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JR東日本パスの旅_3日目①「線路のない鉄道で、一本松を目指す」気仙沼・大船渡線BRT

こんにちは、結城弘です。

こちらは昨年10月、JR東日本乗り放題切符「JR東日本パス」を使って東日本を周遊してきた旅行記です。

JR東日本パス

前回の記事はこちら⇒


1. 線路のない鉄道


10月17日(月)

いよいよJR東日本パスの旅、最終日です。
午前5時起きでしたがぐっすり寝られて体調は万全。
身支度を整えてから、宿の居間でコーヒーをいただきます。

ありふれたインスタントコーヒーなのに味わい深く感じたのは、粉がよかったのか、旅の雰囲気のおかげか。

ゲストハウス「あんだあも」さんでいただいたコーヒー
コースターのデザインがおしゃれ


コーヒーを飲み終え、出発です。
今日は気仙沼から秋田へ、そして新潟を経由して東京へと戻ります。

その前にまずは寄り道。
気仙沼線・大船渡線と乗り継いで、岩手県陸前高田市にある「奇跡の一本松」を目指します。

※今回のルートは薄緑色のラインとアイコンで表示しています。
(途中から移動ルートの記憶が曖昧…)

「あんだあも」さん、良いお宿でした。また泊まりたい!

歩いてすぐ、最寄りの涌谷駅に到着。
午前6時になり、辺りに響く町内放送のゆったりとしたBGMとともに入線した始発に乗車。

そして一つ隣の前谷地駅で気仙沼線に乗り換えます。

涌谷駅
気仙沼線
気仙沼線の朝焼け
晴天が続いていた旅も、今日は曇り

しょっちゅうプァンプァン鳴らされる汽笛を聞きつつ、曇り気味の朝焼けの空を眺めているうちに列車は柳津駅に到着しました。

柳津駅
柳津駅
折り返しの列車に向かって慌てて駆けていく高校生たちの姿が微笑ましかったです。
柳津駅
線路はここで途切れているが……

写真を見てもらったらわかると思いますが、この先線路はありません。

しかしある意味ではここから先もJRの路線が続いているのです。

線路の向こう。まっすぐ伸びる道が。
案内板に従って進むと、
駅の「ホーム」らしき場所に到着。
自家用車が一台も通らないまっすぐな道。
奥に薄ら見えるのは鉄道用のトンネル。


元々ここからは気仙沼線の線路が続いていましたが、2011年の東日本大震災で大きな被害を被った後、線路は撤去され道路が敷かれています。
当然ここから先は列車ではなく、バスに乗ります

こちらは震災後に導入されたバス高速輸送システム「BRT(Bus Rapid Transit)」のバスで、気仙沼線の線路跡の専用道を走り抜けます。


BRTの説明については下記の通り、JR東日本さんの公式HPの文言を引用させていただきます。

「BRT」とは、バス・ラピッド・トランジット(Bus Rapid Transit)の略で、連節バス、PTPS(公共車両優先システム)、バス専用道、バスレーン等を組み合わせることで、速達性・定時性の確保や輸送能力の増大が可能となる高次の機能を備えたバスシステムです。
※JR東日本HP「気仙沼線BRT・大船渡線BRT(バス高速輸送システム)」より引用

https://www.jreast.co.jp/railway/train/brt/system.html

「BRT導入の経緯」

先の東日本大震災により、当社施設は甚大な被害を受けました。そのうち、気仙沼線 柳津・気仙沼間、大船渡線 気仙沼・盛間については、お客さまの安全の確保など復旧にあたって解決すべき課題も多く相当の時間がかかることが想定されたことから、地域の交通を当社が責任を持って守りつつ、早期に安全で利便性の高い輸送サービスを提供し地域の復興に貢献していくことを目指し、「BRTによる仮復旧」を沿線自治体に対しご提案しました。

気仙沼線については2012年8月20日からの暫定運行を経て12月22日当社が事業者となり運行開始、大船渡線については2013年3月2日から運行を開始しています。 
※JR東日本HP「気仙沼線BRT・大船渡線BRT(バス高速輸送システム)」より引用

https://www.jreast.co.jp/railway/train/brt/system.html


ここから先は線路跡に整備された専用道を主にバスで走りつつ気仙沼駅でバスを乗り換え、「奇跡の一本松駅」を目指します。

BRTのヘッドマーク


BRTバスと柳津駅

ちなみに気仙沼・大船渡線BRTですが、今回の旅の主役であるJR東日本パスも使えました

出発時刻になり、柳津駅を出発します。
私が訪れた時期は一部区間の自動運転化の実証実験中だったらしく、しばらくは専用道ではなく一般道を進みます。

※ちなみに私が訪れた2ヶ月後に自動運転が開始されました。

朝焼けの海
アートな建物。
道の駅などを中心にこういったデザインの建物が点在していました。

バスは海沿いの国道をぐんぐん走ったかと思うと、団地に入ったり、病院に立ち寄ったりと、地域のコミュニティバスのように街中を細かく縫って走ることもありました。

「今日は専用道走らないのかな?」とぼんやり思っていた時、バスが一般道から逸れ、自動で開閉する遮断棒をくぐり、専用道に入りました。

専用道に入る様子

ガードレールに挟まれ、一般車が通らない一本道。
バスは鉄道トンネルをくぐり、橋梁を渡ります。

ちなみに一般道と交差するところには踏切があり、一般道の遮断棒をおろし、列車よろしく通過していました。

一般車道との「踏切」
一般車が進入しないように専用道側にも遮断棒があります。
専用道の途中に設置された待避所ごとに一旦停止するバス。
対向車がなければそのまま進みます。
たまに対向車とすれ違うことも
駅にて対向車と

