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ゲゼモパウム 第一話

 私たち調査団は未確認生物ゲゼモパウムの調査を執り行うために砂漠の未開地に足を踏み入れた。この任務はゲゼモパウムの正体を調査する認識力と観察眼が必要であり、この生物の生態――つまりどのような生き物に分類される種族であるかという謎を克明に調査しなければならない。
 先ずはじめにこの手記を書いている時点でゲゼモパウムの生態系や人に危害を加える危険性の有無を調べ、司令部に報告することになっている。現時点で判明されているゲゼモパウムの生態は『高度な知能を持ち体格は小柄』それから『言葉を自由に話せる』ことだけだ。
 私たちは特殊なレーダー探知機でゲゼモパウムの住処を特定して、彼らを故郷の国に持ち帰る必要があった。
 私たちはゲゼモパウムの生態を世に伝えるのが最終目標であり、同時にそれはミッションコンプリートを意味した。
 最善の注意を払い調査することが大前提でもある。ゲゼモパウムは想像とは全く掛け離れた生物なのかもしれない。それでも私はこの任務に命を懸けてた。そして大事なことがある。それは兵長のことだ。私は兵長の命令には従わなければならない。兵長は調査団の長だ。私たちの上司でもある。兵長の命令は私たちの運命すらも掌握している。
 私たち調査団は僅かな食料と飲み物で飢えをしのいでいた。この砂漠の未開地には人間が生活できる最低限の物資すら不足している。食料を売る商人もいなければ、動物を殺し食料を得る術もない。
 砂漠はうねるような暑さで体力を容赦なく削った。私たちは慌てて水筒に入れてあるミネラルウォーターを飲んだ。この水が涸れれば私たちは息絶える。
 二等兵、一等兵、上等兵、伍長、兵長それぞれに支給されたラクダは私たちの困った顔など知らず何もない砂漠の大地を闊歩する。砂漠の草木は枯れて、太陽は落ちて、西に傾いた。砂トカゲやサボテンなどが砂塵に隠れて、足元を脅かした。しばらくすると視界がぼやけた。まるで幻でも見ているような目の錯覚をおこしていた。いや、違う。
 あれは確かにオアシスだ――そこには確かに湖があったし、湖でなければという希求があった。確かに現在地から数マイル離れた所にオアシスは存在していた。
 

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