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ゲイだとカミングアウトしたら身体の関係を迫られた話 #39

僕は大学時代に、数人の友人に僕のセクシャリティをカミングアウトしました。
そのうちの一人がサークルの後輩でした。

彼女とはサークルの中でも特別仲がよく、彼女の恋愛の相談にのる機会も多かったです。

二人で遊んだり、飲みに行ったりすることもあり僕はすっかり彼女に気を許していました。

彼女の相談にのりながらも、僕はいつも嘘をついたりはぐらかしたりしていることがフェアじゃないなと思っていました。
なんとなく彼女になら話してもいいかなと思い、僕がゲイであることを彼女に打ち明けました。

彼女は、僕のカミングアウトを真剣に聞いてくれました。

「わたしは全然気にせんし、ひろトさんが男が好きでもそうじゃなくてもうちらの関係は変わらないですよ」

と言ってくれました。


彼女は僕にとってセクシャリティをカミングアウトをした四人目の相手でした。

僕はサークルの同期2人と幼馴染1人にカミングアウトをして、その三人は僕のカミングアウトを受け入れてくれました。
カミングアウトをして受け入れてもらえた経験が続いていたこともあり、僕にとってカミングアウトをすることへのハードルは以前よりも少し下がっていたような気がします。

カミングアウトをしてから、彼女と僕の関係性は大きく変わることはありませんでした。
しかし、なんとなく彼女との会話に違和感を感じる瞬間が多々ありました。


「ひろトさんは男の気持ちも女の気持ちも両方分かるから相談しやすいです」


「ひろトさんがゲイなんてもったいないですね。普通にいい旦那さんになれそうやのに」



彼女は、そんなことをよく言っていました。
彼女の言葉を聞いて、そうなのかもしれないとも思ったけど
でも彼女の言葉は僕にしっくりハマりませんでした。


彼女にとって僕はどういう存在なのだろうか。
男性でもあり、女性でもあるということなのか。




“ゲイなんてもったいない”




その言葉に、なんとなくゲイとして生きていこうとする僕の生き方を否定されているような気持ちにもなりました。




彼女の言葉に僕を否定する意図はなかったのだと思います。
彼女はたしかに僕に対して親しみをもって接してくれましたが、僕の思いや期待とはなんとなくズレがあったように思います。



ある日、僕は彼女から身体の関係を迫られました。


いつも通りに僕の家で彼女と二人。
安い梅酒を片手に、お互いの恋愛話に花を咲かせていました。


「ひろトさん、最近彼氏が全然してくれないんですよ」

「うち、性欲めちゃくちゃ強いから全然最近満たされてないんです」

そんなことを言ってしました。

普段から下ネタも話していたので、いつもの流れだと思いいつも通りに会話を続けていましたが少し様子が違いました。


「ひろトさん、わたしとやってみません?」


いつもの冗談だと思い、僕は笑っていましたが彼女は本気だったようでした。


「わたしは本気ですよ。いいじゃないですか、うちらの仲やないですか」


彼女は強引でした。


僕が彼女の行動を静止しようとすると彼女は


「ひろトさんは、女の子みたいなもんやからひろトさんとやっても別に浮気にはならんでしょ」

「ひろトさんは男が好きやし、好きになることもないからお互い割り切ればいいじゃないですか」

「ひろトさん女の子の経験ないって言ってたらか、一回くらいやってみたいでしょ」


彼女の勢いは凄まじかったですが
彼女のその言葉を聞いて一気に酔いが冷めました。



彼女の目に、僕はどんなふうに映っていたのだろうか。




僕に覆いかぶさってくる彼女の頭を(かなり)強めにはたきました。




「こんなんしたくなもないし、無茶苦茶なこと言ってるのわからんの」

「もう今日は、帰って。こんな雰囲気で一緒におりたくないわ」



僕は強い口調で彼女を行動を咎め、その日はそのまま彼女を家にかえしました。
彼女も我に返った様子で、平謝りしながら帰っていきました。



後日、めちゃくちゃ謝られました。

お酒の勢いで、酷いことをしてしまったと。


彼女が元々酒癖が悪いことも僕は知っていたし、悪気があっての行動ではないと分かっていました。


僕は彼女の謝罪を笑い話として快く受け入れ、その後も僕と彼女は仲のいい先輩・後輩として大学時代を過ごしました。


その一件があってから、彼女から関係を迫られることはありませんでした。


大学を卒業してからは、次第に彼女とは疎遠となりもう10年近く連絡をとっていません。
今どこにいて、何をしているのかもわかりません。


彼女の目には、僕はどう映っていたのか。
今となってはわかりませんがいつか聞ける機会があれば聞いてみたいです。

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