ヒロユキ

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  • 短編小説『会話』

    二人の人物の会話だけで構成された短編小説集です。 基本1話400字詰め原稿用紙2枚以内で作成してます。

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ロックスター

「はじめまして、今日はよろしくお願いいたします」 「ヨロシク~、英六社の笹川さんにはいつもお世話になってます」 「ああ、笹川は今日急用でこれなくなりまして、それで私が急遽・・・」 「ああ、そういうことね。今、売れっ子だもんね笹川さんも」 「いえいえ・・・早速ですが、3年ぶりのニューアルバム『悲しみの三角州』を出されまして・・・」 「え、ちょっと待って、そんなの出してないよ」 「え?あ、違う・・・『街角のニューウェイブ』ですね」 「いや、ちがうよ、それウチらじゃなくってオフィシ

    • 工事現場の警備員をしているきれいな女の人に説教し始めるおじさんがいた件

      「自転車一台通りまーす!あ、こちら通りにくくなっておりますのでお気をつけください」 「ちょっといい」 「・・・・?」 「あなた、ここの警備員さん?」 「はい」 「そう・・・」 「なにかありましたか?」 「いえ、ちょっと、合わないなって思ってさ」 「合わない?・・・といいますと」 「いや、こういう仕事しなくてもあなたみたいなきれいな人だったらいくらでも仕事あるでしょ、他に」 「どういう意味ですか?」 「そのまんまですよ、もったいないって言ってるのよ」 「それって、警備員に対する

      • まだユーチューブを1本も投稿していないのに言うことがベテラン配信者がいた件

        「いや~、視聴者さんから結構来るんですよコメント欄で『もう少し明るめの服着たほうが良くないですか?』って」 「あっ・・・ごめんなさい、私いろいろ疎くて、ユーチューバーの方なんですか?」 「いやいや、そんな・・・」 「わ~、すごい・・・そうですね、映像で見られるならこれぐらい派手めでもいいかもしれませんね。しかも、スマホの小さい画面で見てもらうんでしたら原色系とかの方がいいかもですね」 「なるほど・・・やっぱりそういった人がお客さんとしてもいらっしゃるんですね?」 「はい、時々

        • クラスの好きな女子に担任経由でジロジロ見ないでほしいとクレームがきた件

          「牧村、元気?」 「まあ・・・はい」 「最近、がんばってるね」 「ありがとうございます・・・あの」 「ん?」 「なんですか?話って・・・」 「ああ・・・そっかそっかごめん。いや、なんだろたいしたアレじゃないんだけどさ」 「はい。なんですか?」 「佐々木いるだろ?うちのクラスの」 「・・・・」 「どした?黙り込んで」 「いや、べつに・・・なんですか?」 「あれ?顔、赤い?」 「赤くないですよ・・・なんですか、佐々木さんが」 「いや、こないださ先生のところに来て『相談がある』って

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        • 工事現場の警備員をしているきれいな女の人に説教し始めるおじさんがいた件

        • まだユーチューブを1本も投稿していないのに言うことがベテラン配信者がいた件

        • クラスの好きな女子に担任経由でジロジロ見ないでほしいとクレームがきた件

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        • 短編小説『会話』
          50本

        記事

          担任の先生に授業がわかりにくいことを率直に言ってみた件

          「先生」 「ん?どした?若林」 「ちょっと先生に前から言いたかったことあって」 「おお、なになに?若林が話しかけてくるなんてめずらしいから先生ちょっとそれだけでうれしいぞ」 「ありがとうございます。でも、その、なんていうか・・・・怒らないでくださいね」 「え?なんだなんだ?ずいぶんおもしろそうな話題みたいだな・・・そういう話って先生好きだわ。いいよ、言ってみな、先生海のような心でそれ受け止めるからさ」 「はい、ありがとうございます。根本先生は学年主任もされていて先生方からの信

