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トラック内の積荷や積載状況をICタグとLiDARセンサーで完全可視化!〜DX事例18_日本通運株式会社〜

ITコンサル×パートナーCFOのタナショーです。
このnoteでは経営者にITを身近に感じてもらうための記事や、IT活用のヒント、経営者へのお役に立ちそうな記事をお届けしていきます。

今回は物流の事業者としては業界最大手であり、引っ越し以外にも陸・海・空全ての範囲での物流サービスを担っており、「物流のデパート」とも呼ばれている日本通運株式会社のトラックの輸送状況をモニタリングするDXについてです。


ICタグとLiDARセンサーで積荷の何が分かるのか

今回紹介するICタグは実用化されており、LiDARセンサーについては実証実験となりますが、それぞれ説明していきたいと思います。

説明に移る前に実証実験の解説です。実証実験とはPoC(Proof of Concept)とも良い、本格的なサービス開始や量産をする前に「本当に実現可能か」「サービスとして利益が出そうか」などの観点で効果や性能を検証することを指します。新規事業などではよく登場しますが、ITなどのシステム開発では「最小限、かつコアな部分だけを開発」することでスピーディかつ低コストで試してみることが多いです。


①ICタグを使用した輸送状況可視化サービス「GCWA」
Global Cargo Watcher Advance(GCWA)と名付けられた輸送状況を可視化するサービスとなります。タイトルにもある通りICタグが登場しますが、これはトラック自体につけられているのではなく、積荷の一つ一つにタグが取り付けられます。インテル株式会社と日本ハネウェル株式会社との共同開発をしたクラウドサービスとなります。

仕組みとしては、積荷の一つ一つにICタグ(子機)を取り付けることで、「温度」「湿度」「衝撃」「傾斜」「照度」「位置」を計測します。計測された情報はトラック内または物流倉庫内に用意した通信機能を備えたゲートウェイ(親機)がデータ送信することでクラウド上にアップロードされます。
この仕組みを使うことで、配送事業者などの利用者は積荷が「今どこにいて」「無事に目的地に届いたか」「適切な温度管理・湿度管理がされていたか」「積荷が倒れてしまうことがなかったか」、リアルタイムで確認することができるようになりました。何らかのトラブルや事故が起きた際にも配送経路確認や原因調査のためのトレーサビリティも可能となっています

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日本通運株式会社「Global Cargo Watcher Advance(輸送状況可視化サービス)」ページより抜粋


②LiDARセンサーによる積荷の積載状況を把握するための実証実験
こちらは2020年の1月から開始している実証実験となります。こちらも他社との共同実験となりWireless City Planning株式会社、シャープ株式会社、ソフトバンク株式会社と協力して実施しています。

内容としては、トラック内にLiDARセンサーを取り付けて積荷がどんな場所に、どのように積まれているかという積載状況をモニタリングします。

LiDARセンサーとは、自動運転技術にも使われているモノとモノの距離を測るセンサーです。レーザー光を使って測定物への照射と跳ね返ってくるまでの時間から距離を測定します。最近ですとiPhone12Proにも搭載されていたりします。

この実証実験では、LTEを採用した重量センサーを荷台の底面に設置しておくことで、積荷の重量も測定しています。

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これらの技術により、今後活用できそうな利点として「荷台にどんな荷物が積まれているか」「転倒しそうな配置ではないか」「重量オーバーになっていないか」「重量が均一になるような配置にされている」がトラックドライバーだけでなく、遠隔で監視することも可能になります。積荷の配置はトラックドライバーの経験に基づいて行われる業務ですが、これらを活用することで未経験なドライバーあるいはロボットなどでも代替が可能になりそうです



まとめと「ロジスティクス」のDXについて思うこと

いかがだったでしょうか。日通は大手企業なので、DXやITについてのメッセージや経営戦略も豊富にありましたが、そこまで特筆するものも見受けられなかったため、恒例の経営とDXについての関連性は割愛いたします。

先週・先々週の記事からですが、「製造」の株式会社IHI、「卸」の株式会社PALTAC、今回の「物流」の日本通運株式会社と。いわゆる「ロジスティクス」についてのDX事例を3連続で紹介してきました。


振り返ってみると、「モノを作り、運ぶ」というモノ主体のロジスティクスにも関わらず、今回紹介したロジスティクスのDXは「人に焦点を当てたDXだった」とタナショーは思います。


「経験豊富なベテランでなくても業務が回せる」、「単純作業だとしてもどうしても人手がいる業務を自動化する」、など。以前別の記事「ITやAIで仕事がなくなるというけれど、本当になくなるのかという雑談」でも触れましたが、今まで人が行ってきた業務がITに置き換わっていくことで、人が行う業務も徐々に変容していくし、変えていかなければいけないのだと感じています

タナショーは毎度「最適なサービス提供をするために、IT活用だけでなく人も組織も変わっていくのがDX」と言っています。
激動の年ともいえるこの節目のタイミングで、ITが活躍できる業務は何なのか、逆に人が活躍できる業務領域は何なのか考え、会社の変革が必要か検討してみることをおすすめしたいです。

もちろん正解は会社ごとに異なりますし経営判断も必要となりますので、経営者の方が率先して考え、行動していくしかありません。自社のあるべき方向を検討する際には、最新のIT技術やIT活用事例を頭の片隅に入れていただきつつ、ついでにタナショーのnote記事も参考にしていただければ幸いです♪
タナショー

読んでためになった、面白いと思っていただけたら「スキ」や「フォロー」をいただけると嬉しいです!次回も楽しみにしていただければと思います。


参考にさせていただいた情報
日本通運株式会社HP
https://www.nittsu.co.jp
日本通運株式会社HP「Global Cargo Watcher Advance(輸送状況可視化サービス)」
https://www.nittsu.co.jp/sky/service/gcwa/
IoTNEWS「日通、インテル・ハネウェルと協業でIoTを活用した輸送状況可視化サービスを開発」
https://iotnews.jp/archives/117150
IoTNEWS「WCPと日通、5Gを活用したスマート物流の実現に向けて実証実験を実施」
https://iotnews.jp/archives/147514


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