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「本を読む」だけで、いいかもしれない

28年勤めた日経新聞を辞めて、フリーになって、4か月ちょっと経った。中途半端だな、4か月ちょっと、って。
「あれやってます」「これやってます」みたいな話は、また書きます。
YouTubeのリンクだけ貼っておこう。経済や投資に興味ある方、ぜひ。

この文章は、会社を辞めてから守っているルーティンのなかで、「これ、皆さんやったら良いのに」というテーマに絞ります。

それは「本を読む」だ。

なんだ、そんなことかと思ったアナタ。
1日に何時間くらい本を読みますか。
あるいは1か月に何冊読みますか。
こちらの調査によると、平均するとこんな感じらしい。

「活字離れに関する調査」より

まぁ、こんなモンだろう。21歳の若者の6割はまったく本を読まない、なんて調査も最近みかけた。さすがデジタルネイティブだぜ。

「お前はどうなんだ」と言われると、平均したら1日2~3時間、月に10数冊読んでいるのではないだろうか。ちゃんと数えてはない。いつも数冊を同時並行で読んでいて、通読しない本も多い。
読書量は会社員時代より明らかに多い。1.5倍から2倍くらいになっていると思う。なお、私は脳内音読派で、読むスピード自体はかなり遅い。

読書量が増えたのは単純に読書時間を増やしたからだ。
起きて、朝飯を食べたら、まず本を読む。
2階のリビングのソファで1~2時間ほど本を読む。早起きしたり、没頭したりすると、3時間くらい読む。スマホは3階の寝床に置いておく(これ大事)

ちなみに読書が終わると、プールかジムに行く。午前中はできるだけ「アウトプット禁止」にしている。締め切りがあると、そうもいかないが。

お昼ご飯を食べた後、晩御飯を食べた後も、30分程度、本を読む。読書の「邪魔」をするのは言語学習アプリDuolingoくらいだろうか。

外出時は本を持ち歩く。電車内はスマホ禁止の自分ルールがあるので、本を読む。隙間時間もカフェやらで本を読む。これは記者時代と変わらない。

何でも読む。読みたいものを、読む。
でも、仕事関係など半分くらいは「読むべきもの」かな。
いま視界に入る、最近読んだ「仕事と全然関係ない、読んでも読まなくてもいいけど読んだ本」を羅列してみる。

『細野晴臣と彼らの時代』門真雄介
『ハミルトン』ロン・チャーナウ
『異なり記念日』齋藤陽道
『ワグネル プーチンの秘密軍隊』マラート・ガビドゥリン
『人生上等 未来なら変えられる』北尾トロ
『国家の債務を擁護する 公的債務の世界史』バリー・アイケングリーン他
『無人島のふたり』山本文緒
『陰陽 歩み続けるジークンドー』石井東吾
『Web3の未来』中島聡
『TOKYO 東京”偏愛”論』滝久雄編著 隈研吾・大友克洋・日比野克彦

どれも面白い。特に上から3冊は本当に読んでよかった。

2023年ベストの1冊

フリーになって意識的に読書量を増やしたのは、『シリコンバレー最重要思想家ナヴァル・ラヴィカント』の影響が大きかった。
あちこちでオススメしている、現時点での2023年のベストブックだ。

シリコンバレーのエンジェル投資家であるラヴィカント氏の語録といった趣の本で、文章を追うだけなら2~3時間で読めるだろう。
経済・ビジネス観、人生観、お金についての考え方、心身の健康を保つ方法など、発言は幅広い。
私にとっては「目から鱗」というより、「ぼんやり考えていたことをきっちり言葉にしてくれてありがとう」という本だ。全体的に自分と考え方が似ていて、相性が良い。3回読み返して、今でもたまに開く。
ラヴィカントの読書についての言葉を拾ってみよう。

「たくさん本を読むことだーーひたすら読もう」
「科学、数学、哲学を1日1時間読み進めれば、7年以内に人間の成功の階段を上り詰めることができる」
「読書が好きになるまで好きなものを読め」
読書には達成すべきミッションなんかない。ただ楽しいから読む。それでいいんだ」
「読書は競争ではない。良い本ほどゆっくり吸収せよ
「実は私はそんなにたくさん本は読まない。手に取る本は多いが、最後まで読み通して知識の基盤になるような本は少ない」
「せいぜい1日に1、2時間だね。それでも世界のトップ0.00001%には入る」
何を読むかなんてほとんどどうでもいい。(興味のおもむくまま)読んでいるうちに、人生が劇的に好転する」
読了した本の数は見栄を張るための指標だ。知識が増えれば増えるほど、読了しない本は増えていく。予測力を持つ新しい概念を中心に読め」
「金儲けのために書かれた本は読むな」
「『学がある人』と『学がない人』の区別は重要ではない。『読書好き』と『読書嫌い』の区別が重要だ
(太字は高井による)

『シリコンバレー最重要思想家ナヴァル・ラヴィカント』

読んどけ、読んどけ、という気になりませんか。

インプットとアウトプットのバランス

こちらの後藤達也さんとの対談で取り上げたように、フリーになって「困ったぞ」と思った問題のひとつが、インプットとアウトプットのバランスの悪化だった。

会社員時代のように「ポカ」っと時間が空くことが減り、放っておくと、どうしてもアウトプットの比重が大きくなってしまう。
このまま過去の蓄積や遺産で食っていると、自分が瘦せていくのでは、という思いがぬぐえなかった。

「とりあえず、たくさん本を読むか!」と開き直るきっかけになったのが、ラヴィカントの言葉だった。

人と会って話すのは大事だ。これは当たり前。
YouTubeや音声メディア、SNSも重要だ。これも当たり前。
仕事柄、ニュースメディアのチェックも必要だ。これも当たり前。

そうした当たり前は、当たり前すぎて、みんなやっている。
でも、多くの人は、1日に2時間も本を読まなくなっている。
そして、自分にとって読書は何の苦も無くできる楽しみだ。
再びラヴィカントの言葉を引く。

「君にとって最高のワークアウトとは、毎日やりたいと思えるほど楽しめるものだ。それと同じで、君にとって最高の読書とは(中略)いつも読みたいと思えるほど楽しめるものだ」

『シリコンバレー最重要思想家ナヴァル・ラヴィカント』

他の人と差別化しよう、というスケベ根性もなくはない。
でも、それ以上に、「とりあえず、なんでもかんでも、読んでおけばいいのかもな」という漠然とした思いが強い。読書と、1日1時間程度の運動は、心の中で「仕事のうち!」とカウントしている。
若干、現実逃避のような気がしないでもないが、ラヴィカント氏に「それで、いいんじゃないの」と背中を押してもらったと勝手に思っておこう。

10数本の本棚からあふれかえった本の収納が問題なのだが、それはまた別のお話。

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朝のルーティーン

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