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【行列店の秘訣】「宇ち多゛」のファンを魅了にする文化〜昼飲みの聖地〜 後編

植田仁です。
昼飲みの聖地体験レポート前編の続きを書いていきます。

主体性を作る

平日14時オープンの1時間前に到着も、長蛇の列で40番目前後でした。開店までの時間は各自思い思いに過ごす。本を持参して待ち時間で読書しているかた、友達との会話を楽しんでいるかた。「宇ち多゛」初心者の私は、オープンまでにググって、「宇ち多゛」についての勉強をする必要があるのです。
そうでないと、食べに来たのに、食にありつけないのである。

独自の注文ルール

外食をすると必ずメニューに目を通すのが主流であるが、宇ち多゛にはメニューがもつ焼きとだけ書かれたメニュー表があるだけで、お客が事前に何を食べたいかを決めておく必要がある。

「モツの種類・味つけ・焼き方」の順で伝えるのが、注文方法である。

モツの種類
・レバー ・ガツ(胃) ・ハツ ・シロ(小腸)
・アブラ ・ナンコツ ・カシラ ・タン ・ツル(陰茎)

https://www.favy.jp/topics/21534

味付け
・塩 ・タレ ・ミソ ・素焼き

https://www.favy.jp/topics/21534

焼き方
・よく焼き ・普通焼き ・わか焼き

https://www.favy.jp/topics/21534

大定番の注文はこれである。
「シロ タレ ヨクヤキ」
「モツの種類はシロで、味つけはタレで、しっかり焼いたものを一つください」となる。

注文どうしますか?ときかれるわけではなく、各自が空気を読んで店員さんに聞こえるように注文する必要があるので、なおのこと緊張するのである笑

入店までの1時間は、ルールの勉強と注文と、これは必ず食べなさいというおすすめのものを勉強している間にあっという間に開店時間になった。

そしてオープン20分前くらいから、今日の限定の希少部位を先着順にどうするかを聞かれる。僕は、ツルがラスト一本でゲットできて嬉しかった笑 

いざ入店

開店15分前。熟練のスタッフから来店人数を聞かれ、どの席に着座するかの組み分けが始まる。人によってはウラでまっていたが、表に移動してねという指示のもと座る席のために表に回る人もいた。

オープンに向けて、お客の並びが、どんどん店舗の座席配置のに合わせて変わっていく。
手際の良さがすごいのと、その流れに完全に従わざるをえないが、強制感はなく、緊張感と期待が高まる一方であった。
まるでジェットコースターに乗る順番がきて、座る位置の指定、シートベルトを締める、そのまま身を委ねる時と一緒のような気分だった。

「宇ち多゛用語」

グーグルで調べることを「ググる」とか、木村拓哉さんのことを「キムタク」というように独自の用語が出てくるのは、頻繁に使われて、もはや社会的なポジションを確立したという証のような気がする。

なので、植田仁のことをさすがに「ウエヒト」っていっても誰やねんってななるので、まだまだ精進が必要だと仕事にもっと邁進しようと思う。

「宇ち多゛に行く」ことをファンの中では、「宇ち入り」という。
「土曜日に宇ち多゛に行く」ことをファンの中では「土よ宇」という。

熱狂的なファンがいるということが、こういった用語が飛び交っているという時点で証明されている。飲食店を経営するのであれば、ここまでのファンを何人作れるか?がキーであると考える。

呪文が飛び交う店内

14時オープンと共に完全に満席。
狭い店内、荷物が当たって人に迷惑がかからないように、カバンは全て前にかけるなり持つように指示をされる。全てがルールなようで、一人一人本当に楽しんでもらいたいということを成し遂げるための配慮とも言える。

あらかじめ最大5杯までと決められている、受け皿付きの焼酎コップが各卓に配置されており、まずは飲み物の注文から。
焼酎の一升瓶をもった熟練スタッフが、梅割りか葡萄割かのオーダーに合わせて焼酎を並々と注いでいく。ビールを頼むと瓶ビールが出される。

表面張力ギリギリまでのところに並々とスピード感持って注ぐ手つきが、まっさに職人芸。初めてのかたは、ぜひ名物ウメ割を頼んでもらいたい。めちゃくちゃパンチが効いている。

飲み物が注がれ始めると、空気を読んでお客が注文をし始める。
慣れるまではまるで呪文を唱え始めたかのようであった。

ハツ シオ ヨクヤキ
ダイコン ショウガノッケテ オス
ニコミ シロイトコ
ナンコツ ミソ ワカヤキ
オシンコ ショウガノッケテ オス

その注文に、「宇ち多゛」の三代目・内田朋一郎氏から焼き場に指示がでる。
「ハツ シオ 焼いて」
「ナンコツ 焼いて」
そうなると注文が通る。

タイミング悪かったり、聞こえないと
「ニコミ なんていった?」
「シロ の何??」

など、一つ一つにすぐ反応が必要。
注文しても同時だったり忙しかったりすると反応がない時もあった笑

ちなみに、上記の写真は
ダイコン ショウガノッケテ オス
の呪文を唱えるとでてくるのだ。

「オス」は空手部の押忍という挨拶の意味ではなく、お酢という意味である。

想像を絶する美味しさ

こんなに緊張しながら注文をしたことが初めてで新鮮だった。
ピリッとした緊張感があるお店の雰囲気が、説明が難しいが最高に心地よかった。モツと焼酎にここまで集中することなんて、この場所に来ない限りあり得ない。
そして頼んだもの全てが本当に想像を絶するほど美味しかった。
今までのモツってなんだったんだろうと思ってしまうくらいの、モツという常識を覆されるような美味しさであった。

モツが苦手というかたもいるかもしれない。
あまりモツを普段食べない方もいるかもしれない。
「宇ち多゛」のモツを知らずにモツを判断するのは勿体無いと言えるくらい、ぜひ一度体験をしてもらいたいと心から思う。

本物を知ることの大切さをここに来て体感した。

明朗会計

とんでもないクオリティーなのに、一皿200円、焼酎一杯200円。
信じらない値段設定である。
お会計をお願いすると、自己申告で何杯飲んだかを伝える。
嘘はどう考えてもつかないが、本当にお客様想いのお店であることが仕組みからも伝わってくる。
焼酎2杯を飲んで、極上のもつ焼きをたらふく食ってたったの2000円というお会計金額に目を丸くした。

始まりから終わりまで全てがエンターテイメントで、ドラマ仕立てのようで、モツ焼きを食べたというだけなのに、それ以上に非日常を体験したといえる。

お店を出た瞬間に、もう次回の来店のことを考えてしまっていた。
次きたら、これを頼みたい。次は友達連れて行きたいと、誘いたい顔が何人も浮かんだ。

「宇ち多゛」が京成立石の○ィズニーランドといわれる理由は体験してみて初めてわかることだと思う。そして体験してみて納得である。

お店にピリッと張り詰める空気感が堪らない。
お店の方だけでなく、お客にも意思がないと作れないあの空気感は、お店を作ればできるという訳ではない。
文化は空気で伝わる。空気は人が作る。人を熱狂させるお店作り。
仕事への情熱が大切だと改めて感じる時間であった。





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