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アート思考で新たな価値観を

今日のおすすめの一冊は、美術教師、末永幸歩氏の『13歳からのアート思考』(ダイヤモンド社)です。

「デザイン思考」とか、「アート思考」とか、アートやデザイン関係のさまざまな本を読みましたが、今回の「13歳からのアート思考」が一番分かりやすく、腑に落ちました。

末永さんは本書の中でこう言っています。
かつて、西洋美術が花開いたルネサンス期の画家たちには「目に映るとおりに世界を写しとる」という明確なゴールがありました。それ以来、彼らはおよそ500年あまりにわたって、3次元の世界を2次元のキャンバスに描き出す技術を発展させてきたのです。しかし、19世紀に発明された「カメラ」が20世紀に普及していったことによって、彼らを取り巻く状況は一変しました。
絵画による「目に見える世界の模倣」は、写真撮影という技術革新によって容易に代替されてしまったからです。しかし、これによってアートが死に絶えることはありませんでした。それどころか、20世紀以降のアーティストたちは「写真にできないこと、アートにしかできないことはなんだろうか?」という問いを立て、自分たちの好奇心の赴くままに、これまでになかった探究をはじめたのです。

それを本書では6つのクラスで紹介しています。

クラス1.「素晴らしい作品」ってどんなもの?/アンリ・マティス《緑のすじのあるマティス夫人の肖像》 クラス.2「リアルさ」ってなんだ?/パブロ・ピカソ《アビニヨンの娘たち》 クラス3.アート作品の「見方」とは?/ワシリー・カンディンスキー《コンポジションⅦ》 クラス4.アートの「常識」ってどんなもの?/マルセル・デュシャン《泉》 クラス5.私たちの目には「なに」が見えている?/ジャクソン・ポロック《ナンバー1A》 クラス6.アートってなんだ?/アンディ・ウォーホール《ブリロ・ボックス》

クラス6.に出て来るアンディ・ウォーホールは、「キャンベルスープ缶」で有名ですが、「ハインツのトマトケチャップ」とかラベルのコピー(というかパクリ)等、彼がデザインしたものではないので、独創性も感じられない作品です。アートはここまできているのか、とかなりびっくりです。

「これがアートだというようなものは、ほんとうは存在しない」と、歴史家・美術史家のエルンスト・ゴンブリッチは言います。そして続けて「ただアーティスたちがいるだけだ」とも言い切ってきます。

アート思考ということを考えたとき、そうか、「写真がこの世に出現して以来、芸術家たちはさまざまなことを実験し、古くからのしがらみや価値観を壊す戦いをしてきたのだ」、と思い至りました。そして、これはそっくりそのままビジネスにおいても言えることなんだろうな、と。今は、AIやITのDXが始まったばかりだとも言えます。

アート思考で、新たな価値観やいままでにない製品やコンテンツを生み出すチャンスのときだとも言えます。現代は、アートの世界でいう「写真」が「IT・AI」に変わったとも言えます。さらなる革新に向かって、さらにアート思考を深めたいと思います。

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