去年のいい夫婦の日に夫と結婚した。

一度も怒ったりせず、穏やかで、私のことを大切にしてくれる、インドア派で、明るい、少ないけど濃厚な友人関係を構築済みの、穏やかな、中卒の、年下の、優しく、目立つくらい高身長の、大飯ぐらいで、穏やかな夫と結婚できて、私は年内いっぱい、ほっと一安心していた。

結婚願望は25歳の頃からあって、だけど、結婚に向く性質を持っていやしないと思っていたから。同じ空間に人が居続けるなんて、同じ時間に飯を食うなんて、一夜の過ちが致命傷になるなんて、そんなの息が苦しいよ。

海に沈むような苦しみじゃないにしろ、曇りの日の喘息発作みたいな。これくらいでサルタノール使うのよくないよな、程度の。

その夫がうつ病になり、休職して2ヶ月が経った。

結婚した時点ではアルバイターだった夫もすぐに会社員に昇格し、子供産むぞ！ 注文住宅建てるぞ！と夢あふれる感じでやっていたところだった。

私はまだ、インスタで家づくり系アカウントをチェックする習慣を辞められないでいる。

GWがおわったらモルディブの水上コテージへ新婚旅行するからってホテル探しするのは、2ヶ月前に辞めた。

妊活はどうにも進まなくて、不妊症専門クリニックへ初診に行ったまま次回の予約もせずに帰ってきてしまった。

私は結婚に向いていないかもしれない。

私と夫の境界線が曖昧になっていくのが分かる。

私は正しくないし、夫も間違っていない。ただそうだというだけで、りんごとみかんを比べているようなものなのに。冷静に考えればそんなこと簡単に分かるのに。

夫は私より早く寝て、早く起きる。