バスは専用道や一般道を行き来しながら目的地へと進んでいきます。

傍を通った海や河川はどこも隙間なく防潮堤で固められていました。
どこまでも続くその高い壁からは、「絶対に波を通すものか」という強い意志が伝わってくるようでした。

2. そして最終日にもやらかす


気仙沼駅に到着しました!
大船渡線の列車と同じホームにバスは停車します。

気仙沼駅
気仙沼駅のホーム
気仙沼駅

ここから大船渡線BRTに乗り換えて「奇跡の一本松駅」を目指します。
その前に、まだ朝食を食べていなかったのでここで食べ物を仕入れます。

立ち寄ったのは駅に隣接する、東日本のエキナカコンビニ「NewDays」。
この旅行中、訪れた場所のほとんどの駅にあり、ちょっとしたお酒やご飯が欲しい時にいつもそこにいてくれたコンビニエンスナイスガイです。

店内でおにぎりや飲み物を取り、やっと朝食を食べられるとホクホク顔でレジに置いた私に、店員さんがそれ以上の笑顔で告げました。

「JR東日本パスはお持ちですか? 10%割引になりますが







「え?」


その時の私はリアルこんな反応だったと思います。

10%割引? 嘘、こんな誰でもどこでも利用できるコンビニでそんな特典ある? ナイスガイの懐ってそんなに深いの?

「え、JR東日本パスってそんな特典あるんですか?」
「はい、その……ご存知じゃありませんでしたか?」
「知りませんでした。普通に買ってました
「あらまぁ……」

私と一緒に店員さんも嘆いてくれました
きっちり10%割引で購入後に、私は特典一覧に目を通します。

ちくしょう、レンタカー割引とかあったけど本当にそんな記載あったか? エキナカコンビニが何度でも10%割引だなんてそんなおいしい話

あったわ

ばっちり書かれていましたわ。

最後の最後に知るJR東日本パスの真の力

なぜなんだ、君……と頭を抱える私。
まぁ思い返してみれば、半日かけて線路を自分の足で歩いたり、鉄路を使わず海岸を歩いたり、挙句の果てに無関係の私鉄に乗ったりと、傍にいてくれるありがたさを忘れ放置し続け、愛の言葉をかけることすら怠っていた私

知らないだけでとっくに二人の関係は冷え切っていたのです
これはそんな切符からの手痛いしっぺ返しといえるでしょう。

こんな甲斐性なしでも期限までなら無言で寄りそってくれるというのだから、ニクい存在です。

紆余曲折を経て仲直りした切符を手に、再びBRTに乗り込みます。

3. 一本松を目指す


気仙沼駅を出発したBRTのバス。
海沿いの路線を走っていると、岩手県陸前高田市の海岸が見えてきました。

バスから陸前高田市方面。奥の白いのは防潮堤。

バスは「奇跡の一本松駅」に到着しました。

奇跡の一本松駅

駅からしばらく歩くと、これまでテレビやインターネットで何度も取り上げられてきた有名な松の木「奇跡の一本松」が見えてきました。

JR東日本パスの計画を立てる中で、東北を訪れてみたかった私。
BRTを利用すると決めた時、「じゃあどこまで乗ろうか?」と考えた際に浮かんだのが奇跡の一本松でした。

一本松傍の防潮堤から
一本松傍の防潮堤から
奇跡の一本松駅方向。
道の駅と津波伝承館が一体となった建物があります。

この先も行ってみたかったのですが、乗り換え時間の関係でここで折り返して再び気仙沼駅に向かいます
滞在時間はわずかしかなかったので、今度はじっくり訪れたいと思います。

4. 最後の旅へ


気仙沼駅へと戻ってきました。
件の「NewDays」に再び寄り、東北土産を買っておきます。
会計の際、ゴールドカードでも出すような澄まし顔で東日本パスを提示。
きっちり10%割引してもらいます

大船渡線。ここから再び列車旅。
気仙沼駅を出発。左手にはBRTの専用道。

気仙沼駅から大船渡線の列車に乗り、一ノ関駅に向かいます。
午後からは自身初となる秋田新幹線に乗車します!

秋田新幹線こまち

そして次回、JR東日本パスの旅最終回です!

次回⇒

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ここまで読んでいただきありがとうございました。
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