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終夜運転の電車に乗って、東京初詣めぐりをしてみた

「大みそかの夜、東京の電車は一晩中動いている」

首都圏や都市部にお住いの方は当たり前かもしれない、大みそか~元旦限定の電車の終夜運転

それを初めて知った時以来、「終電後にも電車が動き続けるって、どんな光景なのだろう」と気になってはいました。

そして2023年の年末。
用事でちょうど首都圏を訪れることになった私は、「よし、いっちょ終夜運転の電車に乗って、東京で初詣巡りしたろかい!」と粋な試みを決行することにしました。

今回お届けするのは、調布の深大寺にはじまり、新宿高幡不動を経由して、高尾山で初日の出を迎えようとした年末年始の旅行記です。


深大寺で温泉、地ビールで年越し

2023年12月夜。
用事を済ませた私は、最初の初詣スポットである調布市深大寺に向かいました!

日没後の布田駅ロータリー

最寄りの京王線布田駅に着いたのは日没後。まだ年明けまで時間があったので、深大寺近くにある「深大寺天然温泉・湯守の湯」でゆったり年越し湯を堪能します…

「黒い湯」で有名な湯守の里

年越しまであと2時間。
温泉でほてった体を夜風で冷ましながら、深大寺境内や参道を散策します。

深大寺参道

深大寺といえば、うどんのような食べ応えのある「深大寺そば」が有名!
年越しそばとしてはぴったり……

深大寺そば

なのですが、
深夜営業しているそば屋はどこも大行列……!

そばは諦め、そば粉を利用した「そばぱん」にします!
ワイの年越しは、年越しそばぱんやでぇ!

具材はピリ辛のキーマカレー。
パンはふわふわでほどよくしっとりとした食感です。

調布市に工場を置く「ホッピービバレッジ」が作った地ビール「深大寺ビール」で年越しの乾杯をします!

コクを感じさせながら、さっぱりとしたのどごしの深大寺ビール
地ビールの中でかなり好きな部類かも

さて、境内の様子ですが。
ほんの一時間前までこんな感じだったのが、

いつの間にかこうなっちゃってました

行列は参道を突き抜け、バス停までぎっしりと続く勢いです。
そうその姿はまるで、2024年の干支の龍が如く

「え、初詣ってこんなに混むの!?」

「まじでか~!」

と、参道にいた謎のおっちゃんもこれには苦笑い。

なんてことを言っていると、あっちゅうまに年明けです!

\ ハッピーニューイヤー! /

ゴーン、と除夜の鐘のひとつき!

なだれ込む初詣客を眺めながら、私はすぐさまバス停に向かいました。
(混雑を見込んで、新年の挨拶は年明け前に済ませておきました

京王バス

深大寺の参拝に合わせ、京王線の調布駅・つつじヶ丘駅~深大寺間を結ぶ京王バスも深夜まで運行しています。

さて、初日の出は高尾山で拝むつもりなので、このまま京王線に乗って終点の高尾山口駅に向かえばいいのですが……

終夜運転は京王線はもちろん、JR東日本や一部私鉄でもやっているとのことなので、どうせなら終夜運転の電車を堪能してみたいと思い、新宿駅へと向かいます!

終夜運転の京王線に乗って

深夜の街中をバスで走っていきます。
他に車の類がないせいか、走行音がするだけで車内はしんと静かです。

初詣帰りの若者二人組。
深夜営業をしているバーでマスターと言葉を交わすおっちゃん。
スナックの入口に「謹賀新年」の張り紙をするおばちゃんたち。

静かだけど、確かに正月を感じる光景を街のあちこちで見ながら、つつじヶ丘駅に着きました。

ただ年明け前に人身事故が発生し、一部が不通状態

運転見合わせで電車がぎっちり詰まってました

ただ新宿方面は幸いにも電車が動いていて、特にトラブルもなく新宿駅に向かうことができました。

新宿まで人っ子ひとりいなかった京王電車

深夜の新宿を徘徊

深夜1時くらいに新宿駅に到着しました。
本当ならとっくに終電が終わっている時間ですが、人通りは思っていたよりも多かった印象です。

すぐに電車に乗り換えるのも何なので、少しぶらりと街を徘徊。

コンビニで缶ビールを買って、プシュっと新年の一杯

「缶ビールを飲みながら都会の深夜徘徊」

いっぺんやってみたかったんですよね~!

