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昔何をやっていたのかは関係ない

今日のおすすめの一冊は、出口治明氏の『還暦からの底力』(講談社現代新書)です。その中から「次世代のために働くこと」という題でブログを書きました。

本書の中に「昔何をやっていたのかは関係ない」という心に響く話です。

日本で金融資産を持って い る人の多くは高齢者です。裕福な人たちに年金が入って、シングルマザーなど、経済的に本当に困っている人たちにお金が配分されないのは、社会がまちがっています。そうした意味でも早く年齢フリーの社会にしていく必要があります。
年齢フリーで働く素晴らしい見本だと思うのが、2018年に6勝4敗でカムバック賞 を受賞したプロ野球の松坂大輔選手です。 甲子園で春夏連覇し、日本のプロ野球でルーキーイヤーから最多勝を3年連続で獲得し、米大リーグでも活躍した松坂選手はど、華麗な経歴を持っている現役選手は他にはい ません。
しかしケガで長期にわたって苦しんだ松坂選手は2018年に中日ドラゴンズへ入団するとき、テストを受け1500万円の年俸(推定)で入団しました。「俺は大リーグでブイブイいわせていたんだぞ」などと、過去の栄光にものをいわせるようなことは一切していません。
そもそも働くということは、昔、何をやっていたのか、何ができたのかは関係がな く、現在の能力と意欲、体力に応じてそれにふさわしい仕事をするというのが世界の常識です。日本もそういう当たり前の世界を目指すべきです。
高齢者のなかには「昔は大会社の役員だった」などと過去の栄光にすがったり、「昔の 部下に使われたくない」と不満を漏らしたりする人がいますが、こうした歪んだ敬老精神はなくしていかなければなりません。
以前、平均年齢が70代後半というグループで講演をしたときのこと。名刺交換をした方 のなかで、3人の方が「元〇〇株式会社常務取締役」などと過去の経歴を書いておられて、何か悲しい気持ちになりました。過去の経歴を現在の名刺に入れて一体何になるのでしょうか。
ハローワークに行って「自分は昔、大企業の役員だったので、それにふさわしい仕事はありませんか」という人が多々いると聞きます。こんなおかしな話が世界中どこにあるというのでしょうか。今何ができるか以外に、仕事なんて見つかるはずがありません。こういう歪んだ年功序列や敬老精神の蔓延が日本を蝕む病巣の一つです。
大した相談もされな い のに相談役などと称して会社に居座るような人たちも、この好例 です。 僕はライフネット生命の会長を2017年に退任しました。還暦で開業し、上場。社長、会長を10年務めて、古希になったタイミングで売上が100億円を超え、営業キャッ シュフローも約10億円となったので、経営的にはもうそれほど心配はないだろう。
そして 今社長を務めている森亮介君は当時33歳の若さでしたが、彼が一所懸命仕事をしているのを見て彼に代表取締役を譲ったほうがいいと考えたのです。 辞意を会社に伝えると、最初、指名・報酬委員会からは「最高顧問でしばらく残ってく ださい」といわれました。しかし何が最高なのか、わけがわかりません。だから僕は会社 と業務委託契約を結び、会社のPRと後任の育成を手伝うという契約を交わして、仕事を するようにしました。
 
若い社員からは「代表取締役会長から一業者になったんですね」といわれましたが、僕 は「そうやで」と。そのほうが、はるかにわかりやすい。取締役を辞めてよくわからない 肩書をつけるのではなく、どういう役割を果たすのか及びそれに対する報酬を明確にし て、一業者になって仕事をするほうがずっとフェアでしょう。
わが国の敬老精神はもともと朱子学(儒教)に淵源を持つものですが、さらに深掘りす れば、敬老精神は高度成長期・人口増大社会特有の考え方で、基本的に人間の動物としての本性に反しています。つまり、「高齢者は若い世代のために生きている」というごく当たり前の考え方とは真逆なのです。

こんなデータがあります。『厚生労働省の平成30(2018)年の「経済財政諮問会議(加藤臨時委員資料)」によれば、65歳以上の就業率の高い県ほど、医療・介護費がかからない』。働き続けている人が多いところほど、健康なんですね。

また、若い頃からずっと飲食店をやりたかったという、大手の会社の元役職者が始めたお店に行ったことがありました。しかし、何年か経つとその店は閉店してしまいました。理由は武士の商法です。元〇〇部長という肩書が邪魔をして、人に頭を下げたり、笑顔でいるという商売として当たり前のことができなかったからです。

まさに、昔何をやっていたのかは関係ないのです。今現在、サービスマインドを持っているか、起業家精神を持っているか、好奇心旺盛か、常に肯定的か、リスクを取ることを躊躇しないか、等々のマインドを持っているかです。

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