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HSP介護士として、どう生きるか。

たとえばフルタイムで介護の仕事をするHSPは、一日仕事をした後、ほとんど力が残っていないと言います。HSPは共感力が高いがゆえ、ほかの人たちの気持ちを敏感に感じとり、それに左右されます。
 「鈍感な世界に生きる敏感な人たち」イルセ・サン

近頃よく耳にするようになったワードのひとつに、“HSP”というものがある。日本語で“超敏感者”と訳され、もっとカジュアルに“繊細さん”と書いてある本もあった。
 なにかで見かけた記事に、HSPの特徴として、以下の4点があるらしい。

●HSPの4分類
・刺激を強く受けやすい
・情報を深く処理する
・感情反応が強く、共感力も強い
・小さな刺激や変化に敏感

わたしは幼い頃からたいへんな泣き虫で、人見知りが異様に強く、親にとっては大変だったらしい。成長すると泣くことはなくなったが、その代わりに寡黙で人と関わることをせず、教室では教師に当てられないように戦々恐々としながら授業をやり過ごしていた。
 一方、姉が子供の頃はまったく泣かなかったというし、まったくアクティブに活動的な性質なので、同じ血を分けた兄弟でもここまでまるで正反対になるのが不思議なものです。

文字どおり、わたしは野良猫のように神経質で、警戒心の強い子どもだった。いまも基本的には変わっていないと思う。そういう人間が、介護という対人援助の仕事をするときに、人よりも消耗しやすい面はあると思う。
 ケアに入るときに、高齢者のなかにはしかめ面をしたり、「痛いっ」と口にしたり、嫌がったりすることはザラにある。それでも、仕事だから本人の意志に反したとしても、やらなきゃしょうがない部分もある。そういうちょっとしたことで、少しずつ神経をすり減らしていく仕事といえる。
 また、HSPは感覚が敏感なことが多いと思うけれども、とくに質の低い介護施設ではあちらこちらで尿臭やときには便臭が漂っていたりする。そうしたいやな臭いの記憶が、仕事が終わって帰宅してからも残っているような気がして、なんかいやな感じがしたりします。

さらに困ったことに、介護業界そのものにも、職員を疲弊させていくようなカルチャーがあることである。
 たとえば、情報科学者でメディアアーティストの落合陽一は、次のように書いていた。

介護施設に漂う生活感やコミュニティ感により、介護職一人ひとりに家族同然の親密な関係性が当たり前のように求められているのです。しかし、この感覚が求められる中で仕事を続ければ、誰でもいずれは心労を覚え、疲れ果ててしまうのではないでしょうか。僕は、いまの介護職に求められている過剰なコミットメントは美徳ではなく、歪だと感じています。
 「落合陽一34歳、老いと向き合う」

介護の現場に足を運ぶ中で、僕がとくに気になっているのは、介護現場に根強く残る「根性論」。多くの介護職が「自分が頑張らなければ現場が回らないんだ」と強すぎる責任感を持っていることに敬意を感じるとともに、問題も感じました。
 同上

よく思うことに、介護業界は消耗戦だなと思う。そこでは職員が疲弊して、いずれ脱落していくのは時間の問題のようにも思える。さらに、人手不足やコロナ禍、最近のエネルギー高による経営悪化、といった問題が追い打ちをかける。
 こうした環境があるなかで、HSP気質の介護職は、日々をどうやっていけばいいのか。基本的なところでは、日々のストレス管理はとても重要だろう。
 わたしは以前の記事で、「社会人のための最強のストレス管理法」というものを書いた。基本は、果物や野菜重視の食生活、休日には運動、生活リズムを整え、夜にスマホやブルーライトを浴びないこと朝は決まった時間に起きること、などを推奨しています。
 また、手書きの手帳を活用することも有効である。手を使って書き出すことによって、あたまの中が整理されるというのもあるし、こころが軽くなる面があるからです。

朝出勤するのが気が重いときに、ちょっと呼吸を意識するだけで、気が楽になることがある。まず口から吐き出して、鼻から吸う、これをその場の状況に合わせて早めたりあるいは遅くしたりするのである。
 内面的な方法として、もうどうにもならないほど苦しくてつらいときには、「私は誰か?」と自分に問いかけたりもします。「私は私」に決まっているわけだけど、そこでさらに「私は誰か?」と問いかける。これは南インドのある聖者が勧めていた探求だけど、苦しんでいる自分がちっぽけに思えて、心を軽くするためのひとつの方法だと思う。

また、HSPが陥りやすい疾患やトラブルには、次のようなものがあるらしい。

私個人の経験で言わせてもらうと、お医者さんに行っても、役に立つ提案やアドバイス(または薬)をもらえることはめったにありません。私たちの不調を引き起こしている根本原因に対処してもらえないからです。…ちなみに、HSPの人がよく一般医療の対象になるのは、不安症、注意力の問題、うつ病、腹痛です。
「繊細さんの4つの才能」

わたし個人も、不眠症/睡眠障害にかかって睡眠薬に依存した経験があるけれども、安易に医者と医療にかかることはまったく勧めません。
 現代医療は根本的に病気を治癒するものではないし、へたに薬に頼ると病状を悪化させるだけでなく、止めるのに大変な苦労をすることになります。


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