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Be sweet...Japanese Breakfast: 朝ぶろのハラペーニョ

出社すると、ハラペーニョがひとつ、ぽてっと私のデスクに転がっていた。たぶん唐辛子の一種で、メキシコ料理屋やタコス屋に行くと、付け合わせとしてオーダーできる。そんなに辛くないので「トッピングする?」と店員さんに聞かれると、いつもYesと答えてしまう。というかそれくらいの認識しかないし食べる機会が無い。何故こんなところに?

どうやら同僚が家で育てたもので、試しに食べてみて、と置いてくれたらしい。もらってもなあと内心思いつつ、ぷくっと膨れたその見た目はどこか愛らしく、ぬか漬けにしてみることにした。日本との接点が極端に少ないこの町でも、オンラインでぬか床が購入できる!2カ月前から1日2回、せっせとぬか床をひっくり返し、何億という乳酸菌を育てている。単純で簡単だが、とてつもなくポジティブな行為だ!

ぬか漬けは食べ過ぎなければ身体にもいいらしいし、ぬか床はメンテさえすれば半永久的に使える。乳酸菌強めの強アルカリ性泉のぬか温泉に、ハラペーニョを投入。美味しくなってくれ。愛らしさが増す。この町では、漬物に適した(日本野菜の品種に近い)きゅうりや大根にはなかなか巡り合えない。その代わりにアボカドやパプリカなどの現地の野菜を漬け込むと、ぬかの酸味と塩味、そして野菜の甘みが絶妙のハーモニーをうみ、朝食のグレードを一気にあげてくれる。

今までいろいろなぬか漬けを試したが、今のところパプリカが一番美味しい。白米にもサンドイッチにもぴったりだった。予想を遥かに超えたのはバナナ。漬けた自分がどうかしていた。だけど、ほんとは何を漬けたって良い。日常というのは、だいたいしょっぱくてすっぱい。そんな毎日をぬか漬けの朝食でスタートさせる。ハラペーニョはどうなるかわからない。ちょっと辛いかもだけど、その向こうにあるかもしれない甘みに出会えたらなあ。ぬか床という至福の温泉に浸かるハラペーニョは私に前向きな朝をくれる。

Be sweet… ハラペーニョに歌った


※タイトルの”Be sweet”はJapanese Breakfastというアメリカ人アーティストの曲です。フロントパーソンのMichelle ZaunerはTime誌が選ぶ2022年の100人にも選出されています。曲が好きで最近聴いているのですが、食に関するエッセイも秀逸です。”Real Life : Love, Loss and Kimchi”という短い文章からも、その才能に触れることができ、糠漬けとともに私の生活に彩りを与えてくれます。ちなみにユニット名のJapaneseは語感がいいからつけたそうで、日本にルーツがあるわけではないそうです。今年のフジロックにも登場するらしい。いつか見に行きたいなあ。


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