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明けの茅蜩

静寂に包まれたかわたれの森を

涼風すずかぜが微かに茂葉しげりはを揺らす頃

まだ明けきらぬ薄闇を突いて

茅蜩ひぐらしが歌い始める


遠くで聞こえた囁きはすぐ

さざなみのように押し寄せて

溢れんばかりの大合唱となり

そしてまた

さざなみのように引いていく


心地よい満ち引きに身を任せ

夢とうつつ揺蕩たゆたえば

盛夏にこそある至福の時よ



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