中央線に乗って立川へ

ぼちぼち徘徊を終え、新宿駅に戻ります。
ここからはJR中央線に乗って、一旦立川駅に向かいます。

さすが新年ということあって、初日の出客向けの珍しい電車の名が、あちこちの電光掲示板で光っていました。

もちろん山手線も終夜運転

中央線のホームは意外にも混雑。
飲み会帰りの外国人や若者が特に多かったです。

1時59分の中野行の電車に乗り、中野駅で乗り換え。
そこからさらに三鷹駅の電車に乗り換えます。

三鷹駅からはさらに八王子に向かう電車に乗り換えます。

このように終夜運転といっても日中と同じ頻度で運行しているわけでなく、目的地によって違いますが、だいたい15~45分間隔でした。

眠らずの街、東京。

いつも東京の夜の電車に乗ると、ビルや街灯の明かりがまばゆく、夜でも車窓をわりと楽しめたものですが、この日ばかりはさすがに外は夜闇に沈んでいました。

また車内に神田明神の熊手を持ったおじいさんもいて、この終夜運転の電車が本来の目的である「初詣の乗客を運ぶ」ためにきちんと機能していることを実感しました。

三鷹駅の新年祝いのメッセージ

車内もごく静かなもの。カタン、コトン、と電車の音だけが新年の始まりを刻んでいきます。

多摩モノレールで星の海を渡る

立川駅に着いた後は、同じく終夜運転をしている多摩モノレールに乗り、京王線との接続駅である「高幡不動駅」に向かいます。

初めて乗車した多摩モノレール。
多摩川をゆっくりと渡り、高架から深夜の街を見下ろしながら南下していきます。

日中だと富士山が見られたらしく、残念。
それでもぽつぽつと明かりが灯る街の上を走る様は、星の海を渡っているようでした。

高幡不動尊

高幡不動駅に着くと、すぐに京王線には乗り換えず、「高幡不動尊」を目指します。

ちなみに高幡不動尊については前知識は一切なく、なんだかお寺があるみたいだしついでに寄ってみたろか程度に考えていたのですが、

暗闇の中にぶわっと現れた五重塔の明かりが、無学だった私の頭に新たな灯明をともしました。

う、美しい……
五重塔に吊られた提灯や尖塔の明かりが、音もなく、風でゆらめています。

月明かりとのコラボレーション

あちこちから香ばしい食べ物の匂いが漂う、露店が並ぶ境内。
闇の中に浮かぶ明かりに満ちた風景は、まるで極楽のように幻想的で。

そんな風に感じたは、多分、事あるごとに飲んでいたビールの酔いがぼちぼち回りはじめていたせいだと思います。

高幡不動尊から駅に戻り、最後の電車に乗ります。
時刻はぼちぼち午前4時。
終夜運転からそろそろ始発の時間につながろうとしています。

高尾山、登山

再び京王線に乗って、車内で立ったまま寝落ちしながら最後の目的地・高尾山口駅へとやってきました。

日の出まで2時間ちょい。
ここから初日の出を拝むべく、最後の初詣スポットである薬王院を目指すのですが、目的地は高尾山の山頂ちかく

左がケーブルカー駅、右が高尾山1号登山路

ふもとからはケーブルカーの終夜運転もあったのですが、ケーブルカー待ちの長蛇の列を見た瞬間、選択肢は登山一択になりました。

分かれ道を右へ。1号登山路にためらいもなく足を踏み出します。

1号登山路

冷えることを見込んで防寒具をしっかり着込み、懐中電灯も用意していたのですが、山頂まで通じる1号路はどこも明かりが照らされていて、気温も高め。すぐに汗ばむほど体があったまりました。

周りは若者が多く、登山道は思っていた以上ににぎやかでした。

天狗焼き

登山を始めてから、山の中腹にあるケーブルカーの駅までは、案外30分もかかりませんでした。すでに東京の夜景を見下ろせる位置まで登ってきています。

売店で名物の「天狗焼き」を買って栄養補給。
ここから一気に薬王院を目指します!

途中、急な階段を登る「男坂」と、ゆるやかな坂を登る「女坂」に登山道がわかれますが、

左が男坂、右が女坂

混雑が見込まれるこの日は一方通行で、登りは「男坂」一択
拒否権がまったくない状況で急階段に挑むことになるので、初詣を検討されている方はご注意を。

男坂ぇ…

途中、開運ひっぱり蛸天狗の腰掛杉を見物しながら登山道を進んでいると、徐々に空も白みはじめ、

最後の初詣スポット「薬王院」に到達しました!

薬王院
高尾山名物の天狗たちがお出迎え

ちなみにここからは富士山を望める山頂展望台へと道が続いているのですが、登山客が殺到したことで入山規制がかかり、山頂への道は閉ざされていました。

山頂展望台に向かうこともできず、薬王院からの日の出スポットもすでに満杯だったので、一旦中腹にあるケーブルカー駅へと戻ります。

ケーブルカーの駅まで戻ると、近くにほどほどのスポットを見つけたので、とりあえずここで初日の出待機。

ますは持ち帰れました

ます酒をギュッと一杯やりながら、初日の出を待ちます。

首都圏の方角

空がどんどん白んでいくにつれ、周囲も興奮の度合いを増していき、

そして……

初日の出が現れました!

今年は3つの初日の出を拝めました

わぁっ、と私を含め、周囲から大歓声。

いまかいまかと、知らない誰かとワイワイ騒ぎながら迎える初日の出も悪くなかったなぁ……。

写真に収めた後、この後の初日の出帰りによる混雑という地獄を回避すべく、日の出から3分後にはケーブルカー駅に立っていました

すぐに飛び乗ったケーブルカーはガラガラで、木々の隙間から美しい初日の出が拝めました!

ケーブルカーを降りた後は、高尾山口駅へ。
とっくに始発の時間で、夢のような終夜運転は終わりを告げていました。

また、日常が始まるのです。

その後、通常運行に戻った京王線からJRへと乗り継いで、新幹線で関西への帰路につきました。

深大寺の年越し温泉とそばパン、深大寺ビールに始まり、
ビール片手に深夜の新宿を徘徊し、
ありえない時刻の電車で夜の東京を走り、
高幡不動尊で極楽のような幻想的な世界を味わい、
高尾山で見事な初日の出を拝む。

深夜ということもあってか、移動中ずっとふわふわとした心地で、見るものすべてが新しくて、不思議で。

まるで一足早い、初夢を見ているような心地でした。

帰りの新幹線から見えた初富士

まあそんな風に感じたのは、多分、

終夜にわたってべろべろに酒を飲んだせいだと思います

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