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月々3万円で買えるフェラーリの買い方

前回は、実質的な出費なしに、次々と現行の高額な車を乗り換えていく友人のお話をいたしました。

彼の車の乗り換え方は、かなり特殊なので、今回は、より一般的な車の買い方をお話しましょう。

タイトルの通り、主に、フェラーリの買い方についてです。これは、フェラーリだけでなく、ベンツのGクラスあたりも同様の買い方ができる買い方ですが、フェラーリはじめ、人気のある高級車というのは、下手な新車の国産車よりも、実はずっとお得に買える車だったりするんです。

ご存知の通り、フェラーリは、中古価格の値下がり率が極めて低いメーカーの一つです。調べたわけではないですが、感覚的にはメーカー別の平均値下がり率でいうと、低値下がり率のトップなんじゃないかとも思います。

昨今は、コロナ禍の金余りと半導体不足による新車の供給不足で、中古車の価格が高騰を続け、1-2年落ちの中古車の価格が、新車価格を超えるなんておかしな現象がおきていましたが、さすがにその状況も落ち着いたものの、フェラーリに関しては、コロナ前もコロナ後も、中古になっても値下がりがしづらい状態が長い間続いています。

この、値下がりがしづらいフェラーリをどう購入するかというと、皆さんご存知の残価設定ローン。ネット上で探すとデメリットばかりを誇張した情報が多く見つかる、あの残価設定ローンです。

残価設定ローンとは

残価設定ローンというと、悪い話ばかりが先行して正しい理解をサれていない方もいらっしゃると思うので、まずは、おさらいとして、残価設定ローン自体の説明をしましょう。

残価設定ローンとは、車の残価を返済の最終回に据え置くことで、月々の元本返済の支払いを少なくするというものです。元本返済の支払いとしているのは、金利については、残価も含めた借り入れ額全体に対して発生するので、残価設定ローンであろうと、通常ローンであろうと変わりません。ただ、通常ローンでは、どんどん元本が減っていきますが、残価設定ローンの方は、元本が残価分全期間据え置かれているので、通常ローンより、金利がかかる元本が多く残り続けるので、その分の金利が余計にかかるわけです。

例えば、600万円の車を頭金なし、5年のローンで購入する場合、通常のローンだと、毎月の支払いは、600万を60回で割った元本返済分概ね10万円+金利(1.9%元利均等だと毎月105,000円くらい)が毎月の支払い金額になりますが、仮に5年後の車の価値を40%として、240万円を据え置いた残価設定ローンの場合には、借り入れ金額-240万円=360万円を60回で割った元本返済分6万円+金利が毎月の支払額(1.9%元利均等だと毎月67,000円くらい)になり、最終回は、これに加えて、240万円が加算したものを支払うことになります。

利率が同じ場合、金利はおなじになるので、単純に毎月の支払いが4万円少なくなるということになります。最終回は、240万円を一括で払うことになりますが、現金で支払えば、ローンが完了して、車は完全に購入者のものになって終了します。

この残価設定が曲者で、一部のメーカー系販売店だと、規定の走行距離以内でぶつけたり事故ったりせず通常の乗り方をしていれば、この残価で引き取ってくれることを確定している場合もありますが、多くの場合は、この残価と、車を引き渡した際の買い取り価格は、リンクしておらず、買い取りは、あくまでのその時の相場と車の状態なので、車を売っても残価が支払えないということが起こりえます。また、買い取り金額が確定していて、走行距離が規程内でも、乗り方が荒く、痛みが激しかったり、事故をしていたりすると、買取金額がマイナスされます。

これがネット上で「残価設定ローンの闇」と言われているもののほとんどですが、闇でもなんでもなく、仮に現金や通常ローンで買っていても、事故や傷によって、車を売却したときの金額は下がります。数年後の車の価値の変動と、事故や傷のリスクは、避けられないリスクです。仮に100万円、想定していた売却額より下がってしまったとすると、すでに支払いが終わっていた場合には、手元に返ってくる金額が100万円減るし、残価設定ローンの場合には、売却額で支払いきれない残価との差額100万円を支払わなければならないだけで、実際には変わりません。

自動車業界では、残価設定ローンという呼び方をしていますが、ローンの形としては一般的で、テールヘビーと言われるローン方式です。最終回の支払いだけ=尻尾=テールが重いので、テールヘビーと呼ばれるもので、通常ローンとバルーンローンを組み合わせたような形です。

また、新しい用語が出てきてしまいましたが、バルーンローン=バルーン返済というのは、期間内は、金利だけ支払い、最終回に元本を一括で返済するローンのことです。

残価設定ローンでは、
 通常ローン分   期間内で元本と金利を分割してはらう
 バルーンローン分 残価分を期間内は、金利だけ払い最終回に元本を返済

という2本のローンを借りているようなものです。

通常ローンで360万円、バルーンで240万円で借りて、車を買い、バルーンの返済時には、車を売って、その売却額で240万円返せればラッキー、返せなければ、差額を現金で穴埋めするか、車を売るのをやめて、240万円を通常ローンで借り直すという方法があります。

であれば、はじめから10年ローンを組んで、途中で売却して返済でもあまりかわらないのではという考え方もあります。

実際、金利が変わらない場合、600万円、金利1.9%、120回払いだと、月々のローンは、毎月55,000円ですので、金利が同じで、残価が50%未満であれば、こちらの方が実際は毎月の支払いは少なくなります。

