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小さなティール 組織 〜贈りあいと共感でなりたつチームの作り方(2)

組織を再発明する - 農家のように働く 

前回から全6回に分けて投稿を予定している、会社や地域の中のあなたの小さなチームにおける地に足のついた運営論としての「ティール 組織」のお話。第二回からは、いよいよ、本編。まずは、前提となるティール 組織の視座を取り扱います。キーワードとして浮かんできた言葉は「農家のように働く」。パーマカルチャーをコンセプトにしたシェアハウスに取り組んできた私ならではでしょうか?でも、ご存知の方も多いと思いますが、ティール 組織の著者、ラルーも今はエコビレッチに暮らしているんですよ。感想お待ちしています。


贈りあいと共感を大切にする。

働くことは、会社を通じて社会に貢献して、対価としてお金をもらうこと。暮らすことはありのままの自分に戻って正気を取り戻すこと。昔は、そんな風に思っていました。でも、現実は違いました。不思議なことに、お金儲けのためだけに農家を始めても儲かることがまれであるように、目先の成果を出すためにチーム活動をしても並の成果さえ出ないことがままあるようです。大切なのは、農家のように、気兼ねなくともに暮らすように、気兼ねなくともに働くこと。正気を取り戻し、共感しあい、贈りあうことで、暮らしだけでなく、働くことにおいても溢れるような豊かさを生みだすことができるようです。苦労や問題はなくならなくとも、内実は大きく変化していくことでしょう。

まっとうであれば、調和する。

恐怖していることの正体をよく観察せずに、ただ逃れようとするならば、影が深くなり、やがて闘争がうまれます。逆に、まっとうなあり方を突き詰めていけば、周囲と調和します。組織の慣行や文化を尊重し、目先の成果にコミットすることは当然大切ですが、大切なことは他にもたくさんあります。人のために、お金や時間を使うことのできる余力を生み出し、チームのメンバだけでなく、チームの周囲にまで「やさしさ」を広げ、育んでいくこと。100年先を考える農家にならって、まっとうに、大切なことを大切にしようとした結果、短期的な成果も自然に無理なく出せるデザインを描き、形にしていくのです。手間がかかる方が、全体としてはずっと理にかなっていることがままあるように思います。

幸せであれば、持続する。

ありのままの自分を信頼し、メンバのありのままを信頼し、共同体のなかでの居場所感を感じることは、幸福であるための三つの条件であるとされています。一方、チームが効果的であるための重要なファクタもまた、上述の三つに対応しているようなのです 。野菜を育てるためには、まず土を肥やすことが必要であるように、チームで結果を出すためには、まず、チームメンバ一人ひとりが幸福でいられるような間柄を育むことが本来、理にかなっています。土が肥えたからといって、野菜が必ずなるわけではないように、短期的結果には波がありますから、信念をもって工夫しながら、根気よく取り組む必要があるでしょう。

ありのままを受け入れあう

チームが効果的であるために、特に重要なことが、ありのままの自分でいて大丈夫だと感じられることです(心理的安全性 )。メンバには個性があり、基本的事柄について無知・無関心であったり、恥ずかしい失敗をしたり、根本的事柄に不安や問題点を感じたりします。これに加えて、体調や育児などの個人的事情を抱えています。ありのままの自分をさらけ出すことは、苦しく勇気がいることです。一人のメンバの小さな勇気、小さな気遣いが、チームの中に波紋を投げかけます。心理的な安全性を育むために必要な勇気を出すことは、見えにくく評価されづらいですが、とても大きなチームへの貢献と言えるでしょう。ありのままの自分でいられてこそ、一人ひとりの創造性が十分に発揮されるのです。

相互信頼と居場所感を育む

チームが効果的であるためには、チームメンバ同士が例外なく互いに信頼しあっていることも大切です 。不審を抱いた時、気持ちをため込んだり、みんなの前で槍玉にあげたり、同調してくれそうな人に話を聞いてもらうことはとても簡単なことである一方、信じつづけるために、同意できなくとも共感しようと心に決めて、きちんと会話をすることは手間のかかることです。けれども、そのひと手間をきちんとかけることが、互いの信頼感を育み、チームを効果的にします。人間はそのままで信頼に足る存在です。今後の生き方に対しての個人的な夢や悩みを分かち合うことや、チームでの仕事ぶりに感謝の言葉をかけあうことは、一人ひとりが仕事に意味を見出し、居場所感を感じることを助けます。

幸福な人へと育ちあう

ティール組織の革新的視点は、きっとあなたを助けてくれるでしょう。けれども、贈りあいと共感でなりたつチームには、幸福な人であれるよう互いに成長しあっていく為の、一人ひとりの勇気が、なによりも必要なのです。そして、チームの中に勇気が育まれるためには、あなたのメンバ一人ひとりに対する愛と親切を必要としています。愛と親切は恐れや苦しみを乗り越える力と勇気を与えてくれるからです。そして、不思議なことに、自分が苦手とするメンバのありのままの個性の一部分を受あなたが受け入れていけばいくほど、あなたはあなた自身をより受け入れていけるようになることに気がつくでしょう。逆境を乗り越え、与えられた本分を全うしようとする美しさが、愛と親切の基となります。

※挿絵の引用元:



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