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育つのは、俺だった。「いまを上書きする」

 娘(三歳半)は切り替えが早い。立ち直りが早い。
 もちろんよく泣く。
 お菓子食べたい、テレビ見たいなど理由の分かるものもあれば、理由なくただ不機嫌で泣くことも多い。

 だが、少し時間が経つと大笑いしていることも多い。
 きっと泣いていたことを忘れているわけではないが、お菓子が食べられなくても、テレビが見られなくても、まあ結果は結果として受け止めて切り替えている感じがある。

 娘は「いま」を生きている。
 昔のテレビドラマで「いまというのは8秒だ」というセリフがあった。8秒前は過去、8秒後は未来だと。
 娘の生きている「いま」はまさに8秒くらいだなという感じがするのだ。

 だからその分「いま」機嫌が悪ければ全力で泣きわめく。だが8秒経てばそれは過去となり、また「いま」を味わっている。つぎのいまが楽しければ大笑いしているのだ。

 俺は8秒どころか数日、数か月、数年分の何かと同居しているし、過去にもならない過去と生きていくのが正しいと思っていた。その先にしか未来はないと思っていた。
 でもそんな生き方ではきっと年を取るほどに苦しくなるだけだ。

 娘のように8秒でリセットとはいかないし、彼女もきっと成長とともにそうはいかなくなるが、それでもなるべく「いま」だけを上書きできるような無責任さも必要であると教えてくれる。

 育つのは、俺だった。


#子育て #育児 #コラム  


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