          担任の先生に授業がわかりにくいことを率直に言ってみた件

          給湯室でお局さんに挨拶するのを忘れて怒られた件

          「ちょっと、桜井くん」 「・・・・はい」 「いや、はいじゃなくって」 「え?」 「なんもなし?」 「・・・・?」 「スーってなにも言わずにさ。『おつかれさまです』なり『失礼します』なり」 「ああ・・・おつかれさまです」 「『ああ』??え、なにその『ああ』って」 「・・・・・」 「わたしここに立ってたよね?見えてるよね?」 「はい・・・います」 「よかった、存在してるんだよね。じゃあ、なんで無視なの?」 「いや、無視とかそういうつもりはとくに」 「デフォルトなんだ、なにも言わな

          給湯室でお局さんに挨拶するのを忘れて怒られた件

          エロ本とエロDVDを行商する男にその真意を聞いてみた件

          「すみません」 「はい、いらっしゃい」 「あの、ちょっと話いいですか?」 「はい?」 「ここで最近こういった、やらしいDVDとか書籍を販売されてますよね?」 「ああ、はい。販売許可とかそういう話?」 「いえいえ、そういった話じゃないんです」 「そういうこと指摘する人にはさんざん話したんですけど、非営利ですから・・・」 「非営利?」 「そうです。お金をいただいてるふりをしているのであって、ほら、見てコレ。買ってもらったDVDのケースの中にその販売価格分のお金が入ってるんですよ」

          エロ本とエロDVDを行商する男にその真意を聞いてみた件

          電車で老人に席をゆずったら怒られた件

          「あ、どうぞ・・・」 「・・・・・?」 「あっ、席・・・僕、次の駅なんでどうぞ」 「・・・・・?」 「・・・・・・」 「だから?」 「・・・・」 「席譲られるほど年老いてませんから」 「いや、年老いてますよ?どう見ても」 「失礼なひとだな・・・」 「・・・・・」 「周りの目を気にして、自分がどれだけ優しいかをアピールしたかったんでしょ?」 「ちがいますよ」 「ぜったいそのはず。ほら、さっきから正面に座ってる女の子チラチラ見て意識して」 「見てませんよ」 「いいや、見てます。結

          電車で老人に席をゆずったら怒られた件

          友だちの話を聞いていたら完全に詐欺にひっかかっていたので慌ててとめた件

          「いいなぁ~、ベンツ。やっぱり乗り心地が全然違うね」 「そうな。いろいろビンテージの古い外車とか乗ったけどやっぱりこれに落ち着いた感じかな」 「そうなんだ・・・俺も投資で金は有り余ってるから買おっかな、ベンツ」 「あれ・・・そうなの?知らなかったそんな話」 「ん?ああ、まだ誰にも言ってないけどね」 「投資・・・詳しかったっけ?」 「いや、俺もそんな詳しくなかったんだけど、老後のこともあるからそういうこと詳しい人にいろいろ会って勉強したんだ」 「ほう・・・それはもともと知り合い

          友だちの話を聞いていたら完全に詐欺にひっかかっていたので慌ててとめた件

          一度も舞台に立ったことないのにお笑いを熱く語るヤツに説教した件

          「やはり緊張と緩和なんだよね、きほん」 「そうなんだ」 「学校の先生が説教してるときに胸元にバッタがとまったことあったんだけど、まさにあれがそうであってさ」 「そんなことあったんだ」 「常にお客さんと芸人の間にも劇場には見えない緊張の糸みたいなものが張り巡らされていて、それがふとした瞬間にゆるんだ時に笑いが起こるんだよね。その手綱は常に握っておかなきゃいけないんだけどさ」 「雄介くん、お笑いライブとかやったの?」 「いや、なんで?」 「お客さんと芸人の緊張とか、劇場の話するか

          一度も舞台に立ったことないのにお笑いを熱く語るヤツに説教した件

          のどかな田舎道で農作業をしている人に声をかけたら怒られた件

          「こんにちは~、おとうさん」 「・・・・?」 「なにされてるんですか~?」 「なにって?・・・農作業」 「ははっ、いい天気ですね~」 「なんだアンタ?」 「いや、通りがかった方にお声がけさせていただいてるんです」 「ああ、所さんのダーツのやつか?」 「いえ、ちがいます」 「・・・・・。なんかテレビのあれか?」 「いえ、ちがいます。純粋に東京から来たので、地元の方に話聞いてみたいなと」 「聞いてどうするんだ?」 「いや、こういった環境で生活されている方とのふれあいを・・・」 「