さて、残価設定ローンの仕組みの説明はここまでにして、いよいよフェラーリの買い方に移りましょう。

フェラーリの場合、フェラーリ プレミアム オーナーシップ プログラムという正規ディーラーの残価設定ローンプログラムがあります。

このプログラム、なんと3年後の残価設定が75%。そもそも、フェラーリの新車の場合、予約時に20%の手付金がいるので、それを頭金にしてしまえば、残りは、毎月の支払いの対象元本は5%。3年で、5%と全体に対しての金利を払えば、フェラーリを所有できます。

残価設定75%が本当だとすれば、現金をたくさんお持ちの方であれば、現金一括で購入して、3年後に売却すれば、25%の費用で3年間乗れたということになります。が、現金をたくさんお持ちの方でも、低金利時代の今は、ローンで購入するでしょう。例えば、3,000万の車だとして、3年間に75%、2250万円が戻ってくるとしても、3年もの間2,250万円を寝かすことになってしまいます。数千万円の車を現金でポンと購入されるくらいのお金がある方であれば、最低でも6-7%の利回りで運用する術は持っているはずですから、仮に3%の金利でローンを借りて、その金利を差し引いても、毎年3-4%、3年間で9-12%の運用益が差し引きで入ってくるはずです。3,000万円をローンで借りて、運用することで、差し引きで270万円-360万円が新たに生み出される計算です。3,000万円の25%は750万円。であれば、運用がうまく行って、360万円を利益で相殺できたとすると、390万円、1年あたり130万円で新車のフェラーリに乗れる計算ですね。お金を持っているということは、うまく贅沢ができるようにできているようです。

しかも、新車の場合、新車保証が3年間、メンテナンスプログラムが7年間ついているので、それ以外の費用はかかりません。

びっくりするのは、このプログラム、新車だけでなく、しかも、認定中古車にも適用されるとのこと。

支払い期間ごとに、上限が決まっていますが、
3年:75%  4年:65%  5年:55%。

認定中古車の場合、12ヶ月間の保証がつき、さらに、1年毎に有償ですが延長保証にも加入可能。

コーンズの認定中古車で探してみると、一番安いのが、2015年式のカリフォルニアT。走行は1.5万キロで、1,830万円。乗り出しは1,848万円。


最終回の支払いは、75%なので13,725,000円。

コーンズの残価設定ローンの金利は、2.9%なので、頭金なしで、残価設定75%、3年で組んだ場合、月々の支払いは172,100円。


フェラーリを買うので、国産の安い車を買うくらいの金額は頭金でいれるとして、300万円入れると、月々の支払いは、85,000円。現実感がでてきますよね。一般的なドイツ車をローンで買うときとあんまり変わらない金額になってきました。この金額で、3年間、フェラーリカリフォルニアTが乗れます。


乗り出し価格が1,848万円。残価が1,372万5,000円。差額は、475万5,000円です。ここで、475万5,000円を頭金で入れてみるとどうなるでしょうか?


毎月の元本支払いはなくなるので、残価に対する金利だけを払えばいいことになります。毎月の金利は、34,200円になりました。概ね、マンションの駐車場代より安くなったのではないでしょうか?

フェラーリのこのローンには、75%の残価は、保証されているものではないとの記載がありますので、もちろん、3年後の清算時に、追い金を支払うリスクはありますが、もし、75%で売却できた場合には、3年間で475万円+利息130万円、トータルで、605万円、年間200万円でフェラーリ・カリフォルニアTに乗れることになります。

ちなみに、ディーラー以外でも多くの外車ディーラーで、残価設定ローンは組めるようで、金利は1.9%というのが多いようです。

GQの編集部の方が、フェラーリ・カリフォルニアを995万(安い!)で、1.9%、7年ローン、残価設定60%=598万円で購入されています。
支払いは月額6万円。
33歳、フェラーリを買う──Vol.4 フェラーリとローンとリセールバリュー

これなら、頭金400万入れてしまえば、月々の支払いは1万円になります。
こちらの記事の中でも書いてますが、大事に乗れば、7年後でも600万円の価値は残りそうな、下手すると、それ以上になっていそうな気もします。

7年間400万円+7年分の金利80万円で乗れたとすると年間70万円でフェラーリ・カリフォルニアに乗れたことになります。ほとんどの400➖500万円の車を新車で買ったら、7年後には、ほぼ買取価格は数十万です。

例えば、7年前の2017年のBMWの1シリーズの118i、120iといった低グレードの車種は、新車価格で398万円〜452万円ですが、業者オークションの相場では、50万〜70万あたり。販売店での販売価格は100万円前後です。実際の買取価格は、30〜50万円くらいでしょうか。

同じくらいのお金で、新車のBMWの1シリーズとっ中古のフェラーリ・カリフォルニア。どちらがいいかは、趣味嗜好も違いますし、車に求めるものも異なるので、人それぞれで、BMW買うならフェラーリ買いましょうというのではなく、新車の1シリーズを購入するのであれば、見方を変えれば、フェラーリ・カリフォルニアの中古も狙えるという、視点の話です。

高級車、高いから無理とか、別世界とか、じゃなくて、上代の価格で比較するのではなくて、今回の話の場合でいうと、買うときと売るときの差額という視点で比較してみるとどうなるんだっけ?という話です。

自分には関係ない、別の世界のものだと切り捨てるのではなくて、視点を変えて別の角度から見てみると、意外なことが見えてくることがあるので、あたまを柔らかくして見てみることをおすすめします。

結局、贅沢しているように見えるお金持ちは、こうやってお金を回してるんですよね。

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