「正欲」感想
とてもおひさしぶりです。ひそかです。
書きたいネタは日々わいてくるのですが実習バイト遊び就活で追われ、なかなか筆をもつことができませんでした。
今年の2月、「ひそかのひっそり本屋大賞」と称し、4月の本屋大賞発表より前にノミネート作品を読み、ひそか的本屋大賞を決めよう、と読書していました。
結果から言いますと、まず、10冊すべてを読むことができませんでした。2月3月はサークルの追いコンの準備、追いコンが終わってから遊び呆ける毎日。
さらに致命的なのは、昨年の四国旅行、東北北海道旅行で貯金を粗使いした私に、単行本10冊買う余裕はありませんでした。
ということで読んだ作品は4冊。
「赤と青とエスキース」 青山美智子
「スモールワールズ」 一穂ミチ
「星を掬う」 町田その子
「正欲」 浅井リョウ
浅井リョウさん以外ははじめての作家さんでした。
この4冊の中で人に話したくなるほど衝撃を受けたのが、浅井リョウさん「正欲」。
本屋大賞っぽくない。重すぎる。人の思考をぐちゃぐちゃにしすぎる。
本を読むとき、惹かれた言葉に出会ったら付箋を貼るのが習慣なのですが、付箋を貼る手間が惜しいくらい、没頭したい、没頭してしまう作品でした。
以下、ネタバレありの感想になるのでご注意ください。
「「多様性」って言葉ほど多様性のなさを感じる言葉はない」
登場人物の一人、○の言葉です。
社会学生なので授業でジェンダー問題、マイノリティ問題を扱うこともよくあるのですが、
2021年 のニュースで、「パンツ姿のミニーちゃん」「ゲイのスーパーマン」の登場を知ったとき、時代の潮流が身に染みるとともに、違和感をもちました。
でもその違和感を言語化することができない。
これまでのプリンセスとは違い、行動的な、自力で幸せをつかみにいくようなプリンセスの登場。ジェンダー的視点から、ディズニープリンセスたちが批判されていること。
女性が力を持ち始め、あらゆる、本当にあらゆる生き方が肯定される世の中は生きやすいはずなのに、拭えない違和感。
この違和感の正体を暴いてくれたのが彼のこの言葉でした。
「女性はスカート」の固定概念を破ったミニーちゃん、自立するプリンセス。彼女たちが肯定される一方で、では、彼女たちに憧れる女の子たちの気持ちはどう受け止められるのか。王子様を夢見てはいけないのか。ディズニープリンセスに憧れてはいけないのか。
ある多様性が受け入れられることで、一方の多様性の発言権が低くなる。それがこの言葉の真意なはずです。
多様性のある社会を鋭く切り抜く浅井リョウには感服です。
人はどうしても、周りと比較し、正しい、正しくない、良い、悪い、でカテゴライズしがちです。比較するのではなく一人ひとりの生き方が尊重されなければいけない。
ここまで書いてギブアップ!
しかしここまで書いたのでもったいない精神で投稿します。
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