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台北にある2軒のトルココーヒー専門店

台北には専門のトルココーヒー屋さんが2軒あります。
寡聞にして東京にこの様なお店があると聞いたことがありません。トルコ料理屋さんがあるので,そこでトルココーヒーを飲むことはできるのかもしれませんが、専門にトルココーヒーを出すお店はなさそうです。

一步一步來

3年ほど前、台湾の友人が寿司を食べに行こうと誘ってくれました。その時紹介してもらったのが、張光佑さんです。そして会話の中で、彼が美食家として著名なブロガーだと教えてもらいました。ブロガーとしては阿仙(お仙/楽人吟味)という名前を使っているそうです。
会話の中で、日本の有名レストランの話がひっきりなしに出てきたのですが、僕が行ったことのあるのは一軒しかありませんでした。日本人として少し恥ずかしかったですが、台湾のグルメの人達は日本に食事のためだけのツアーをするので、全く歯が立ちません。参りました、という感じです。

張さんは台湾でウードという中東の伝統楽器を演奏しています。そして、その演奏活動のかたわら、様々な台湾のグルメについての評論を書き、それが高じて自分でも飲食店をやりたいと考える様になった。そしてこの中東の伝統音楽を学んでいた時に出会ったトルココーヒーを、台湾で紹介しようと思い立ったのだそうです。

お店は、仁愛敦化のロータリーの近くにあります。張さん1人が切り盛りする、とても小さなお店です。カウンターとテーブル席で10人ほどのキャパでしょうか。ここに来るお客さんは、張さんことをよく知っている人が多い様です。張さんとコーヒーや美食について話していることが多いです。

僕は残念ながらトルコではチャイばかり飲んでいたので、本場のトルココーヒーがどの様に作られるものなのかは知りません。このお店で初めて見ました。鉄板に砂を敷いて、その上に一人分のコーヒーを粉と水を混ぜて置きます。そしてそれをゆっくりゆっくり温めていきます。どうもこのスピードと安定した低い温度がポイントの様です。そのため直接火に当てるのでなく、砂を介して間接的に温めているのでしょう。
そして、コーヒーをデミタスカップに入れて出してくれます。少し時間をおいて、コーヒーの粉が下に沈澱するのを待ってから表面のコーヒーを飲みます。
一般的なコーヒーの作り方は、スピードを重視し、フィルターで漉して不純物をとるという手順を踏みますが、どちらもその対極にあるコーヒーの作り方です。一杯淹れるのにとても手間暇がかかるし、コーヒーの粉はカップの中に残ります。

これは、張さんの好きな美食レストラン、シェフが食材を吟味して、一品一品手間暇をかけて丁寧に作る。そういうあり方を、トルココーヒーを題材にして実践している。そういうコーヒーショップなのだと思います。

一度は、このお店でオリジナルパスタを食べられるというので、行ってきました。張さんは料理を作ってもとてもこだわりがあるのですね。アルデンテで特別なチーズをあしらった、手打ちのパスタを出してくれました。デザートもオリジナルのプリン。どちらもとても美味しかったです。
どうも、商売してお金を儲けるためではなく、趣味が高じてお店を開いてしまいましたというノリのお店ですね。料理好きな友人の家にお邪魔して、おいしい料理と特別なコーヒーを御馳走になりましたという感じです。

お店はシンプルな外観です。
張さん、作業中。
コーヒーはトルココーヒー以外にドリップ、アイスのものを飲み比べられます。
焙煎も自分でやるんですね。
棚にはコーヒーや美食の本が並んでいました。
特製手打ちパスタ。
とても濃厚なプリンでした。

Saturn Landing Turkish Cafe

一步一步來に行ってから1か月ほどたったころ、青田街の辺りを散歩していたら、とてもユニークな店構えをしているお店を見つけました。名前を見るとSaturn Landing Turkish Cafeとあります。えっ、これもトルココーヒーを出すお店なのと驚き、入ってみることにしました。

一步一步來がとても質素な店構えをしているのに比べ、こちらはとても豪勢なインテリア設計になっています。エントランスはちょっとしたスペースにもなっていて、オリエンタルな飾り付けがしてあります。店の中はとても広く100席くらいはありそうです。
インテリアがとても写真に映えるようなデザインや色使いなので、たくさんの女子がスマホで写真を撮っていました。この日は平日なので、並ばなくてもすぐに入れましたが、店員さんによると週末は予約がないと入れないほどの人気店なのだそうです。

こちらは、メニューも豊富でした。普通のカフェと同じように、ランチとのセットとか、ケーキセットなどもありました。
せっかくなので、トルココーヒーと、昔コーヒーが高級品だった時に庶民がコーヒーの代わりに飲んだという飲み物のセットを頼みました。トルココーヒーは一歩一歩來のものと比べると、粉の沈殿が十分でないのでしょう、飲む部分に粉が混じっているような感じでした。コーヒーの代わりの飲み物というのは、見た目は似たようなものですが、香りや味が全く違うもので、歴史の勉強としては面白いですが、また飲みたいと思うようなものではなかったですね。

しばらくして、近くに行ったのでランチを食べに入ってみました。この時は普通のコーヒーとサラダのセットを頼みました。ことさらにトルココーヒーにこだわらなくても、おいしい食事とコーヒーをいただける、とても雰囲気の良いカフェです。


こんな店構えで、とても印象的です。
エントランスの設え。
ブルーの壁面が印象的です。ターコイズブルーなのでしょう。
狭いスペースを効果的に使っています。
キッチンの様子。とても雰囲気が出ています。
女子がたくさんいるのは、写真写りの良いスペースだからでしょう。
スツール席の様子。
壁面の飾りつけもよい感じです。
初めに行ったときは、トルココーヒーとコーヒー風の飲み物の飲み比べセットを頼みました。
二度目に行ったときは、普通のコーヒーでランチをいただきました。
ランチのセット。パンがトルコ式のものでした。

台北には、こんな対照的な営業をしている2軒のトルココーヒー専門のお店があります。トルココーヒーがどんなものか本場の味を知りたいなら"一步一步來"を、雰囲気のよい空間で食事を普通に楽しみたいなら "Saturn Landing Turkish Cafe" をおすすめします。

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