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運に課税をすることは不可能なのか?

この世の中にはたくさんの成功者がいる。
華々しい活躍をして、多額の報酬を得る方がたくさんいる。
その一方で落伍者がいる。
持病に失敗し、借金を抱えて細々と暮らす人がたくさんいる。

この差はなんだろう?

才能が足りなかったのか、努力が足りなかったのか。
それとも、運が無かったのか。
それらが絡み合っているのは、経験則でわかっていると思う。

才能✖︎努力✖︎運=成功

どれだけ才能があって努力しても運がなければ成功はしない。
それほどまでに運の力というのは大きい。

「あいつは運がいいだけだ」という陰口は生きてきて何度聞くかわからない。
それほどまでに運という力は強いものだ。

世の中の成功者が全て運で成功したと言えばそれも違う。才能と努力をメインに頑張った人もいる。その一方で才能もなくて努力も対してしていないのに、運が良くて成功した人もいる。
この二つを同列に扱っていいものか?
運をもう少し分かりやすく「社会的な助成」と言い換えてみよう。
より多くの社会的助成を受けた人間は、社会に対して還元する義務があるのではないだろうか。

つまり、運の課税化だ。

しかし、これは非常に難しい。なぜなら成功者から税を取ろうとした時に、それがどこからが運でどこからが実力と努力なのか(あるいは錯覚資産)を正確に計測することは難しいからだ。
また、同じようなイベントでもある人には不幸なイベントである場合もあるし、本人の捉え方やスキルで幸運にする場合もある。そもそも個人の一生を全て調べて運かどうかを判断するのはあまりにも非効率だ。
税金を課すからには、明確な指標がなければならない。

では、どうすればいいのか?
個人が全く関与しない部分での社会的助成(つまり運)を基に収入に対する課税額を決定すればいい。

つまりは、親の収入・資産によって課税額を変動させるのだ。

子供は親を選んで産まれてくることはできない。
そして、親の収入・資産というのは子供の成功に密接に関わっている。
親こそが、はっきりとわかる運の指標になる。
ここで、一つの研究を紹介したい。

【遺伝子研究で「才能ありで生まれるよりも金持ちに生まれる方がいい結果を生む」という結果が発表される】

Nature Geneticsの研究チームは、113万1881人の塩基対をスキャンし、遺伝子と学歴の関係を調査しました。
〜中略
その結果、「遺伝子スコア」の上位25%、つまり高い才能の潜在的可能性を持ちながら、低所得の父親の元に生まれた子どもが大学を卒業した割合は24%だったのに対し、同様の遺伝子スコアを持ち高所得の父親のもとに生まれた子どもが大学を卒業した割合は63%にも上ったとのこと。
一方で、遺伝子スコアが下位25%でありながら、高所得の父親の元に生まれて大学を卒業した人は27%でした。27%という数字は、「才能を持ちながら父親が低所得」という人とほぼ同じ割合になります。この結果は「貧しい人と裕福な人では遺伝子が異なる」という都市伝説に反するものではあるものの、「才能ある貧しい子どもは困難に直面することとなる」という厳しい現実を示すものとなっています。

この研究がは親の所得によって、その後の人生が変わることを示している。
もっと分かりやすく言うと、馬鹿でも金持ちの家に生まれることで成功する確率が高まる。つまり、運によって成功の度合いが大きく変わるのだ。

例えば勉強がわからない子供への対応。

親の収入が多いか少ないかで、この後の対応は変わる。

まずはお金のある家庭。子供が勉強が出来ないとすればどするだろう?
塾に行かせる、家庭教師をつけるなどの対応をするだろう。

そうすることによって、子供は【自分では解決できなかった問題】を【他者の手を借りて解決】する。その中にはもちろん本人の努力も含まれる。しかし、その解決の中には親の運が含まれている。これが貧乏な家庭の子供ならどうだろう?

何もできない。
勉学にお金を使う余裕がないから、当たり前だ。

そうなると、子供はどうなるか。

勉強がわからないままになる。
これが親による助成の差だ。

付け加えると親の成功というものも、運(社会的助成)に助けられている。
つまり、収入の多い子供はそれだけ多くの社会的助成を受けていることになる。

勉学の差、学歴の差が収入に反映するのが現代社会だ。
僕が主張するのは、この差に対して税金という再分配の提案だ。

ただし、税金のかけ方に対しても親の収入が多い人間に対して一律に課税額を大きくするのは望ましくない。
一族経営であるトヨタの社長のように大金持ちの家系や財閥の家もあれば、世帯年収1000万という平均より上程度の家庭もある。
親の収入によって課税の度合いを変えることは必要になる。

さらに、どれだけ親が金持ちでも貧乏になる人間はいる。それも運だ。年収300万円以上の人間に親が金持ちだからといって、重税をかけるのはあんまりだと思う。
つまり、ある一定以上の収入を得た人間に対しては、親の収入・資産によって課税額を大きくすべきと考える。

そのラインは個人的には年収800〜900万円が妥当ではないかと考えている。
その理由としては、年収900万円から収入と幸福度が比例しなくなるからである。
そういった研究がある。週刊現代の記事を紹介しよう。

全角度調査 「年収900万円=最大幸福」説は本当か?

「'02年にノーベル経済学賞を受賞した米プリンストン大学の心理学者、ダニエル・カーネマン教授が面白い研究をしています。それによると感情的幸福は年収7万5000ドル(約900万円)までは収入に比例して増えますが、それを超えると比例しなくなるんです」

この額というのは、自分の収入に対しての欲望をコントロールできなくなる額であると考えられる。それならば、超える部分に関しては課税して再分配した方が社会のためだ。

もちろん、課税額を減らす手立ても考えるべきだ。親が寄付や他の貧困層に対する支援を行なった場合には、子供に対する課税を減税することも必要だろう。

この提案を金持ちに対するやっかみだと思うだろうか。
僕としては格差社会と言われる現代への一つの提案だと考えている。
あなたはどう思うだろう。

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