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【書評?】彼女は存在しない

彼女は存在しない 浦賀和宏著 幻冬舎文庫

あらすじ

平凡だが幸せな生活を謳歌していた香奈子の日常は、恋人・貴治がある日突然、何者かに殺されたのを契機に狂い始める……。同じ頃妹の度重なる異常行動を目撃し、多重人格の疑いを強めていた根本。次々と発生する凄惨な事件が香奈子と根本を結びつけていく。その出会いが意味したものは――。
(裏表紙より)

感想

浦賀和宏さんの作品は初読。書店で何気なく棚を眺めていたら、タイトルと装丁が目に入り何となく購入した。裏表紙も見ず、あらすじも知らないままに読んだ結果、とても面白い作品に出会えた。

物語は主人公の香奈子と、妹が多重人格なのではないかと疑っている根本の視点が交互に描かれる。全体として描かれるテーマは精神疾患や虐待など重く、描写も生々しいので読む人を選ぶとは思う。

けれど、だからと言って敬遠しないで欲しい。最後の1行はとても切ない。全てがわかるととても切なくなるようになっている。私は見事に作者の罠に引っかかり違う方向に推理をしていた。

最後の1行を読んだとき、そうか、そうだよなとなる体験を他の人にもしてほしい。

文体は冗長とも思える部分もあるけれど、とても読みやすく、さらさらと読み進められる。400ページ超のボリュームではあるけれど、そのボリュームを感じない。もちろんいい意味で。

2001年に出た作品ということで、かなり懐かしい描写が垣間見えるのもいい。刊行当時私は12歳。とてもこの作品を読むような年齢じゃない。この頃の私はハリーポッターをひたすらに読んでいた。当時の流行を反映した作品はタイムスリップしたかのような体験が出来るのも魅力の一つだなと感じた一冊。

終わりに

これはあくまで書評?であり、書評の体をなしていないかもしれません。個人の読書感想文として読んでいただければ幸いです。

さて今回は『彼女は存在しない』浦賀和宏著を書評?してみました。とても面白く、物語が終わった時とても切ない気持ちになりました。ぜひ皆さんも読んでみてはいかがでしょうか。




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