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猫と公園

今日のおすすめの一冊は、北野唯我氏の『これから市場価値が上がる人』(ポプラ新書)です。その中から『すべては「価値の交換」』という題でブログを書きました。

本書の中に「猫と公園」という興味深い文章がありました。

世界において価値のあるものは2種類存在すると、私は考えています。
まず1つは、資本主義に「のりやすくて」、価値のあるもの。
もう1つは、資本主義に「のりづらくて」、価値のあるもの。

後者の《資本主義に「のりづらくて」、価値のあるもの》の象徴と言えるのが「猫と公園」だと思っています。

猫とは「自由の象徴」。猫という存在は、わがままでときに甘えん坊で人懐っこくすり寄ってきます。しかし、あるときは急にプイと冷たくなり、フラッとどこかへ行ってしまったりもします。ただその猫も、結局、人間に飼われている、という意味では実は資本主義のレールに乗っています。

これは私たちがまさに憧れる「ギリギリの自由」という概念に近い。資本主義社会の恩恵を味わいながらも、「自由でひょうひょうとしていたい」。さらに、猫という存在は「役に立たないが、価値のあるもの」の象徴としても存在している。「役に立たない」とは、たとえば、家事をしてくれたり、仕事をサポートしてくれたり、はしてくれないという意味です。

もう一つの「公園」は、どの都市にもあります。経済合理性からしたら、役に立たないものです。しかし、周辺住民にとっては、憩いの場であり、遊びの場になり、景観、環境もよくなります。つまり、猫と同様、公園という存在は資本主義には乗りづらいが人々を幸福にしているのです。

世には、いわゆる「クリエイター」と称される職業の方はたくさん存在していますが、私は、エンタメ業界や芸術や美術関連の方たちだけを指すのではなく、仕事で企画やアイデアなど「何か」を形にしている人は、誰しもが「クリエイター」だと思っています。 私もクリエイターですし、読者の皆さんのほとんどもクリエイターということです。

 「社会に役立つ新しいアイデアを思いついた!」 「好きな○○を世の中の多くの人に知ってもらいたい!」 「このサービスなら多くの人の生活を楽にできる!」 というように、これからのビジネス、社会の「クリエイター」である皆さんが、多くの人々の心豊かにする何かを世に出したいと思ったとき、意識していただきたいことが、ここまでの「猫と公園」の話になります。

 「猫」「公園」は、ここまでの説明の通り、アナロジーで「資本主義社会に乗りすぎず、人々の心を確実に豊かにするもの」を指します。 言うならば、「資本主義に併設する感覚」を持ち続けてほしいと、私は思います。 

あなたにとって、誰かの心を豊かにするために、何かやりたいこと、成し遂げたいこと、形にしたいことがあるなら、絶対に「資本主義」から離れていけません。 そして思うのは、成果を残して生き生きと自分らしく働いている経営者やビジネスパーソンほど、この「猫と公園」の感覚を持っているように思います。 

これは実は昔からそうでした。たとえば、お坊さんが修行する寺は、常に「街から遠すぎず、しかし、近すぎない場所」に立てられた、といいます。まさに究極的なゴール、悟りや無欲を目指す修行僧すら、この「併設する感覚」を持っていたわけです。

◆実際多くの商品や、様々なアプリやガジェット、仕組み、芸術、スポーツなども、「猫と公園」のように、直接仕事などの役には立たないが、QOL(Quality of Life)という「人生(生活)の質」を上げるために必要だからこそ、存在する。

我々は、誰もが「クリエイター」だ。生活を豊かにするため、楽しくするため、面白くするためのアイデアを日夜考え、実践している。

「猫と公園」という自由の感覚を忘れず、日々クリエイティブに過ごしたい。

今日のブログはこちらから→人の心に灯をともす


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