エッセイ カレーライスとお茶漬け 2024年5月4日

中学生の時か、高校生の時だったか、夕食にカレーを食べていた。もちろん既製のルーを使った日本カレーである。平皿にご飯を盛って、上からカレーをかける。当時子供のいる家庭ではどこでも作られていた、忙しい母親のための手抜き料理である。私の母親は忙しくなかったが。

あの時はラッキョがのっていたかもしれない。で、ぼんやりとカレーを食べていたのである。カレーとご飯を混ぜると柔らかくなって食べやすいなぁ、と思いながら。
そして突如ひらめいたのだ。そして大声で叫んでしまったのである。
カレーライスって、インド人のお茶漬けやってんや、と。

台所で洗い物をしていた母親が気持ち悪そうにこちらを見て、「あんた、何言ってんの」とぼそっと言った。

で、私は母親に繰り返し訴えたのである。母親は相手にしなかったが。

当時のカレーと言えば、例えばハウスジャワカレーが有名であった。ジャワとインドの区別もついてなかった。カレーとは南のほうで食べられているのだろう、と思っていた。もちろん日本カレーと同じような物だろうとも思っていた。

長じて本物のインドカレーを知った。日本のカレーよりももっとシャブシャブであった。本当にインド人にとってのお茶漬けだったのである。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?