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【短編小説】誰ならバズるのか

 キャッシュレス決済が普及して子供のお小遣いも親がチャージした範囲で使わせる家庭が増えた。今の子供は物心ついた時からキャッシュレス決済が当たり前なので小学校の算数で硬貨を学ぶ意味合いが難しい。
「日本では1円、5円、10円、50円、100円、500円の6種類の硬貨があります。」という説明がキャッシュレス決済しか使ったことない子には現実感がない。「480円は何円の硬貨が何枚でしょう」という問題がイメージできない。480円は480円だ。

「という話を子供と誰のエピソードとして投稿すればバズると思う?母親?父親?学校の先生?塾の講師?おばあちゃん?」
 先輩に質問されて一瞬なんの話か分からなかった。
「同じ内容でも誰が話すかで共感するユーザーや反応が違うわけよ。誰だと共感する人がネットには多いと思う?」
 なるほど。今はそんな風に考えるのか。先輩はそんな風な仕事をしているらしいのだが、具体的にそれがどうお金になっているかは分からない。
「母親ならママ友的な共感から広がるだろう。先生だと教育というテーマで意見交換が起きそう。父親は職業や社会的地位で変わりそうだ。そういう予想が色々できるじゃない?」
 もうそれなら内容同じでニュアンス変えた色んな人用のテキストを準備した方がいいんじゃないだろうか。

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