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エピローグ~1億総カウンセラーを目指した宗像の愛

ヘルスカウンセリング学会FAQページの中に、以下のようなクエッションがある。

Q.セミナーを受けたら、すぐカウンセラーになれるのですか?

そのアンサー。

A.宗像先生の言葉をお借りしますと、「カウンセラーやセラピストは、まず自分自身と向き合う必要がある。相手の表情や言葉に対して自らが反応してしまうことを防ぐとともに、自己を開示し率直になり、相手が気付かないこと、気付けないこと、気付かなくてはいけないことをメッセージとする必要があるからだ」とあるように、宗像先生が会長を務めますヘルスカウンセリング学会の資格は実践能力重視の資格審査となっています。日々、愉しみとしての自己成長をする必要があります。

「カウンセラーやセラピストは、まず自分自身と向き合う必要がある。」これがものすごく大事なことなのだ。

第二十一話で、私がカウンセリングを初めて体験した時のことを書いた。相手に寄り添い、相手の言うことに耳を傾け聴き続けることの難しさに叩きのめされ、その後1ヵ月間悶々とした日々を送った50歳。受講した傾聴セミナー当日のクライアント役は3名。三者三様だったが、そのすべてが、私が過去に苦しんだ悩みであり、未完了のまま、心の奥底に押し込めて蓋をし、見ようとしなかった案件。
「そう思うよねー、私もそうだったから解るよ、だけどさー」
「いやいや、そんなこと言ってたら、いつまで経っても埒あかないよ」
「そうだよね、言えないよね、でもさー、それで何が変わるのよ、相手の為すがままじゃん」
いろいろ言いたくなって、言ってしまって、傾聴ジ・エント。

カウンセラーも感情を持った人間。相手の話を聴いていると自分の感情が、心の中に湧き起こってくる。自分が未完了にしている問題が、相手の言葉で想起され、それ以降、冷静に聴けない状態になる。自己成長していないカウンセラーやセラピストは、それに焦ったり、知られまいと誤魔化したり…。
自分がクライアントなら、そんなカウンセラーに話を聴いてもらいたくない。下手でもいい、けど寄り添ってほしい。聴けなくなったら、「ごめんなさい、いま自分の気持ちが出てきちゃって…」そんなふうに自己開示し、一呼吸おいて、続けられそうなら、また続けてくれたら嬉しいな。

このQ&Aにあるように、学会の資格試験は学科と実技両方があり、この実技試験の合格基準が、なかなか厳しいのだ。
そしてまた、ヘルスカウンセリングの技法自体も、毎年進化をし続けている。資格は3年間の更新制で、有資格者になった後も、新しい技法含め学び続けないと維持できない。
それが次のQ&A。

Q.他の協会などが公認している資格と比較して、ヘルスカウンセリング学会公認資格の特長は何ですか?
A.メンタルヘルスに関して言えば、国家資格や他の協会資格に関して厚生労働省のホームページ「メンタルヘルス対策・過重労働対策・自殺予防対策に関連する資格等」がまとまっていて、本学会の公認ヘルスカウンセラーと他の協会資格や国家資格がともにメンタルヘルスの専門家として推奨されて掲載されています。
そうした中で、ヘルスカウンセリング学会が公認する資格がどのようなものかとお伝えしますと、国家資格や他の協会資格はほとんどが「数年から最長6年間の学校教育を受ける必要があるとはいえ、実際はペーパー試験に合格することだけ」や「ただ研修に参加するだけ」で取れる資格です。たとえて言えば、運転免許ですが、試験に合格したからといって運転が上手という保証はないですね。
本学会の資格は、学力試験もありますが、何より実践的な能力が審査された能力なのです。しかも3年に一度はその実践力の継続性も審査されています。ペーパードライバーはいないのです。

