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物価偽装・いのちのとりで裁判

2013年に史上最大幅の生活扶助基準改定が行われました。
この改定で、厚労省は「ゆがみ調整」と「デフレ調整」を実施。

ゆがみ調整とはなにか?
生活保護世帯は、居住地、世帯人数、年齢で細かく世帯類型が設定されているので、世帯類型ごとに基準額が「高すぎる」「低すぎる」といったゆがみは生じます。
そのゆがみを是正しようとしたのが「ゆがみ調整」です。

デフレ調整とは?
「デフレ調整」は物価の変動に合わせて、生活扶助費の金額を変える考え方です。

この2つの調整が正常に行われていれば何の問題もないのですが、2013年の改定では、正常とは言えない調整が行われました。

厚労省の担当部署は、基準部会委員らにも知らせず、世帯類型ごとの増額率や減額率を2分の1にする「2分の1処理」を実行していたのです。

マスコミにも公表しない「秘密工作」でした。

2分の1処理は「ゆがみ調整+デフレ調整」で計算上は増額改定となる世帯類型を減額改定に変えてしまう手品のようなものでした。その結果、平均6.5%・最大10%の生活扶助基準の引き下げが決められ、3回に分けて実行されました。

この史上最大の生活保護基準引き下げに対して、現在、全国29都道府県、1,000名を超える原告が違憲訴訟を提起し、国・自治体を相手に裁判で闘っています。通称、いのちのとりで裁判。

「デフレ調整」は総合物価指数(CPI)を指標に調整されるものですが、このCPIの計算方法に問題がありました。
総務省統計局は戦後一貫して国際基準に則った「ラスパイ レス算式」を使用してきました。これにより算出された当時の物価下落率は2.35%でした。
ところが、生活扶助相当CPIの算出では、2008年〜2010年の期間は「パーシェ算式」 、2010年〜2011年の期間は「ラスパイレス算式」(10→11)という異なる算式を混ぜて計算していました。その結果、生活保護世帯の物価下落率は4.78%と2倍以上もデフレ効果があるという数値が算出されました。

「ラスパイレス算式」では
基準時点の代金×(比較時点の価格/基準時点の価格)=比較時点の代金
となりますが、
「パーシェ算式」では
比較時点の代金×(基準時点の価格/比較時点の価格)=基準時点の代金
となります。

ここで大きく異なるのが、倍率の分母・分子(基準時点の価格と比較時点の価格)が反対になっている点です。これにより、同じ基準時点、比較時点の価格だとしても、一方が高くなれば他方は低くなるということになるので、この2つで算出した値のうち、下落率の高い方を選べば、下落率を上げることも下げることも容易にできることになります。

例えば、基準時点の価格/比較時点の価格=0.98とすると、比較時点の価格/基準時点の価格=1.02となり、2%上昇と2%下落、つまり4%のズレが起こることになります。単純計算で2倍の差ができるので、2つの算式の使い分けは恣意的と捉えられても仕方がありません。さらに算出の基準時点の選択も問題があり、「前回見直し意向の物価動向を勘案」するのであれば、前回生活保護基準が引き下げられた2004年を起点とすべきところを異常に物価が上昇した2008年を起点としたのも恣意的と言えます。

厚労省の担当部署が行ったこれらの不正により生活保護費が580億円引き下げられ、どれだけ多くの国民の生活が脅かされたことでしょうか。

2013年の生活保護費引き下げに対する違憲訴訟の裁判が現在も全国で行われています。2023年10月2日、広島地方裁判所は、広島県内の生活保護利用者63名が広島市ほか5自治体を被告として提起した裁判で、保護費の減額処分の取消しを命じる原告勝訴判決を言い渡しました。この判決により、判決が出た22件の訴訟のうち勝訴判決が12件となり、敗訴判決10件を上回りました。

勝訴判決が当然だと思う反面、敗訴判決が10件もあるのが不思議でなりません。自治体が相手だからなのかと判決の公平性を疑ってしまいます。「いのちのとりで裁判」はまだ続いており、判決1つ1つが前例となり次の判決に影響を及ぼします。裁判官の方々には自身の良識に則った公平な判決をお願いしたいと思います。

明日、令和5年11月11日、このいのちのとりで裁判のブレーン的存在として長きにわたり支援されている、ジャーナリストの白井康彦さんと行政書士法人ひとみ綜合法務事務所のスタッフ2名がお会いすることになっています。

厚生労働省が実行した最悪レベルの統計不正である「物価偽装」問題を徹底追及される、白井康彦さん。

日本人で唯一、国際ジャーナリスト団体「国境なき記者団」による「自由報道の為に戦った世界のヒーロー100人」選ばれた寺澤有さん。

「噂の真相」の意志を継ぐタブー無し、上場企業、政治家、暴力団、芸能界から反原発まで幅広く配信するWEBマガジン「アクセスジャーナル」編集長、日本アムウェイの店頭公開を止めさせ、武富士会長を逮捕させた山岡俊介さんという錚々たる方々と共に、

「いのちのとりで裁判」全国29カ所で係争中、国会でもしばしば取り上げられている重大問題について、貴重なお話を伺ってまいります。

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