「勤務間インターバル制度」導入に向けた留意点

勤務間インターバル制度を適切に導入・運用していくことは実は結構難しい。

勤務間インターバル制度とは、勤務終了後、一定時間以上の休憩期間を設けることで、働く方の生活時間や睡眠時間を確保するものであり、国際基準であるEU労働時間指令は、インターバルを11時間以上としている。

勤務間インターバル制度のメリットは、①退社時刻と出社時刻の間の一定の時間につき強制的に休ませることで長時間労働による健康被害を防ぐ点と、②限られた時間の中で業務に従事させることで生産性の向上につながる点にある。

しかしながら、導入にあたって検討すべき事項も少なくない。

例えば、①そもそもインターバル時間は何時間が適切か、②業務の都合で夜遅くまでの作業を強いられ、インターバル時間の満了が翌日の所定始業時刻以降になってしまう場合に、始業時刻を遅らせるのか、それとも所定の始業時刻からインターバル時間の満了まで勤務したものとみなすのか、③インターバル時間中のサービス残業を防ぐにはどのようにすればよいか、などである。

特に、取引先との関係や繁忙期の関係で時間を問わず対応を求められることがある業種・職種の場合には、そもそも勤務間インターバル制度の導入が適切でないこともあるし、導入するにしても仕事用携帯電話やPCの持ち帰りを禁止するなど、インターバル時間中に労働を行えないような環境づくりを徹底しなければ、サービス残業の温床になり、インターバル制度導入の目的を達成できない可能性もある。また、制度設計の方法によっては、勤務時間が徐々に夜型になり不規則な生活を強いてしまう可能性もある。

勤務間インターバル制度を導入するに当たっては、上記のような「副作用」が出ないよう、適切な制度設計を行うべきである。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO35832490X20C18A9CC1000/

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