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気がつけば博士後期課程標準修了年限の半分以上経過

2022年の4月に入学(入院?)してから、あっという間に1年半どころか1年と7ヶ月が経過しました。簡単な大学生活の振り返りと現状の自己確認をしてみたいと思い、このノートを書いています。

2022年前期

右も左もわからない状態。主任指導の先生は入学時の希望通りですが、いかんせんコロナもあって面接試験はZoom、合格後もメール以外ではZoomで一回やりとりしただけの状態で、対面授業が再開されたばかりの大学の授業が始まりました。そして2週目にまさかのコロナ感染。苦笑

ワクチンのおかげか、幸いコロナの病状も軽く、自宅軟禁期間の14日をこなした後は、通学再開し、指導教員、副指導の先生のゼミ形式、テキストの輪読と発表にで、週に1、2度大学に行く、という生活パターンが始まりました。

入学時に研究計画書は書きましたが、この時期は論文の内容も何も雲を掴むような感覚というか、何もわからなかったというのが正直なところです。授業の中で自分の研究の現状を発表する、ということもあったのですが、リサーチクエスチョン(RQ)とはなんぞや、とか、仮説と検証というような研究の「型」のようなものも当初は全くわかりませんでした。この辺は社会人学生はみなさん苦労する点のようです。(どうしてもビジネスレポートになりがち)

研究科全体発表

私の大学では、ちょうど2022年から人文社会系の大学院生全員が、在籍する院生(学部生でもその日に会場に来れば発表を聞けます)対象に、年2回、自分の研究を発表するという制度ができました。その運営はD1の博士後期の学生が行い、博士後期の修了要件でもあるという制度になっています。ごくわずかですがRAとしての報酬もあります。

この機会に多くの分野の研究に触れる、また数少ない(苦笑)文系博士後期の方と知り合う機会ができたのは良かったと感じます。こういうプロジェクトを回すというのは社会人として経験が使える機会でもあったんですが、大学側も初めての取り組みでリソースもない中、よくできたなと今振り返ると思います。例えばZoomの公式アカウントが使えず、丸1日使うイベントの中で国外からのオンライン発表もこなすため、時間制限なく使えたGoogle Meetを急遽テストして使うとか、日本語と英語、両方でのメンバーコミュニケーションとか、結構大変でした。初回以降はオンライン発表などのツールもちゃんと整備され、ドタバタは少なくなっているようですが、大変だった分経験値も大きかったんじゃないかと感じます。

あとアゼルバイジャンからの留学生が、母国じゃこういうのは全部IT部門が裏方でセットアップして、運営も発表もIT以外のことに集中できるんだけどなー、と言ってたのが印象的でした。Wifiでの全学での通信環境やプロジェクター設置など、ハード面では日本の普通の会社や官公庁よりははるかに充実していて全く不満はないのですが、やはりソフト面、人的なサポートが足りないというのは、日本の大学だけでなく社会の特徴かと感じてます。

2022年後期

後期は、指導教員の授業に加えて、都市経済学が専門の先生の授業も取り、幅を広げることにしたのと、大学紀要への掲載を目指して、とにかく論文を一つ書いてみる、というのを目標にしました。最終的な博士論文の冒頭は結構な分量の文献レビュー(関心分野でのこれまでの研究蓄積のレビュー)になるはずなので、まずはそこから、ということで、アカデミックライティングも習うより慣れろ方式での取り組みでした。

指導教員のチェックと学内での査読を経て、結果としては、2023年春に正式にPDF出版された大学紀要に無事掲載されました。多分修了要件の査読付き論文としてはカウントされないと思うのですが、これも今から思えば、やっておいてよかった思います。ライティングの練習にもなりましたし、何より知識の蓄積と理解に非常に繋がりました。締め切り効果、生存欲求の成せる技だと思います。

2023前期

D2になっても大学院生活というのはあまり変化なく、ただ、博論の全体テーマというか、理論構成や手法をそろそろ考えないとな、と思うようになりました。もともと「データを使った実証」に興味はあったのですが、それをどうやるべきかという点で、エコノメ(計量経済学)のテキスト、統計関係のテキストなどを読んでもイマイチ理解できてませんでした。この時に「因果推論」、特にDAGのコンセプトをたまたま自然科学図書館で手に取った本で知り、一気に展望がひらけたというか、自分の中での諸々が繋がった感覚を持ちました。

このようなこともあり、前期は統計が専門の先生の院の授業を取ったほか、その先生のベイズ統計学入門の学部授業も聴講しました(通学2時間かかるので、1限目のこの授業は結構しんどかったんですが、非常に面白くためになりました)。

以前の記事でも紹介した、展望を開かせてくれた本2冊です。


今回も長いので2、3回に分けて書こうと思います。とりあえずは、移動の新幹線車中で書いてますが、2023年前期までのお話でした。次回はもう少し研究の内容と方法について書ければと思っています。

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