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【書評?】死んでもいい

櫛木理宇著 死んでもいい ハヤカワ文庫

まずはじめに

書評というようなものは書けないなと思うので、ネタバレしない程度に自分の思ったことを書いていけたらな思っている。櫛木理宇さんの作品は初読。タイトルに惹かれて何となく購入したので、読み応えのある内容に少し疲れつつも、短篇集なので読みやすくもあり、ページを捲る手はなかなか止まらず、止め時が分からない作品だった。

全6篇からなる短編のそれぞれを紹介するのは骨が折れそうなので、私が気に入った作品を2篇紹介しようと思う。

死んでもいい

表題作であるこの作品は、クラスメイトの不良少年が何者かに殺害され、重要参考人として、不良少年にいじめられていた少年が取り調べを受けるところから始まる。彼は、その取り調べで「ぼくが殺しておけばよかった」というのだが、その理由はとても歪な彼らの関係を表したものだった。

いじめっ子といじめられっ子、普通に考えれば「ぼくが殺しておけばよかった」というその言葉は恨みからくるものだ、けれど彼にとってはそれは違う意味を孕んでいる。そしてそれは、不良少年が殺された理由にもつながっていた。

私の感想としては、後味悪いなあである。しかし、後味悪い作品が大好きな私にとっては大好物だった。ありがとうございます。いじめられっ子といじめっ子の関係でこんなものがあるんだなと考えさせられ、そうかこういう歪さも存在するのだなと思った。

その一言を

ストーカーの女が、ストーキングしていた男の妻を襲い逮捕された。そこから物語は始まる。ストーカーの女と、男の妻の邂逅から起きた悲劇そして、そこにある2人への一種の救済。

これは2人の女性の物語です。正直ストーキングされてた男はおまけのようなもの。けれど、この男が居なかったらこの2人の邂逅はあり得ないのかもしれないので、必要な人物ではあります。

私の感想としては、2人ともある種救われたのかもしれないと思ったということ。その一言をお互いが求めあい、求めあった末に悲劇が起こり、そして女は逮捕された。逮捕されたとしても、きっと女は満ち足りた気持ちだったのだろうなと。だから刑事は気味悪がるくらいに、微笑んでいるわけで。

後味は良くないのかもしれないが、救済はあると思う。この短篇集の全ての作品に言えることだが、好みは分かれると思う。私は、好きな作家さんだなと初読で思ったので、他の作品も読もうと思う。

終わりに

なんとなくで買ったものの、随分と時間をかけつつ楽しめた作品だった。後味悪いの好きだよ!!という方にはおススメしたい。苦手だなと言う人にも、その一言をだけでも読んでほしいかなと思う。


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