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「世界価値観調査」というものがあります。

結果はネットで閲覧することができます。
最新の結果は七回め。
2017年から2021年にかけて行われました。

全国民への調査ではなく
各国で1,000人から3,500人に対して
アンケートしたものです。
例えば第四回めの調査では
一カ国当たり平均1,330人、世界累計で
約92,000人に対してアンケートが行われました↓

ゆえに、完璧に価値観を調査できているか
というと、そうではない。
数字のマジック的な部分もあるため、
ある程度の傾向がつかめるに過ぎません。

…ただ、その結果の概要を知っておくことは
各国の「価値観」を比較的に知り
国際的な「井の中の蛙」にならないために
必要なことかと思います。

本記事は、この第七回めの
「世界価値観調査」の結果から浮かび上がる
「日本でのマスコミへの信用度」について。

まず、電通総研と同志社大学の池田研究室が
国際比較分析を行った結果から、
一部をかいつまんで引用紹介します↓

(ここから引用)

≪国際比較からみえる日本の9つの特徴≫

①【仕事】
「余暇」重視、「仕事」の重要度は国際的に低い

②【ジェンダー】
「同性愛」への受容度は、
ヨーロッパなどの先進国に次ぐ高い水準

③【自由の価値】
重視するのは「安全」>「自由」>「平等」。
人生の自由度は低いと感じている

④【メディア】
マスメディアを信頼。新聞、テレビから
「毎日情報を得る」が48か国中1位

⑤【科学技術】
「科学技術によってより大きな機会が
次世代にもたらされる」が8割

⑥【政治】
「政治」の重要度は高いが話題にしない。
「国家」に安全を求めるが「権威」を嫌う

⑦【環境vs経済】
「環境保護」と「経済成長」との間で
逡巡する人が多い

⑧【家族】
「家族」が重要で信用しているが、
両親の長期介護への義務感は低い

⑨【次世代】
子どもに身につけさせたい性質に
「決断力」「想像力・創作力」を重視

(引用終わり)

私には、気になる項目があります。
④メディア の項目です。
48か国中で、1位!?


同じく、この第七回世界価値観調査から
結果を分析した、本川裕さんの記事、
『「日本だけ異様に高い信頼度」
マスコミを盲信する人ほど幸福度は低い』

から一部、引用します↓

(ここから引用)

『マスコミ(新聞・雑誌、テレビ)の信頼度は
日本で特に高く、

こうした高い信頼度にもとづき、
新聞・雑誌などのマスコミは
日本の世論形成に大きな影響力を保っている。

これとは対照的に、他の欧米諸国における
マスコミへの信頼度は低い。
特に英国では政党に対してすら下回っている。

政府の信頼度との関係では、
日本では、政府発表よりマスコミの報道のほうが
信じられているのに対して、

欧米諸国では、「どっちもどっち」か
「政府のほうがまだまし」
という状況にあるのである。』

(引用終わり)

そう、日本では、マスコミによる情報に
ひっぱられている人が多い。
各国は、そこまでではない。

日本が、異様に、信頼度が高い…。

日々、SNSの情報に触れていると
「いろんな価値観の人がいるなあ」
「マスコミの情報も
『ひとつの見方』に過ぎないのだなあ」
と感じます。
読者の皆様の多くも、そうだと思います。

しかし、調査結果から見れば、
日本におけるマスコミへの信頼度は高い。

…なぜ高いのか?

本川さんは、その理由を
歴史から考察しています。

(ここから引用)

『もともと日本人は、歴史的に
中国や欧米と異なり
国家という存在に疎遠な民族と言えるが、

明治維新とともに、外国への対抗上、
思いのほか強力な国家ができてしまい、
生活心情的に居心地の悪い思いをしていた。

そうしたところに、御用新聞として
国家に密着したり、

逆に反体制新聞として
政府に反対したりするものの、
実は国家とは距離を置いたジャーナリズム
という存在が現れたので、

日本人は「待ってました」とばかりに、
これに妙に親近感を
抱くようになったのではなかろうか。』

(引用終わり)

なるほど、と思いました。

欧米と言えばアメリカ独立やフランス革命、
いわゆる「市民革命」で「国民国家」を
「自分たちで」作り上げてきた歴史があります。

『この国は自分たち(の先祖)が作った!』
という自負が、ある。

しかし日本は?
「明治維新」は「市民革命」というよりも
一部の「維新の志士」たちが中心となって
作り上げていったもので、

『自分たち(の先祖)が作ったんだ!』
という感覚に(大多数の庶民にとっては)
乏しかった。


「戦後日本」も、そうです。
GHQ主導の占領政策によって
作り上げられた面が大きい。
すべてを自主的に作り上げた、とは言えない。

つまり、大多数の庶民から見れば、
「国家の主人公」ではなく
「脇役、支援者、支配される側」
という心理的な面が強い。

不平や不満があっても、高らかに声を出さない。
自分たちが国を動かす、という意識も少ない…。


そこに、不平や不満を代弁してくれる
ジャーナリズムが出現した。
だから、そちらに親近感・信頼感を
持つようになったのではないか…。

うん、これは、今でもそうですよね。

日本人の「ワイドショー好き」は有名です。
『文春砲』などの雑誌の記事が、
(私も好きなほうですが)
すぐ世間に広がっていく。


しかし繰り返しになりますが、

各国では、実はそこまでではないんです。
マスコミへの信頼度は、高くない。
「色んな意見がある」
その程度に留まることが多い。

日本が、異様に、踊らされがちなんです。

最後にまとめます。

私は、SNSに触れていると
色んな価値観に触れられると先述しました。

しかし、これですら、また
『SNSの情報に踊らされている』のでは?
と自省しています。

SNSの情報もまた、100%は、正しくない。
事実無根のフェイクも交じりますよね。
マスコミ経由の真偽定かでない情報、
客観を装った主観的な情報、
針小棒大に盛った情報が
SNSで拡散されていくケースも多い。

(刺激的な情報であればあるほど、
拡散しやすいので…)

(ここから引用)

『マスコミのマイナス面として
厳しい視線が注がれているのは、
自社の方針や主張に沿わない事実の報道に
消極的という点だ。…

(中略)

日本人の高いマスコミ信頼度の功罪に関しては、
マスコミやネットの報道を、
鵜呑みして無批判的に
受け入れる文化・習慣
ゆえに、

最近のSNSなどで発信された
フェイクニュースに翻弄されがち

というマイナス面もある。』

(引用終わり)

本川さんも記事の中で、
こう指摘しています。

すべての情報には、
取捨選択とトリミングが施されている!
都合の悪い情報は隠されがち!

(もちろん、私の記事もそうですよ)

そのことを忘れない。

…受け手側の情報リテラシーが、
ますます問われる時代になりそうです。

読者の皆様は
どのように情報に接していますか?

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