことがないようにするためではないかと。

教会では肌はあまり見せないことがいいとされることに関係することもあるのかもしれませんが、そもそも宗教の戒律は人を律するために後付けでつけられたんじゃないかと思っている私には、おばさんがいつまでも若い子気取りでいられるのに腹を立てた人が、教会では肌を隠しましょう、と決めたのかもしれないと、あれこれ思いを巡らせるのでした。

2018年。当時アメリカ大統領だったトランプ氏が訪英した際、メイ氏はまたもや赤いノースリーブドレスを着ていました。
無人島に持って行きたいものは『ヴォーグ』の1年購読と答えた彼女には、「今年もノースリーブ着ても大丈夫かなぁ~」と自問するのは馬鹿げたことだと失笑されそうですが、そもそもファッションは、自分のためにするのか、他人のためにするのか、社会のためにするのか、一度立ち止まって考えても“ええじゃないか”と思う今日この頃です。

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