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アーティストでなくてもクリエイターになれる

今日のおすすめの一冊は、茶谷公之(ちゃたにまさゆき)氏の『創造する人の時代』(日経BP)です。その中から「おもしろいことを夢中でやる」という題でブログを書きました。

本書の中に「アーティストでなくてもクリエイターになれる」という興味深い文章がありました。

クリエーターと聞くと、音楽などのスキルを持った人、あるいは技術者などを想像するかもしれません。しかしアーティストや技術者以外にクリエーターはいますし、なれます。産業をつくるのも、新しい制度をつくるのもクリエーターといえるでしょう。 

たとえば、明治以降に多くの企業をつくり、 2024年に発行される新1万円札の図柄にも選ばれた渋沢栄一もクリエーターといえます。新しい日本には何が必要かを考え、銀行、ホテル、ガス、鉄道、製紙など、さまざまな機関の設立にかかわっています。 

もしかすると、みなさんは何か新しいものが生み出されるときには、まず「技術」に詳しくないと何も生み出せないと考えるかもしれません。しかしそんなことはありません。エンジニアは特定の技術について詳しいですが、専門外にはそれほど詳しくありません。

もちろん、銀行をつくりたかったら、銀行のビジネスモデルやどのような規制を課されているかくらいの知識は押さえておいたほうがいいでしょう。ただ、銀行業務の現場や顧客から預かったお金の運用方法などの詳細を知らなくても問題はありません。

渋沢栄一はわかりやすい例ですが、漠然と「こんなのがあったらいいな」「こんなものをつくれればいいな」という思いをどれだけ熱く語れるかのほうが大切です。 これは実際のつくる現場でも同じです。

ソニーの歴史を記したウェブサイト Sony History によれば、ソニーのウォークマンも創業者の井深大が海外出張の際に、機内で音楽を楽しむために小型で軽い再生機が欲しくなりつくりはじめたのがきっかけです。つくりたかったり、欲しかったりする情熱のほうがはるかに重要なことがわかるでしょう。

「つくる」の必須条件は、「チャレンジャー」であることです。 新しいことをやろうとする場合、周囲には、たぶん反対する人のほうが多いはずです。 「リスクが高すぎる」 「前例がないから」 などと反対され、もろ手を挙げて賛成されることは皆無に近いでしょう。

それは、まわりの人たちが「わかる」「使える」にとどまって、「つくる」人ではないからかもしれません。つくる人ではない人は、どうやってつくればいいかわかっていないからです。新しいものをつくることには、必然的にチャレンジが必要です。

「みんな、それぞれが、何か新しいことをやる、 それはすべて冒険だと、 僕は思うんです」 (植村直己/冒険家)

新しいことを始める人はすべて冒険者。なにも未開の地を探検するようなことではない。新しいコミュニティに参加することも立派な冒険だ。そして、新しいことを始めるのに抵抗がない人は、新しいことを「つくる」ことにも抵抗がない。

なにか新しいものをつくろうとすれば、最初は必ず失敗する。というより、失敗の山が築かれる。それでもめげずに続けるから、いつかどこかで成功できる。

だからこそ、失敗を恐れないチャレンジャーがクリエイターになれる。

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