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失敗してもいい、と開き直ること

 今日、アクリルガッシュの絵の具を買って来た。
 というのも、ふとアクリルでキャンバスに絵を描いてみたくなったからである。前からキャンバスに絵を描くことは興味があって、油絵で一度挑戦したことがある。
 でも、油絵というやつは、乾くまでに時間がかかる。そこで「ちょっと合わないな」と思ってしまって、余分に買ったキャンバスが放置状態になっていたのだ。
 これをどうにかせんとなぁと思っていた矢先、ふと、アクリル絵の具を指で描いたらどうなるだろうか、と思い至った。
 僕はパステルを指で描くのが好きである。擦りつけたり、伸ばしたり。そういった指先の感覚、作業が好きだから、パステル画を描き続けているところがある。だから、もし指でアクリル絵の具が描けたら、面白いんじゃないかと思ったのだ。
 調べてみると、どうやら指でも描けそうだ。実際、描いている人もいた。自分もやってみようと思ったら、すぐ実行する。さっそく十二色入りのアクリルガッシュを買ってきて、キャンバスを前に絵の具を直載せして、描き始めた。
 しかし、最初はやっぱり思うようにいかないものである。指で伸ばすのが難しく、ベースとなる下塗りは筆でしたほうがいいかと方向転換する。それから、下地の色の上に、指先でベタベタ色を乗せていけばいいか。
 そう考えて、最初に描いたのがこの絵だ。

キャンバス画7枚目


 うーん。悪くはないと思うけど、いまいちピンとこない。そこで、写真ではなく、何か既存の画家の作品を参考に、真似して描いてみたらどうかと思った。
 真似るは学ぶと一緒だ。まずは猿まねで良いから、楽しく描けそうなものを選ぶ。そこで見つけたのが、ルドンの絵だ。彼はアクリルではなく、パステルで描いているけど、これをアクリルガッシュで描けたら楽しそうだ。
 なあに、失敗したっていい。だってまだキャンバスに描くのは、油絵を含めても8枚目である。そんな数で天才的に上手いものが描けるわけじゃないんだ。
 なんでもそうである。失敗してもいい、と開き直ることは大切だ。そもそも、子どもの頃は「上手く描こう」とか「他人が見たらどう思うかな」なんて考えてなかった。ただ、楽しいからやる。失敗も、成功もない。あるのは、そこで絵を描くという動作、作業、そして満たされた感覚だけである。
 僕はそうやって描いていきたい。楽しんで人生を送りたい。
 で、下地を筆で塗ったあと、べたべた指先で描いたり、ときには手のひらをえいやと乗っけたりして、試行錯誤して描いたのが、これだ。

キャンバス画8枚目

 満足感がある。結構気に入っている。単なる真似だけれど、それでも、ただの真似じゃない、何となく自分自身でしっくり来ている感じがある。
 この、感じ。これを大切にしたいのだ。失敗も成功もなく、ただ「感じ」があるだけ。それだけで、今日の僕は満足だった。

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