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「2021.11.20 スコットランド代表×日本代表」観戦レポート

スコットランド戦を終えて。

11/6アイルランド戦11/14ポルトガル戦、ヨーロッパでの2試合はすっきりしない内容だった。
日本代表にとって今シーズン最後の試合は、2022年に向けてとても大事な一戦になる。皆、頼む!!という気持ちであった。

試合が始まると、ジャパンは明確な意思表示を見せた。最初の数分間、全くボールを蹴らず、攻め続けた。これまでの2戦ではキックの選択が多かった日本だが、選手も覚悟を決めてアタックしているようだった。このプレーで日本代表は勢いが出た。僕も個人的にワクワクした。
おそらくヨーロッパでの3試合の戦略は事前に決めてあるとは思うのでそれを変えたのではないと思うが、どんどんボールを動かすスタイルはやはり観ていても気持ちが良い。今日の試合は期待ができると感じた。

しかし、キックの単純なオフサイド(キッカーより前にいた選手がそのままプレーしてしまった)を取られ、その後のプレーでも単純な反則を重ねてしまい、日本のトライライン5mまで攻め込まれる。モールはなんとか止めたものの、最後はウイングのファンデルメルバにボールを持ち込まれ、そのままトライを取られた。
日本の良いところと同時に、最近問題になっているという規律の課題の両方が垣間見られた序盤戦だった。

日本代表は良く攻めた。
この試合のレフリーはディフェンス側に厳しく笛を吹く人であったことは功を奏した。その笛にプレッシャーを受けたスコットランドは小さな反則を繰り返し、日本はペナルティーゴールで加点することができ、日本にいい流れがきた。
良いディフェンスから相手の効果的ではないキックを誘い、松島選手がカウンターアタックで素晴らしいゲインを見せてくれた。今日はいよいよ日本の日になるかもしれないと高揚した。
この試合のペースを一気に変えたのは、スコットランドのキャプテン、スチュアート・ホグ選手であった。日本のキックを受けた彼は、日本のプレッシャーが少し弱いことを突き、ディフェンスラインを切り裂いた。このプレーを皮切りに、その後のスコットランドはボールを動かし続け、ボールは最後、再び彼の手へ。見事に一人をかわして、トライを取った。
これには、会場が沸いた。それまでの日本ペースが吹き飛んだ。

その後は均衡した戦いになったが、前半の最後に、スコットランドが敵陣でのスクラムを得た。スクラムでのスコットランドのプレッシャーに対し、日本のフォワードは良く耐えた。よし!!次は、バックスのアタックを止めたい!と思っていたが、残念ながら願う展開にはならなかった。
スコットランドは準備してきたサインプレーで、鮮やかにトライを取り切った。
日本代表には、バックスが誰をチェックするかのちょっとした連携ミスもあった。良い形で試合をしているだけに少しもったいない前半が終了した。

後半が始まっても日本は変わらずに攻めた。その甲斐もあり、スコットランドは反則を繰り返してシンビン(イエローカードが出て10分間退場する)になった。この間に日本は加点したが、スコットランドはしぶとかった。シンビンが終わって15人揃った直後、少ないチャンスを活かして、モールからトライを奪った。

14点差になり、日本代表はこれ以上点を取られると厳しい状況を迎え、積極的にメンバーを変えた。これまでブレイクダウンやタックルで格闘してきたマイケル・リーチ選手を下げ、テビタ・タタフ選手を投入。両プロップも交代した。
交代を機に、中盤のマイボールスクラムから、上手く新ルールを使ったプレーが光った。

新ルールとは、自陣のスクラムやラックなどからキックを蹴り相手陣のゴールから22m内のところにバウンドしながらタッチにそのまま出た場合に、もう一度マイボールのラインアウトから再開できる、というもの。

スクラムから出たボールを、中村亮土選手が相手の15番スチュアート・ホッグ選手の背中を越え転がりながらタッチに出る見事なキックを蹴った。新ルール適用で、大チャンスが到来した。マイボールのラインアウトから交代で入ったタタフ選手がトライを取った。待望のタタフ選手の初トライだった。

その後も攻め続けてペナルティゴールを奪い、6点差にまで迫った。僕は日本テレビの中継に出演していたのだが、もしかしたら勝てるかも!!と高揚し、解説だったにも関わらず口数が少なくなってしまった。
ここで耐えればもう一度チャンスがくるはずだ、と思っていたが、残念ながら日本のミスやディフェンスでの反則があり、敗戦となった。
日本代表の規律が気になる終わり方だった。

とは言え、ポジティブな要素もある。今日の試合は勇気を持ってアタックし、自分たちのペースに持ち込む姿を見せてくれた。セットプレーも安定してきた。若いバックスの選手にとっても良い経験になった。
コロナ禍でなかなか活動できなかった2021年の日本代表が現在地を体感できたことは大きい。1月から新しい国内リーグ「リーグワン」が始まる。その中で鍛錬を繰り返し、日本のラグビーファンに素晴らしい試合を見せて欲しい。その延長線上に6月からの日本代表テストマッチがある。
2023 年フランス大会まで、残された時間は多くない。ここからベストを尽くし、フランスで再び歓喜の瞬間が訪れることを信じて応援していきたい。

僕としては「リーグワン」を僕なりに盛り上げようと準備している。まずは一つのチームでロールモデルを作りたい。
皆さんがラグビーの試合会場に来る楽しみを増やし、選手たちにより大きな声援が届くようにしたいなと思っている。

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