「夜の油断と、タイプライター」ヒスイのシロクマ文芸部
「文芸部にいた頃のこと、おぼえているか?」
ワタヌキが夜空を見上げながら言った。
おれは自分の腹を眺めて、
「ずいぶん、昔みたいに感じるよ」
「だよな。変わっちまったもんな、俺たち。あのころは『ペンは剣より強し!』とか『言葉が世界を変える』とか、本気で言っていたんだぞ」
「……そういう気持ちは、変わっていないけどな」
そういうと、ワタヌキもぽつりと、
「俺も、気持ちは変わってないつもりだが。体は気持ちを裏切るよ」
「しょうがない、そうなることを自分で選んだんだ。お前だっ