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スミマセン、じつは見ていませんでした

映画を見続けて50年以上、映画に関してはイッパシな口を利くようになりました。本欄でも、イロイロ映画についてウンチクを垂れたりモンクを言ったりしてるわけですが、ここで告白しておきます。

ある時代の映画を語るには、当然のように触れなければならない必須の映画ってものがありますよね。映画好きのほとんどの人が見ているヒット作だったり、プロアマ問わず評価が高かったり、一部にカルト人気があったり……私がいちばん映画を見ていた70年代から80年代にもそんな映画がたくさんあるわけですが、じつは私、そのなかにいくつか見ていない作品があったのです。いまさら人には言えない「撃ちもらし」映画。

もちろん、世の中すべての映画は見られないのですが、とくに自分が好きなジャンルの映画にそれがあっちゃあよろしくない。

ところが、今年に入ってから、続けざまにそうした「撃ちもらし」の映画をちゃんと見ました。偶然ですけど。私としては、半世紀の「借金」を返す思いであります。

その筆頭が「エクソシスト」(1973年)。

日本公開は1974年7月

いまさら説明するまでもなく、ホラー映画のエポックとなった名作です。なのに、ホラー映画好きな私は、当時のその後も、この「エクソシスト」を見ていなかったのです。

見なかった理由は……ビビったから

初公開当時はたしか中学生で、まだガキだったんです。でも、すでにドラキュラとかフランケンシュタインのような怪物映画やサスペンス映画は好きだったんですから、それだけこの「エクソシスト」の迫力が凄そうに見えてたってことでしょう。

その後も見ていなかったのは、このときの印象が強かったせいもあるんでしょうが、私がいちばん濃密に映画を見ていた大学生時代に名画座などでもあまり上映されなかったせいもあります。

およそ50年ぶりで、勇気を振り絞って対面した「エクソシスト」は、やっぱり怖かったです。もちろんあの頃から後に、それこそ玉石混交、無数のホラー映画を見てきた眼には、そう大したものには見えませんでしたが。年を取って感受性が鈍ったせいもあるでしょう。

もしも、若かりしあの頃に「エクソシスト」を見ていたら、ひょっとしたらその後の私はホラー映画好きにはならなかったかもしれませんね。それはそれでよかったかも(笑)

こちらの映画の場合も、見ていなかった理由はハッキリしています。

1978年7月日本公開

日本中にディスコブームを巻き起こし、まさに一世を風靡した「サタデー・ナイト・フィーバー」であります。私と同世代ならば、この映画とそこから出たヒット曲を知らない人はいないでしょう、たぶん。

でもね、ダンスに青春を賭ける青年の物語……私の好みじゃないです。ちなみに、この年になるまで、ディスコにもロクに行ったことはないです。

ということで、まったく私の趣味でなかった「サタデー・ナイト・フィーバー」はけっきょく見ずじまい。この映画で一躍主役にのしあがったジョン・トラボルタも、私の関心の外にいる俳優でした。

ところが、その後20年ほどを経て、トラボルタはアクション映画方面に突然転身、多くの映画でいままでとまったく違う魅力(おそらく)を発揮しました。なかでも「ブロークン・アロー」での悪役ぶりには魅了されました。その後のトラボルタは好きだったのに、なぜか「サタデー・ナイト・フィーバー」には回帰せず、ずっと未見のままでした。

ということで、今回、半世紀を経て「サタデー・ナイト・フィーバー」に対面しました。さあ、50年前のニューヨークの青春像が、ジジイになったオレのハートにどう響くのか?

……響きませんでしたね。やっぱりこのジャンルは苦手だなぁ(笑)

逆に、得意なジャンルのはずのこの作品は?

映画の舞台は西暦2020年(笑)

「ブレードランナー」は日本公開が1982年7月。私は当時、新社会人になりたてだったので、見に行く暇がなかったんでしょうね。ちなみに入社したその会社で、この映画の原作を刊行していたので、タイアップで映画カバーになった文庫の出荷作業なんかはしていましたっけ。

公開当時は見られなかったものの、じつはその後になんかのタイミングで見にはいったんですよ。どこかの名画座だったかな。

ところが、ものの見事に寝落ち。疲れていたせいもあったのかどうかわかりませんが、ろくにストーリーも追えず、なんの印象も残らないまま映画館を後にした記憶があります。それ以来再会せず。

今回は「ファイナルカット版」を見ました。

うーん、合わないな。なんかテンポとかリズムとかいった点で、なぜか私の感性と合わないような気がするのです。なぜかな。監督のリドリー・スコットも主演のハリソン・フォードも好きなんだけどなぁ。

今回は頑張って寝落ちはしませんでしたが、もう一度チャレンジすることはなさそうですね。

最後に、原因がハッキリしているこの映画を。

第1作の日本公開は1972年7月

「ゴッドファーザー」であります。いうまでもなく名作中の名作。

ほぼ同時代なこの大作を観ていないのは、とにかく「長い」から。

最初の「ゴッドファーザー」が177分、3年後に公開された「ゴッドファーザー PART II」が200分、1990年の「ゴッドファーザー PART III」も162分(今回観たのは再編集版の「最終章」だけど158分)、3作合計で539分。ほとんど9時間ですよ!

もちろん例外もあるけれど、基本的に長い映画が苦手の私が、この大作を敬遠してきたわけはこれに尽きます。今回は腹を決めて録画していたものをまとめて観たんですが、かなりしんどかったですね。

もっとも映画の題材やストーリーは、むしろ好きです。マフィア抗争の権謀術数とか、凄惨な銃撃戦とか、息づまる司法闘争とか。ついでにいえば、ジェームズ・カーン、ロバート・デュヴァル、ジョン・カザール、アンディ・ガルシアといった出演者たちもけっこうお気に入りの面々だったりします。だからもうちょっとコンパクトな作品だったら、もっと早くに見ていただろうなぁ。

まあこの壮大なストーリーを、100分くらいでまとめろというのも無理な話だし、この壮大さがあってこその「ゴッドファーザー・サーガ」でしょうからやむを得ないんでしょう。

といって、この先再見する気には、たぶんならないでしょうね。

というわけで、長年の借金の返済は、今後も続けようとは思ってます。なにせ映画を見るのに割ける時間だけは充分にありますからね(笑)

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