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本屋で「新たな好奇心」

今日のおすすめの一冊は、嶋浩一郎氏の「アイデアはあさっての方向からやってくる」(日経BP)です。その中から本書と同名の『アイデアはあさっての方向からやってくる』という題でブログを書きました。

本書の中に「好奇心や嗅覚を育てるには『本屋』に行こう」という素敵な一文がありました。

「ネットの集合知に頼る=自分の好奇心や嗅覚を育てる機会を放棄している」という話をしましたが、好奇心や嗅覚を育てられる身近な存在があります。それは本屋です。 みなさまは最近、本屋に足を運んでいますでしょうか。
実を言うと私ども博報堂ケトルは、ブックコーディネーターの内沼晋太郎さんと共同で東京・下北沢に「本屋 B&B」という小さな本屋を経営しています。 こう話すと「ネット全盛時代に何で本屋なんてやってるの?」とよく聞かれます。時代の流れからすれば逆行しているように見えるんでしょうね。 でも僕は、そこはあまり意識していません。
そもそもネット書店とリアルの本屋では全く役割が違っていると思っていて、リアルの本屋でしか得られない“素敵な体験”があるから本屋をやっているんです。 これはネット書店サービスを否定しているわけではありません。ネット書店は買いたい本があったら24時間いつでも頼めて、翌日に届いたりもするので便利ですよね。買いたい本が決まっていれば、そっちの方がいいくらいです。
でもですね、リアルの本屋は私たちにとって非常に魅力的な空間なんです。大げさに言えば、人生を変えてしまう可能性を秘めている場所でもある。 ですからここでは少し、本屋についてお話しさせてください。

本屋の最大の価値は、「自分の新たな好奇心を発見できること」と言ってもいいでしょう。人は意外に「好奇心の可能性」を自ら封印してしまっていることが少 なくありません。

例えば、ネットでしか情報収集をしていない人は、自分の興味関心領域を制限しているとも言えます。言語化できる自分の好きなものは、ネットでいくらでも 情報を手に入れられますが、自分が「気づいていない好奇心」はネットでは見つ けにくいんですね。
一方、本屋では自分の興味の範囲が大きく広がります。「新しい好奇心」「新しい自分」を発見できるんです。「つい、買うつもりのない本まで買っちゃった」と いう経験、ありますよね。そういう意味で、「良い本屋=買うつもりのない本まで買っちゃう」だと思っています。
ネットは「フィルターバブル」の問題もあります。 フィルターバブルとは、ネット上のレコメンド機能(オススメを表示するフィルター機能) によって利用者の興味関心のあることしか入手できなくなること。
「あなたには、これも、それもオススメです」と表示してくれるのはありがたいのですが、そればかりだと興味関心が偏ってしまいますよね。 もちろん興味関心を広げてくれる関連情報もありますが、そこに意外性はあまりありません。 でも本屋は、店内をぐるっと回るだけで、興味関心の領域を次々と広げてくれ る。
全く興味を持っていなかった分野も、ユニークな視点で書かれている本を手 にした瞬間にハマってしまうことも少なくありません。 自分の「新たな好奇心」を見つけられる本屋に、早速、足を運んでみませんか。

スティーブ・ジョブズは、自動車王ヘンリー・フォードの言葉をよく引用していました。「もし、顧客に、彼らが望むものを聞いたとしたら、彼らはもっと速い馬が欲しいと答えていただろう」(フォード)。馬車しか知らない人々に要望を聞いたら、自動車が欲しいとは絶対に言わない、ということです。

つまり、「人々は本当に欲しいものがわかっていない」ということです。それをジョブズは「顧客が望むより先に、彼らが望むであろうものをつくること」だと言っています。だから、iPhoneができたんですよね。

「本人もまだ気づいていない欲しいもの」、それがこの本屋さんの体験だと思います。だから、「つい、買う予定のない本を買っちゃった」ということになります。リアル本屋さんもそういう視点で見ると非常に興味深いです。

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