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『渚にて 人類最後の日』

原題:ON THE BEACH
ネヴィル・シュート・著 佐藤龍雄・訳
創元SF文庫(小説)


4700個以上の核爆弾が炸裂し、人類が死滅する日が刻々と近づいている。
何をするか、どう生きるか。誰かに何かを残してやる必要もない。何かをやり遂げる意義もない。
自分が死んだあと自分の悪口を言う人間もいないから、人に嫌われることをしたっていい。
買い物をしたり、釣りをしたり、カーレースをしたり、畑を耕したり、家畜を世話したり、仕事を続けたり、資格を取るための勉強を始めたり、故郷に帰ったり。
QOL上がっとる。
一年先のことを考えて庭の手入れをしたり、子供の成長を楽しみにしたり、一足先に死んでるはずの家族に土産物を用意したり。
狂っているんだろうか。
それでも幸せそうだ。
そんな穏やかで、思いやりに満ちた、充実した日々を過ごせることが羨ましくもあった。
ほのぼのとした日記ブログを読んでいるようで、少しずつ読み進めるのが楽しみだった。
でもこんな風には死にたくない。
最後まで読んで、そう思った。

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