          のどかな田舎道で農作業をしている人に声をかけたら怒られた件

          コンビニの店員に社畜かどうか聞かれた件

          「温めますか?」 「あ、おねがいします」 「サラリーマンさんですか?」 「え?」 「サラリーマン、ですよね?」 「ああ、まあ・・・なにか?」 「いえ、やっぱり・・・」 「やっぱり?・・・どういう意味?」 「背広きっちり着てるんで、つい」 「・・・・・」 「どうなんですか?ぶっちゃけ社畜なんですか?」 「は?」 「社畜、ですよね?」 「なんでそんなこと言われなきゃなんないんだよ」 「ほら、怒ってるってことは社畜なんだ?」 「なんなんださっきからアンタ」 「でも、飲み会とかでは『

          コンビニの店員に社畜かどうか聞かれた件

          しきりにマスクをつけたらカワイイと言ってくる会社の同僚にキレた件

          「先輩先輩、ちょっとマスクつけてもらっていいです?」 「ん?なんで?」 「いいからいいから」 「こう?・・・なに?」 「やばい~、やっぱりかわいい~」 「え?」 「マスクつけたらメチャクチャ雰囲気変わりません?」 「え、そうなの?」 「やばい、北川景子とか、そっちの感じ」 「そうなの・・・・」 「全然、こっちのほうがいいですよ」 「・・・・・」 「いや、マスク取ったらブサイクとかそういうこと言ってるんじゃないですよ?」 「・・・・・」 「え、ちょっと怒ってる!べつに私的にはマ

          しきりにマスクをつけたらカワイイと言ってくる会社の同僚にキレた件

          友だちに鼻毛が出ていることを教えてあげたらブチギレられた件

          「佐々木~」 「ん?なに?」 「おまえ、鏡見てみ」 「なんで?」 「鼻毛出てるよ」 「え!うそ?」 「ほんと、太いやつ一本」 「・・・・・」 「ははは・・・女の子来る前でよかったね」 「・・・・・」 「どうした?」 「え?・・・・べつに」 「なになに?怒ってんの?」 「・・・・は?怒ってないし」 「明らかに不機嫌になってるし・・・」 「なってねえし」 「え、うそでしょ?鼻毛教えるのなんて俺らの仲だし良いことだろ?」 「そうかな・・・」 「そうでしょ?なに、そのままにするのが優

          友だちに鼻毛が出ていることを教えてあげたらブチギレられた件

          先輩のボケにツッコんだら繊細な人すぎて凹んでしまった件

          「青島さん、こないだちょっと遅刻してましたけどどうしたんですか?めずらしい。なんか体調でも悪いんですか?」 「いや、ここ最近雨が続いてたからさ、久しぶりに晴れたからつい青すぎる空を見てたら遅れちゃって・・・」 「ハハハハッ!なんすかそれ!感受性高いっすね~」 「・・・・」 「そんなアホなギャグとばすとは思ってなかったですよ、おもしろいですね、青島さんって」 「・・・・え?アホ?」 「いや、アホでしょ、空が青すぎて遅刻って。おもしろいですよ。使わしてもらいますね、今度」 「いや

          先輩のボケにツッコんだら繊細な人すぎて凹んでしまった件

          関東出身なのに関西弁をしゃべる人に注意してみた件

          「いや、ほんま洒落ならんわ。だってやで、こっちからしてみたら3か月待って楽しみしてんねんで?それが行ってみたらまだ来てませんやねんもん、アホかて」 「そうなんだ・・・発注はしてたの?」 「いや、そこも怪しいと思うで。だって俺見たときキョトンやったもん。普通取り寄せ頼んでた人来たら気づくやん」 「そっか・・・大手の自転車屋のほうがいいのかな、やっぱり。味わいはあるんだけどね、小さくて昔からあるとこ」 「なんやかんや言うて、大手やねんて、やっぱり。ほんまごっつ腹立ったわ」 「ねえ

          関東出身なのに関西弁をしゃべる人に注意してみた件