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小さなティール 組織 〜贈りあいと共感でなりたつチームの作り方(3)


セルフマネジメント – よく話して自由にやってみる

全6回に分けて投稿を予定している、会社や地域の中のあなたの小さなチームにおける地に足のついた運営論としての「ティール 組織」のお話。第三回目では、ティール 組織の3つのブレークスルーのひとつ「セルフマネジメント」を取り扱います。これ「各メンバに高い権限を割り振るから、経営感覚と高い責任感を持って自己管理してね」みたいな話じゃぜんぜんじゃないですよ。感想お待ちしています。

議論や指示をやめて、共感だけにしてみる。

感情抜きで冷静に議論を行い、正しいコンセンサスを得るプロセスは美しく見えますが、人にとっては、不自然で負荷の高いやり方のようです。チームにとって大切な「安心してよく話しあえる間柄」を育むために、議論をやめて、指示する事もやめるのです。代わりに導入するのは、「よく共感をして、各自自由にやってみる」方式です。コンセンサスや報連相が不要で、必要なメンバ間で共感し合えば十分なため、チーム・ミーティングの時間は最低限となります。必要な人同士が、必要な時に自主的に集まって、2、3人でじっくり雑談し、共感しあいます。できる限り、決定は避け、原則としては、それぞれがその時々で心から納得する作業をする際に現場・現地で事前承認なしに決定を行います。

決めない。担当も納期も定めない。

指示された仕事を正しく見積もって、コミットした納期・ノルマを守ることは周囲に迷惑をかけないために重要とされています。チームとしては、(要請がある限り)引き続き大切にするのですが、メンバには同じことを求めないのです。人の気持ちはうつりかわるのがありのままなので、「やる」と宣言してもやらなくて良いのです。仕様も、実現方針もできる限り決定を遅らせて、やる人がその時に判断できるようにします。高い責任感がチームに規律を与え、ありのままを受け入れあうことで、不安に押しつぶされず試行錯誤の中で学びを得ます。我々には「営業にはノルマが必要だ」というような思い込みがあります。ところが必要なのは、ノルマや担当・納期の割り当てではなかったのです。

なんでも話せて信じあえる間柄を育む。

皆それぞれのスタイルがあって、細かくあれこれ言われることを嫌がります。だから、大きな単位で納期と目標を決めたら、あとは細かいことまで把握しないのがお互いに心地よい関係とされてきました。逆転の発想で、「安心してよく共感しあえる間柄」を育むために、毎日、昨日やったこと、今の時点で今日やりたいことを、シェアしてもらう場を設けます 。単位は「集中作業時間」。1日5時間取れればいい方ですし、集中できなかったらその半分という場合もあります。昨日の時点でやりたかったことがやってみたら気乗りせずに全然やらなかったということもあるでしょう。それをリーダーが率先して、弱さを晒し、正直にシェアしあっていきます。作業履歴や計画は原則として、すべて公開します。

仕事を完結した作業に分ける。

作業は原則として、数時間単位の完結し、独立し、結果のわかるブロックに分解してから進めてもらうようにします 。人や他の作業に依存した多くの仕事から、できる範囲でシンプルな作業を切り出して、担当・納期なく作業することで、互いを理解し合い、信頼感を育み、そして、いざという時に互いに助け合えるようにしておくのです。また、いままで悩みや課題を全体で長々と共有しあっていましたがこれもやめます。悩みを吐き出せる人もいるし、吐き出せない人もいる。どのぐらい時間をかけて、今どんな状態かを具体的に共有することのほうが、誤解なくシンプルに状況を把握し合えるのです。マニュアルではなく、レジリエンスを育むことによって、トラブルに対処できるようにします。

今までどおりの報告を外部に行う。

プロジェクト全体の目標や期限は、初めに外部の上司と決めてあって、プロジェクトの進捗報告も今までどおりのやり方で報告します。ただ、作業はブロック単位に分割して、どんなことにどのぐらい時間をかけたのかが、把握できているので、今後の予想も立てやすいですし、いざとなったら細く報告ができるので、報告時の安心感が違います。それぞれの作業ブロックは、見積もりと実績が大きくずれることが多いですが、足しあわせると全体としては安定した傾向が見えてきます。8割の確率で仕事が終わりそうな範囲をプロジェクトとしては確実にできる作業として約束します。通常、期初の目的は大雑把にしか定まりません。信頼の持続する範囲でできる限り大粒度で外部に対し目標をコミットします。

信頼しあうことが活力を生む。

共感だけで物事を進めると、互いにやさしくなり、信じ合う事ができるようになります。議論をして物事を決める事は思った以上に心を緊張させています。フェアではありますが、やはり格闘技のような側面があるからです。一旦決めたことを、後で納得できないからと言って覆すことは、リーダであってもメンバであっても恥ずかしいものです。一方で、実際にやってみて初めて気がつくことは沢山あります。決めないこと、議論しないことで、安心して、気軽な気持ちで話しあいができるようになるでしょう。それぞれの好みや直感といったものも、どんどん大切にしていけるような雰囲気を醸成していくのです。互いの弱さや好みを受け入れあうことでかえって効果的なチームが醸成されるのです。

※補足
「なんでも話せて信じあえる間柄を育む」の項で昼会のプラクティスについて記載しましたが、これは暮らしコミュニティなど互いが十分に見えている場合は不要です。

※挿絵の引用元:


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