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ひさのメモ⑤比較して効果を調べる:介入研究(実験的研究)の基本的方法論

リハビリテーション・作業療法領域において,治療・介入効果を調べる研究は,EBR(根拠に基づいたリハビリテーション),EBOT(根拠に基づいた作業療法)のためにも重要である.この時の研究デザインは介入研究(実験的研究)などと呼ばれる.

ここでは介入研究(実験的研究)を行うときのサンプリングと主な統計解析手法となる二群・多群の差の検定などについて以下の構成でまとめる.

1.介入研究・実験的研究とは
2.独立変数と従属変数
3.介入研究の分類
(1)前後比較試験(Before-after study)
(2)クロスオーバー試験(Cross-over study) 
(3)ランダム化比較試験(randomized controlled trial:RCT)
4.データ収集の方法論
(1)サンプルサイズの決定方法
(2)統制
5.データ分析の方法論~有意性検定と効果量~
(1)正規性検定と等分散性検定
(2)2群の差の検定とサンプルサイズ
(3)2群の差を表す効果量
(4)多群の差の検定
(5)多群の差:分散分析の効果量
(6)分散分析の分析結果:表によるデータの提示
(7)多重比較検定
(8)多重比較検定の効果量
6.統計学的手法の記述方法
7.介入研究論文の批判的吟味と書き方
(1)批判的吟味
(2)ランダム化比較試験(RCT)の研究報告:CONSORT 2010
8.研究例の紹介
9.介入研究の限界


1.介入研究・実験的研究とは
介入研究(intervention study)は,疫学研究デザイン分類でいえば臨床試験(clinical trial)ともいわれるデザインである.実験的研究は,因果関係*を検証することを目的としており,独立変数に操作を加え,その結果,従属変数に表れた変化を調べる研究であり,仮説検証型研究ともいわれる.

要約すると,介入研究・実験的研究は,治療・介入効果を調べるために対象者に行った治療結果を別の治療を行った群と比較する研究である.おそらく研究と聞くとこの研究デザインが頭に浮かぶと思う.

*因果関係:ある事実と別のある事実との間に発生する原因と結果の関係のこと.

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