『"表現の不自由展 東京2022"に行ってきた』2022-04-05
この4月2日~5日「表現の不自由展 東京2022」が開かれた。
言わずと知れた、2019年の「あいちトリエンナーレ」で大問題となった「あれ」である。
もともと表現の不自由展は、2012年の「ニコン慰安婦写真展中止事件」を機に、それ以前からあった『遠近を抱えて』など、右翼団体などの抗議や美術館・イベント主催者の判断で排除された芸術作品を集めて、2015年に開催された展覧会である。
あいちトリエンナーレで騒がれた2019年版はそのいわば続編にあたり、正式には「表現の不自由展・その後」という。
2021年には東京・大阪・名古屋で第3弾の「表現の不自由展」が予定されていた。
うち名古屋では会期途中、会場に届いた郵便物から破裂音がしたために事実上中止された。爆竹のようなものだったとみられているようだ。
大阪では開催施設「エル・おおさか」を管理していた府が利用許可を撤回しようとしたが、裁判所は【敵意ある聴衆の法理】を踏襲して施設利用を認め、開催にこぎつけた。
この「表現の不自由展・東京2022」もまた本来は2021年中に予定されていたものだったが、抗議などで延期され、今年の4月2~5日に国立市で行われることになったものだ。
このそれぞれの会と、各作品についてはそのうち『センサイクロペディア』で全て項目化しようと思っている(すでに一部作品については項目化ずみ)。
さて「東京2022」だが、初日には朝から右翼団体などによる街宣抗議などが流されていたらしい。
が、私が行った4日昼には(雨のせいもあったのかもしれないが)街宣はなく、入り口前に何台もの警察車両が止まっていたほか、周辺の道路に警官の姿が散見されただけだった。
入る際、スタッフによる手荷物検査などもあったが過去の経緯を考えればまあ当然だろう。
トリエンナーレからの採用作変化
まず、展示されている作品だが、「その後(あいちトリエンナーレ2019)」と内容が同じではない。重複しているものももちろんあるが、実は当時強く批判された作品はほぼない。
また、リスト上はいっけん同じものを展示し続けているように見えても、実は同じシリーズでより物議を醸さなさそうなものが選んで展示されているようだった。
ちなみに写真は可だったので撮ったのだが、ネットに上げることは禁止という事なのでそのルールを尊重する。
正確にトリエンナーレの時のリストと、今回のリスト(からタイトルだけ比較して書き出すと、こうなる。
(下線があるものはセンサイクロペディアへのリンク)
トリエンナーレから無くなったものには、昭和天皇の立ち姿を焼いた【焼かれるべき絵/焼かれるべき絵:焼いたもの】、「放射能もっと浴びたいよ~!」という台詞が入る動画『気合い100連発/耐え難き気合100連発』。日米の国旗を侮辱していると批判された『 時代の肖像 絶滅危惧種 idiot JAPONICA 円墳 』がある。
また同じシリーズで変更されたものでは、『空気』が「皇室報道に出てくる部屋」をイメージしたトリエンナーレの#1ではなく、天皇とは全く関係のない風景(路上で透明人間に対し傘を差し出しているような図)の#18に代わっている。
しかしもっとも「後退」したのは『遠近を抱えて』である。
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