宗像は学会員の成長には厳しい。それは、まわりを思うがゆえの愛なのだと私は思う。そして、技法の進化は、学会員にもまわりにも優しい進化なのだ。

さらに宗像は、世にあるヘルスサポートアプローチの問題を指摘する。

支援者がすることとして、傾聴すること、分析すること、検査すること、診断すること、コーチングすること、指導をすること、薬剤処方すること、ケースワークすることなど様々な形でのアプローチがあり、それらが今の日本の主流となっているかと思います。メンタルヘルスでいえば、ではなぜそれらのアプローチでうつ病、躁うつ、不安障害、パーソナリティ障害など精神障害が減らないのか、という現実問題に対しての答えは明白で、それだけでは根本的な対処になっていないからということです。
原因となるストレスは、たとえメンタルヘルスのアセスメントには表れてこなくなっても、身体に現れてきます。しかし身体治療をする医師は心を見ることなく、薬剤でコントロールしようとします。心と体は一体なのです。心を見る支援者は体には関心なく、体を見る支援者は心に関心がないのです。心と体の両方を見るヘルスカウンセリングやホリスティックへルスが必要なのです。
支援者自身も、自らがしている技法の限界を実は感じており、無力感であったり、諦めがありながらの支援をするというのが現実かと思います。
・ヘルスカウンセリングは「回数をこなす」だけのカウンセリング・セラピーではない。
・理論が、科学的根拠や証拠を含め、しっかりとしており、価値観という所でなく、科学的に説明ができ、コーチングやアドバイス、セラピーができるのが強み。

この辺りの回答を見て、あなたはどう感じるだろうか。

第四話から第六話まで、私はキメラ細胞について触れ、その代理顔表象化によるセラピー法の体験談を紹介した。この話だけ聞くと、とってもSFチックに感じる人も多いと思う。人は、頭で理解できないことには恐れを感じる。そこを宗像は、一般的なスピリチュアルとは一線を画し、科学的な説明を用いて、明快に教えてくれる。恐らく技法の開発が先で、理論づけは後ではないかと私は思っている。直感で、こっちの方がもっと速く気づかせることができる、こっちの方がもっと負荷なく問題に向き合う手助けができる…。そんな一心で技法を開発した後、その裏付けを世界中の科学論文に求めているのではないだろうか。そうでなければ、あんなにも速く技法を進化させることなどできるはずもない。それが宗像恒次の尽きることのない人類愛だと私は感じるのだ。
宗像は、私より10年早くこの世に生まれており、御年72歳。まだまだ元気に生きて、みなを導いてほしい。東日本大震災の翌日、私はヘルスカウンセリング学会のカウンセラー研修にスーパーバイザー研修生として参加し、なにもなくなったコンビニで朝食を入手できなかった私に、宗像は握り飯を分けてくれた。その、おにぎりの美味しかったことが、いまだ記憶に残っている。この激動の時代を、人間の身体を持って共にできたことを心より感謝する。

以上で、『宗像恒次から教わった「愛」の話』を〆としたい。
ただ、このマガジンに書いてきた「愛の話」は、もっともっとたくさんあり、学校では教えてくれなかった「この世をしあわせに生きる術」についても、話し出したら尽きることがないだろう。
これまでも私は、地域で勉強会を開き、直接みなさんにお伝えしてきた。だが、昨年末に退職し、それを本格化させようとした矢先のコロナ騒動で、今年2020年は思うように活動できなかったことが、いま残念でならない。
これからは、権力やお金による支配社会は崩壊し、一人ひとりが自分の得意なことをまわりに提供、まわりと共有し共に生を愉しむ時代になると確信している。頭で考えると、これまでの経験知が「常識」となって、愉しむことの邪魔をする。その「常識」の壁をあなた自身が、自分で壊し、自立し、前を向いて進めるよう、また別の形でサポートできたら、私は嬉しい。

ここまでお読みいただいたあなたに、改めて感謝の気持ちを伝えたい。
ありがとう。





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