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デカルコマニーをメタファーにした音表現


先日、美術教育に関するオンラインセミナーがありました。
登壇者は、名古屋学芸大学 准教授の水谷誠孝先生
テーマは、「素材から広がる表現-造形と音楽を交えた表現遊びの視点から-」!

「造形と音楽を交えた」というところに惹かれて参加しました。

このセミナーで印象に残ったことや、思いついたことをメモしていきます。
娘をあやしながら聞いていたので、一部聞けてなかったりするため、
内容については推測的な部分もありますのでその点、ご了承ください☆

大きく思いついたことや印象に残ったことが3つあります。
①モダンテクニックを活動のメタファーとして使う
②「造形表現と音楽表現の越境」ではなく、「未分化への回帰」という捉え方
③造形表現と音表現の経験値の違い

今回は、①モダンテクニックを活動のメタファーとして使う
特にデカルコマニーに注目してみます。

モダンテクニックを活動メタファーとして使う

モダンテクニックとは、一般的な描くとは違った
偶然を利用した色々な表現方法です。
小学校から中学校までで一通り経験した人も多いはずです。
絵の具を押し広げる、模様をこすって写しとる、関係のないものたちを貼り付けるなどなど、偶然性を取り入れながら楽しく活動できるものとして学校教育にも取り入れられることが多いのではないでしょうか。

それらの、「技法の特徴をメタファーとして使う」ということがとても色々と試せるなと思いました。今回はデカルコマニーです!

デカルコマニー 転写・線対称

造形表現から音表現をするという実践の中で、
デカルコマニーの表現から音表現にするという事例がありました。
デカルコマニーは、下の写真のように線対称になるやり方もあります。

デカルコマニー MAU造形ファイルより引用

セミナーで紹介されていた活動
デカルコマニーの対称性を音表現に変化させるときに、
2人ペアで、「1人が音を発する」でもう一人が
「ペアの発したおとを模倣する」という活動がありました。
Aさんが、音を鳴らす→Bさんがその音をならす といった感じだったのですが、
そのやりとりがおもしろいなと。
小学校での体育では、低学年でペア同士で動きを真似っこするような活動がありますが、その音版ですね。

Aさんのハンドベルの音をBさんが模倣する

この実践から妄想は広がります。
これは楽器のみならず、
「同じ音が鳴りそうなものを探す(金属音)」、
「同じリズムをつくる(ドンドンドドン)」、
などなどとても面白そうな活動になりそう?です!

また、同じ音を写しとることに加えて、
線対称にするということもありえると思います。
難易度は上がりますが、
A「ドレミ」→B「ミレド」といった感じです
反対言葉みたいな感じですね。
「タンス」→「スンタ」 
*ちょっと難しいかもですし、
 一定の時間設定も必要かもしれません。

音を対称して返す


デカルコマニーをメタファー(発想を刺激するもの)とするなら、
こんな対称性にも注目しても良さそうです!

セミナーを視聴中に、娘の機嫌が悪かったため詳しく内容を把握できていないので、WEBで水谷誠孝先生の実践・研究を調べてみると、水谷誠孝先生や麓洋介先生らの研究報告では、このデカルコマニー(造形表現)と音表現について

模倣する行為を通してカノン風の即興的音楽の創作へと繋げる「音楽を生み出す遊び」

保育者養成校における「音楽を生み出す遊び」による実践的表現教育プログラムの開発 より引用

と説明されていました。同じ楽器通しでやってみると、〜風音楽になるのかもしれませんね。

ちなみに、デカルコマニーは
絵の具などに紙などを押し付けてする表現ですので、
絶対に線対称になるものではなく、
押し付けた時の偶然性が生み出す模様も特徴の一つです。

マックス・エルンストの《沈黙の眼》 世界観を和音で表す


デカルコマニーで作り出された作品として、
僕が好きなものにマックス・エルンストの《沈黙の眼》という作品があります。

沈黙の眼 / The Eye of Silence」 『Artpedia 【作品解説】マックス・エルンスト「沈黙の眼」』より転載

独特のねっとり感がありますね。
これは、油絵の具を何かで押し付けた模様の表現じゃないかなと思います。

複数の要素が絵の中にありますので、
これを音表現にというのは難しかもしれませんが、
「世界観を和音で表す」というのもいいかもしれません。
*この場合、デカルコマニーという技法をメタファーとして活用ではないですね☆

自分はこの絵からめっちゃ明るい感じはうけないですが、
みなさんはどうでしょうか?

続いて、瀧口修造《私の心臓は時を刻む》より 孤独の起原(1962年)

瀧口修造《私の心臓は時を刻む》より 孤独の起原(1962年)富山県美術館HPより

これからイメージされる和音はどうでしょうか?
鍵盤を手元に絵画の世界観と一致する和音を探す。

どの和音がって言えなくても、手元に鍵盤を置いて様々な音を同時に弾いてみる。


和音じゃなくても、アルぺジオでも。

この造形表現と音表現のクロスがとても好きです。

アートは総合芸術、総合格闘技的に捉えているからです。

また、表現のクロスについて書いてみます!
今日はこの辺で!

その他参考

「描画的な音楽表現」による教育プログラム ―サウンド・アートの視点から音楽を創作する試み―


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