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ティール組織のよくある誤解

小さなティール 組織シリーズの続きは来週以降に更新しますが、今回は、ティール 組織についてのよくある誤解・見解とそれに対する私の考えを書いてみたいと思います。どうでしょう?ご意見お願いします。


リテラシーの高い知的組織でしか適用できない。また、情報を共有するための情報インフラ(IT)が欠かせない。

議論とコンセンサス(意識共有)ではなく、共感によるため、リテラシーは必要条件ではありません。また、ITを取り扱えない人が多数の組織でも十分に機能します。日本では、たとえば、半数バイトのお弁当製造組織(150名) などの事例があります。

昔ながらの大企業の中のなかでは実現できない。

 昔ながらの大企業の中で、アジャイルソフトウェア開発を実施できるように、ティール組織もチームやプロジェクトの単位で導入することは可能です。 このことはラルーさんの原著にもきちんと書かれています。もちろん、効果が限定的になるのは言うまでもありませんが、それなりのことはできます。そもそも、企業体だって昔ながらの国家社会の中で存在しているわけですからね。私自身も大企業の中で実際にやってみています。共感をベースに進めるため、納期もノルマも担当も、そして指示も議論さえもいらなくなり、全体会議がほぼないため会議時間も短くなることがわかりました

ティール組織では全ての情報が透明化される。

ティール 組織では必要な情報にアクセスできるようにはなりますが、全ての情報が透明化されるわけではありません。たとえば、意見や気持ちのすれ違いに対しては、必要最低限の関係者(通常二者または三者)で互いによく話し共感し合うことで解消されていきます(問題解決プロセス)。ゴシップから人を守ることは重要なことです。そもそも、ティール 組織では、人の意見や定量データではなく人の心にフォーカスして対話で物事を進めるを進めるわけで、一番大切な情報は透明化しようがないとも言えます。

ティール組織の方法を導入すれば、なんでも話せる関係性になる。

ティール組織は方法論であり、実際の人同士の繋がりを育むものに過ぎません。課題に対する原因の分析の方法が異なってくるなどのことが方法論導入の効果となります。なんでも話せる関係性や本当の親しさを育むには、勇気と時間と手間がかかるのは当たり前のことです。特に昔ながらの大企業の中の期間限定のチームや人が流動的な組織では、困難であると言えます。ただ、そうであっても、チームの中で育まれた人間関係は長期的には大きく活かされていくことでしょう。

ホラクラシーの手順を導入すれば、ティール組織が実現する。

 ホラクラシーは、アジャイルソフトウェア開発におけるスクラムのようなものです(多くのチームがスクラムを導入しようとして失敗しました)。プロセス的アプローチの意義は計り知れませんが、本質を掴めなければ導入はかえって困難でしょう。

ティール組織では、明示化されたミッションが常に更新されていく。(進化する目的)

コンセンサス(意識共有)をベースに物事を進めないため、明示化されたミッションはないか、あったとしても異を唱えることのできる自由があります。なお、ティール 組織が長く存続するためには、組織を「組織の存在目的」に耳をすませてくれる存在の支配下に置くことは重要でラルーも強調しています。でも、この難題、残念ながらまだ解決されていないんですよね。いずれにせよ、大切なのは皆が同じ理念に「同感」することではなく、まず耳をすませて「聴くこと」。そして、それぞれのもつ異なる感覚に「共感・共鳴」しあうことなのでしょう。

ティール組織では、上下関係がなくフラットである。(ホールネス)

ティール組織には、一般的な上下関係(指示系統)はありませんが、フラットでもありません。目に見える階層体系がなく、ただ、目に見えない自然な網の目の中で人が動いていきます。SNSのインフルエンサーのような影響力の強い人間は存在しえます。ティール 組織では、本質的に仕組みで解決しようもない、能力や立場の違い、しがらみや信念・トラウマを受け入れあい、共に困っていきます。フラットにしなければティール 組織にならないのではなく、ティール 組織ならばフラットな仕組み(社長を投票で決め、給与明細は公開とか)でもなんとかやりくりできる(かも)というぐらいが本当のところではないでしょうか。

ティール組織のメンバには個人事業家のような自己管理力や経営的思考が求められる。(セルフマネジメント)

個人事業家の集まりのような合理性で繋がった組織は、オレンジ型組織と呼ばれています。ティール組織は、与えられたメンバそれぞれのありのままを活かし合う組織であり、自己管理力や経営的思考力がないメンバの能力をも引き出します。また報酬は、組織内顧客や周囲の評価によりません。自己評価が報酬となります。ティール 組織の金銭的報酬制度は多様ですが、そもそも金銭や周囲の評価で人が動いたり動かされたりしない形を目指しているので、どこの組織でもその点は反映した形となっているはずです。(ティール 組織の文脈での「周囲からのフィードバック」と、360度評価制度は全く別の概念です)

ティール組織の導入にはリーダーの精神的発達が欠かせない。

 時代が移り変わるに連れ、新しいものの見方は革新的なものから当たり前のものに変わっていきます。ティール組織は新しい世代にとってはより当たり前で当然のものとされるようになっていくでしょう。精神的発達を目指すよりも若い世代のものの見方を観察し共感的になる方が早道かもしれません。

おまけ:ティール組織の正・反・合

私なりにオレンジからティールまでの組織の違いのイメージを表にして見ました。

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※フレデリック・ラルーの提案したティール 組織の理解を共に深めていきましょう。挿絵の引用元でもあるこちらの本、ぜひ購入してみてください。


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