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ブランド人とは

今日のおすすめの一冊は、トム・ピーターズ氏の『サラリーマン大逆襲作戦 ブランド人になれ!』(CCCメディアハウス)です。その中から「ヘンな人と友だちになろう」という題でブログを書きました。

本書の中に「ブランド人とは」という心に響く文章がありました。

「これまでは無名でものんびり暮らせたが、これからはそうはいかない」(マイケル・ゴールドハバー)
「二年ぐらい前に気がついたの。わたしはもう、どこかの誰かさんではなく、ブランドなんだって」(マーサ・スチュアート)
一九五〇年代。恵まれた連中は、大学を出て、有名企業に就職した。そして、波風を立てず、面倒なことに巻き込まれなければ、順調に出世できた。「お仕事」を聞かれたら、胸を張って会社の名前を答えた(会社の名前こそ、自分という人間の存在証明だった)。
そして、時は流れる。子供たちはどんどん大きくなり、家を離れ、結婚し、孫が生まれる。五五歳になり、六五歳になり、めでたく定年。四〇年余りの涙ぐましい忠勤が報われ、退職金がたっぷり出る。あとは年金でのんびり暮らすだけだ。 これが第二次大戦後の人生設計だった。
しかし、一九七五年頃から世の中がおかしくなってくる。外国企業との競争がはじまり、アメリカの絶対優位が崩れ、コンピューターが単なる計算機ではなくなってくる。 そして、世の中はてんやわんやの大騒ぎになった。一九八五年頃のことだろうか、グローバル化に拍車がかかりはじめたのは......。
そして、だれの机の上にもコンピューターが置かれるようになり、それがネットワークで結ばれるようになり、電子データ交換が普及し、そして、インターネットの時代が来た。 
それまでレイオフといえば、だいたい重厚長大産業の話だったが、その波はついに時代の最先端を行く企業まで呑み込んだ(お隣のご主人、IBMに二七年勤めて、突然クビになったって......。一番上の娘さんがこれから大学に行くっていうのに、学費をどうするつもりかしら)。つまり、もう他人事じゃないってことだ!
ライトサイジング(規模の適正化)といえば聞こえはいいが、実態は人員整理にほかなら ない。しかし、いくら呪ったところで、時計の針は戻らない。ついに、ホワイトカラー革命 が起こったのだ。瓶から飛び出してしまった悪霊はもとに戻せない。
そう、これは革命なのだ。ホワイトカラーの九割以上が、今後一〇年から一五年以内に、 煙のように消え失せるか、昔日の面影をとどめないほどに姿を変えるだろう。
だけど...... おもしろい時代が来ると、私は思う。考えただけで背筋がぞくぞくする。思う存分、自分の力を試せる時代が来ると、私は思う。私は、私の親父のように、四一年間も、月曜から金曜まで、家と会社の間を往復したいとは思わない。親父はつまらない人生を送ったと思う(ごめんね、父さん)。 私は、この仕事をうまくやらなければ、次の仕事は来ないという仕事が好きだ(植木屋さんのように、ハリソン・フォードのように)。
喝采をあびるか、罵声をあびるか。私はそういう世界で生きたい。 驚くべき事実――新しい時代が来たとはいうけれど、デビー・クロケットの時代と本質は何も変わっちゃいない。要するに、自分の才覚で生きるしかない。その場その場が真剣勝負 だ(ゼロックスのCEO、ポール・アレアの言葉を借りれば、新しい時代とは「ルールのない乱闘」のことだ」)。
「こんな話を聞くと、胸がわくわくするか、それとも足がすくんでしまうか。正気の人な ら、わくわくしながら怯(おび)えているだろう。先が見えないときは、誰だって恐ろしい。しか し、何をやるかはすべて、自分で決められるようになったのだ。こんなにうれしいことはな いと、私は思う。
要は気がまえである。当分の間は、会社勤めを続けるとしても、個人事業主のように考 え、行動しよう。個人事業主は独立独歩、頼りになるのは自分の腕だけだ。その腕をつねに 磨いていかなければ、明日にでも食いっぱぐれる。個人事業主の売り物は、自分の実績と自分のプロジェクトしかない。
だれにも頼らず自分の力で生きていける人を、私は「ブランド人」と呼びたい。ひとめで 違いがわかるもの、お客さんの期待を裏切らないもの、人の心を癒すもの、グッとくるもの ――それがブランド人である。

これは、今から20年以上も前に書かれた文章だ。当時から20年の間、アメリカでは着々とこのブランド人化が進んでいた。そして、その結果、2021年の統計によると、アメリカのフリーランス人口は5900万人で、全労働者の36%を占めたという。大学院卒業以上の学歴を持つ労働者の51%がフリーランスだ。これは、前年対比で6%の増加している。

片や日本では2021年時点でのフリーランス人口は1577万人で、全労働者に占める割合は23.6%。5年後にはアメリカと同じパーセントになると言われる(もっともその時はアメリカはもっと増えているはずだが)。(ジェイシーズ・記事より)

あと何十年か経ったら、世界の労働者の半分はフリーランスとして生きていかなければならない時代がくる。つまり、個人が自分の才覚で生きていかなければならない時代だ。そのこと対して、わくわくするか、はたまた意気消沈するか。これからの生き方にかかってくる。

おもしろい時代がやってきた、と思えるような人でありたい。

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