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「遊び(刺激)」がなければ脳は育たない

今日のおすすめの一冊は、中野信子氏の『賢くしなやかに生きる 脳の使い方100』(宝島社)です。その中から『新奇探索性が強ければ「自分らしい生き方」ができる』という題でブログを書きました。

本書の中に『「遊び(刺激)」がなければ脳は育たない』という心に響く文章がありました。

いまの時代は、「賢く生きていくために極力無駄なことをしないという、合理主義的な思考や方法論が評価されがちです。 仕事は当然のこと、 生活にも合理性を追求し、「必要なことしかしない」「必要なものしか持たない」 スタイルが、まるで人として素晴らしい振る舞いであるかのようにもてはやされることもあります。 

その反面、「遊ぶ」ことは、生きていくために必要のない、いわば無駄なものにリソースを割く行為とみなす人もいます。特に、文化や芸術などの創造的行為に取り組むことは、 本来人間として豊かで洗練された営みなのですが、 これらも 「すぐ役に立たないこと」として排除されることがあります。 

しかし、人間の脳は機械のようにはできていません。脳が育っていくためには、実は「遊び(=刺激)」の要素がかなり必要なのです。 1998年にアメリカのソーク生物学研究所の研究者たちが、大人になっても脳に新しく神経細胞が生まれることを発見しましたが、新しい細胞が生まれたとしても、「遊び」 の要素がなければ細胞はすぐに死んでしまいます。 

この十数年、日本人は「勝ち組になれ」 「無駄なことをするな」 「生産的に生きろ」 などといわれ続けてきましたが、こんな状態で健全な自己肯定感を持って生きていくことなど、到底無理でしょう。 

また、社会から「遊び」を排除した反動なのか、極端な新興宗教やスピリチュアルなものにのめり込む人も増えたように感じます。怪しいビジネスや、ネットでの中傷行為などにハマる人もたくさんいます。

しかし人間は、本来もっと 「遊び」 が必要な生き物であり、わたしは人間を人間たらしめている条件のひとつこそ、「遊ぶこと」だと考えているのです。 

《人間の脳は機械のようにはできていない。 文化や芸術などの創造的行為に取り組んだり、鑑賞したりすることはすぐ役には立たない 「遊び」かもしれないが、人間を人間たらしめる条件のひとつといえる。》

「人生は冥途(めいど)までの暇つぶし」とは、今東光大僧正の言葉だ。続けて、「極上の暇つぶしをしなくてはあかん。人生は誰と出会えるか、その積み重ねでしかないんだよ」と、語ったという(島地勝彦)。

「暇つぶし」とは遊びのこと。「無駄なこと」や「役に立たないこと」、「生産性のないこと」などなどを、大の大人が真剣にやることだ。

今日のブログはこちらから→人の心に灯をともす


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